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自動車の運転中に地震が起きたら?避難時は渋滞・土砂災害による逃げ遅れに注意!

現代の科学技術では、「いつ・どこで地震が発生するのか」正確に予測することはできません。いつ、どこで大きな地震に遭遇して、被災することになるのかは、わからないのです。自動車を運転している最中も、例外ではありません。

自動車を運転中に大地震が発生したら

運転中に大地震が発生したら、パンクしたときのように、突然、激しく車体が左右に揺れてハンドルをとられるような感じになります。
気が動転して急ブレーキをかけたくなるかも知れませんが、急ブレーキや急ハンドルは大きな事故を招きます。走行中に地震の揺れを感じたら、ハザードランプを点滅させるなどして、後続車に注意喚起をしつつ、急ブレーキはかけずに、ゆっくり減速して、出来るだけ安全な方法で道路の左側に車を停車させましょう。
車を停車される際には、トンネルの出入り口付近や、長大な法面(切土や盛土によって作られた人工的な斜面)付近などは、震度によっては崩落する危険性があるので、できる限り避けて停車させます。

車を安全な場所に停車させたらエンジンを切って、カーラジオなどで地震情報や道路交通情報などを聴いたり、携帯電話などで情報収集し、車内で揺れがおさまるのを待ちます。たとえ一般道であっても、大きな地震の際には慌てて車外へ飛び出すことは危険です。
揺れがおさまったら、収集した情報や周囲の状況に応じて、行動しましょう。
引き続き、車を運転する場合には、道路の破損や信号機の停止、道路上の障害物などに十分に注意をしましょう。

高速道路上で大地震に遭遇したら

高速道路を走行中に緊急地震速報を受信したり、大地震に遭遇した場合にも、同じようにハザードランプを点滅させて後続車に注意喚起しつつ、急ブレーキ・急ハンドルを避けてゆっくりと減速し、できるだけ安全な方法で道路の左側(左側に駐車できない場合は右側)に車を寄せて停車させ、カーラジオなどで情報収集をします。車を駐車する場合には、前後の車両の間隔を取るなどしておくと、余震などへの対策になります。
大地震が発生した場合には、中央車線は警察や消防などの緊急車両が走行します。緊急車両の走行を妨げないようにしましょう。

高速道路では、震度5弱程度(首都高は震度5強以上)の地震が発生すると、入り口が閉鎖されて通行止になります。安全確認のために緊急点検が行われますが、緊急点検には3時間程度かかります。安全が確認された場合には、パトロールカーなどで出入り口を案内するなどの、誘導が行われます。パトロールカーなどが広報しながら巡回しますので、自分の判断で勝手に行動せずに、車内で待機して、係員の指示に従います。
サービスエリアなどの休憩施設で強い地震に遭遇した場合にも、自己判断で行動せずに、係員の避難誘導に従いましょう。
災害状況などの情報は、ハイウェイラジオのほか、道路情報版やサービスエリアなどの拡声放送、警察や高速道路会社のパトロールカーに搭載されたスピーカーなどからも得ることができます。

やむを得ず自動車を離れるときには

災害時には警察や消防などの緊急車両が、速やかに通行できるようにしておく必要があります。
また、救護活動や事後処理などに支障をきたす場合には、道路管理者が車を移動させることがあります。(2014年11月21日施行 一部改正 災害対策基本法)
車を置いて避難する場合には、できるだけ道路外の場所に移動させておくのが理想ですが、やむを得ず道路上に置いて避難する場合には、道路の左側に寄せて駐車します。

そして、エンジンを止めてサイドブレーキをかけ、窓を閉め、“キーはつけたまま”にして(または、キーを抜いて車内のわかりやすい場所に置いておく)ドアはロックしないようにします。「避難する人や、緊急車両の通行の妨げにならないようにすること」「いざという時に移動できる状態にしておくこと」、この2点がポイントです。
また、車を離れる際には、忘れずに全ての貴重品を持ち出し、連絡先を書いたメモを車のキーと一緒に残しておくようにします。

高速道路上では特に、他の通行車両にはねられないように、車内や路肩には残らずに、係員の指示に従って、安全な場所に速やかに避難しましょう。

運転中に津波が発生したら

比較的浅い海底を震源とし、マグニチュードが大きな地震が発生した場合には、津波が発生することがあります。また、日本国内のみならず、海外で発生した地震でも、海岸沿いや河川の近くでは津波に襲われることがあります。
車を運転中に、もしも走行しているエリアを対象とした津波警報や大津波警報などを見聞きしたら、いち早く海岸や河川から離れて、安全な場所へ避難する必要があります。
津波から避難する時には、近くの高台や津波避難タワー、津波避難ビルなどに向かいます。
津波から避難する場合には、ご高齢の方やお身体の不自由な方など歩いて避難することが困難な場合を除き、原則として車は利用せずに、徒歩で避難します。

発災時には、地震の大きな揺れなどによって、建物が倒壊したり、土砂災害が発生するなどして、道が塞がれてしまうことがあります。さらに、一気に車での避難者が通行できる道に押し寄せると、渋滞が発生します。
そうした状況で車で避難していると、身動きできなくなり、逃げ遅れてしまう事態になりかねません。
自分の命はもちろんのこと、他のたくさんの肩の命を守るためにも、車での避難はひかえましょう。

実際に、東日本大震災の際には、気仙沼市で防災無線から「車は使わないでください」と呼びかけられていたにも関わらず、車を使って避難したことで、みるみるうちに道路が渋滞しだしたというエピソードもあります。(内閣府「一日前プロジェクト」のエピソードより)
「自分ひとりくらいは、車で避難しても大丈夫だろう」と思いがちですが、そうした時には正常性バイアス(大災害など未経験の事態に遭遇した場合、過剰反応し、脳が情報を正確に処理できなくなること)が働いてしまっています。
発災時には、最悪のケースを想定して行動をすることで、結果として大切な命を守ることにつながります。

日常生活の上で便利な自動車も、災害時には命を危険にさらすリスク要因の一つになる場合があります。
車を運転するときには、たまには「今、地震や津波が起こったら」と意識して考えてみることで、いざという時に適正に行動できることにつながるはずです。

水害時の自動車運転についてはこちらのページで紹介をしています。

また、避難をするための準備や、外出先で地震にあったときについてはこちらのページを参考にしてみてください。

この記事を書いた人

瀬尾 さちこ

防災士。住宅建築コーディネーター。整理収納コンサルタント。

愛知県東海市のコミュニティエフエム、メディアスエフエムにて防災特別番組「くらしと防災チャンネル(不定期)」、「ほっと一息おひるまメディアス(毎週水曜日12時〜)」を担当。
以前の担当番組:みんなで学ぶ地域防災(2021年~2021年)、防災豆知識(2019年~2021年)
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