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自動車運転中の豪雨。洪水の中を走って大丈夫?危険な場所や脱出方法を知っておこう

台風による大雨の他に、限られた地域に短時間に多量の雨が降る集中豪雨や、天気予報で正確な予報をするのが難しい上に短時間で局地的な豪雨をもたらすゲリラ豪雨(マスコミではよく使われますが、実は気象用語にはなっていません)などが、年々増えてきています。
気象予報で「大気の状態が不安定」や「天気の急変にご注意ください」などの表現がされるときには、注意が必要です。また、空が急に厚い雲に覆われて暗くなったり、雷の音が聴こえてきたりした時は、集中豪雨などの前兆です。

短時間にまとまった雨が降ると、河川から離れたところにいても、都市の排水処理能力が追いつかずに、内水氾濫が起こります。みるみる間に道路にも水があふれ出します。
あらかじめ予報が出ている場合には車での外出を控えることもできますが、外出中に豪雨に襲われることもありえます。特に、梅雨の季節から秋頃までは、こうした、まとまった雨による災害の可能性が高まります。
突然の豪雨にあった場合のリスクや対応策などを心にとどめて、いざという時にも冷静に対応できるように、備えておきましょう。

自動車が走行できる水深の限度

エンジンやモーターで動いている自動車は、電気装置によって制御されています。車の中に水が入ってくると、電気装置が故障して、自動スライドドアやパワーウインドーが動作しなくなります。また、エンジンやモーターが停止して、再始動さえもできなくなります。
車は、ある程度までの冠水・浸水には対応できるように設計されていますが、車体に無数にあるボルト穴やエンジンの吸気口、マフラーなどからも水が侵入する可能性があります。

JAFによる実験では、水深が10〜30センチでブレーキ性能が低下、水深30〜50センチでエンジンが停止、水深50センチでパワーウインドーが作動しなくなり車の中に閉じ込められてしまい、水流がある場合には車体が浮いて、車両ごと流されてしまう危険性があると出されています。さらに、水深が60センチを超えると、ドアが開けにくくなります。

水深10〜30センチで安全な場所へ車を移動、水深30〜50センチでは車をその場において、いち早く避難することが必要になります。また、水深が浅くても、早いスピードで走行すると水を巻き上げてマフラーなどから水が侵入してしまうことがあるため、スピードを控えて徐行する必要があります。
冠水した道路を車で走行する限度の目安は、マフラーが浸水していない状態で、“水深が車両の床面の高さに達する(乗用車であればドアの下端)まで”と覚えておきましょう。
マフラーの高さは、一部のRV・SUV車を除いて、概ね20センチくらいの位置です。道路の縁石の多くは、高さ15センチ程度で作られています。冠水によって縁石が見えなくなっていないかということも、走行が可能かどうかを知る、一つの目安になります。

大雨の時にはこんな場所に注意

台風や豪雨の時には、一刻も早く目的地に到着したいと思うものです。しかし、先を急ぐばかりに、自ら危険な場所に侵入してしまう場合もあります。大雨の際に危険な場所を知るとともに、「もしかしたら、行けるかもしれない」ではなく「もしかしたら、危険かもしれない」と考える習慣をつけておくようにしましょう。

短時間に急にまとまった雨の降る集中豪雨などでは、急に川が増水したり、道路の冠水や土砂災害が起こりやすくなっています。
山間部や海岸沿いなどを走行する時には、あらかじめハザードマップなどで走行ルートに土砂災害危険箇所などがないか、確認をしておくことが理想的です。
土砂災害が発生した場合には、道路が寸断して孤立する恐れもあります。天気予報などで「大気の状態が不安定」などと事前に発表されていたら、より安全なルートを検討するようにしましょう。携帯電話の充電器や、携帯トイレ、飲料水などを準備しておくと、万が一の場合にも不安が少しやわらぎます。

河川沿いの道路など、河川の近くを走行している時には、川の急な増水に注意が必要です。水かさが増えてきた時だけでなく、川の水が濁ったり、枝などが流れてきた時には、まだその場所で雨が降っていなくても、上流で大雨が降っていることがあり、雨雲が移動して豪雨に襲われたり、急に河川が増水することがあります。可能であれば、川から離れた迂回路を利用したり、早めに安全策を取るようにしましょう。

こうした山間部や河川沿いなど以上に身近な危険場所として、アンダーパスがあります。
アンダーパスとは、交差する鉄道や道路などの下を通過するために、周辺よりも低くなっている道路のことをいいます。
通常の雨であれば、ポンプが働いて排水を行いますが、集中豪雨などの短時間に多量の雨が降った時や、停電の時などは、十分に排水できずに冠水する場合があります。
アンダーパスの入り口に冠水表示板が設置されて、浸水が始まっている時には進入禁止が表示されるところも増えています。
入り口では冠水していることが見えにくく「行けそう」と思ってしまいがちですが、推測で進入してしまうと車が浸水してしまい、身動きが取れなくなってしまう危険性があります。冠水表示板に進入禁止が表示されている時や、不安になるような雨の降りかたをしている時には、無理にアンダーパスに進入せずに、迂回するようにしましょう。
また、道路の冠水が始まっている時には、アンダーパスではないところでも路面の状況がわかりにくくなり、側溝や用水路などでの脱輪や、段差への乗り上げなどに注意が必要です。

もしも自動車が浸水したら

冠水した道路を無理に進んだことで、道路外に飛び出してしまい、川や池に転落してしまったり、冠水したアンダーパスに進入した事による浸水事故が、毎年、数十件発生しています。

道路冠水の水位が深い場合や、川などに転落したときは、車両の前方にエンジンがある乗用車では、最初に前方が沈みこみ前傾姿勢となります。もしも、こうした状況になっても慌てずに、まずシートベルトを外します。ドアやパワーウインドウが開けられる状態なら、ドアや窓を開けて車のルーフ(天井)に上るようにして脱出します。ドアも窓も開けられない場合には、市販されている緊急脱出用ハンマーを使って窓ガラスを割ることで脱出できます。万が一に備えて、車内に常備しておきましょう。

外からの水圧でドアも開けられず、パワーウインドウも開けられず、緊急脱出用ハンマーもなく、車内に水が入ってきた最悪の事態に陥っても、パニックにならずに冷静に行動しましょう。車内と外の水位の差が小さくなると、圧力の差が縮まるために、ドアにかかる水圧が小さくなって、ドアが開けやすくなります。
川や池に転落しても、車はすぐには沈みません。落ち着いて脱出の機会を伺いながら、ドアが開きそうなタイミングが来たら、その時を逃さずに、足などに力を込めてドアを押し開けて、一気に脱出しましょう。

こうした最悪の状態に陥る前に、道路が冠水しだしたら早めに車を止めて、エンジンを停止させて、早めに避難することが大切です。避難するときには、いきなり冠水した道路に出ずに、足をつけて水深を探りながら、足元を確かめながら歩くようにしましょう。

水に浸かってしまった自動車は点検を

車のエンジンルームや車内には、電気系統の配線が集中しています。水に浸かってしまうことで、故障して誤作動を起こしたり、回線がショートして出火や爆発などの車両火災の危険性があります。
水が引いた後も、自己判断でエンジンをかけて車を移動させてはいけません。速やかにJAFや自動車販売店、自動車保険のロードサービス、整備工場などに連絡しましょう。
こうした業者を待つ間も、発火を防ぐために、可能であれば、バッテリーのマイナス側のターミナルを外して、外したターミナルがバッテリーと接触しないように、絶縁テープなどで覆うようにしてください。
冠水を自力で抜けられた場合も、修理工場や整備工場に持ち込んで、点検するようにしましょう。

その他、台風や大雨の時の避難の注意点についてはこちらのページで紹介をしています。

また、地震のときの自動車運転については、こちらのページで紹介をしていますので参考にしてみてください。

この記事を書いた人

瀬尾 さちこ

防災士。住宅建築コーディネーター。整理収納コンサルタント。
愛知県東海市のコミュニティエフエム、メディアスエフエムにて「みんなで学ぶ地域防災」「防災豆知識」の2つの防災番組を担当。
メディアスエフエム「みんなで学ぶ地域防災」は、毎週土曜日、午前9時~10時、生放送。
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