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海溝型地震と直下型地震のゆれや被害はどう違う?地震がおきる場所をメカニズムから学ぼう

地震の種類は、大きく海溝型地震・直下型地震(内陸型地震)の2つのタイプにわけられます。今回は地震が発生するメカニズムによって、どのようなゆれや被害の違いがあるか、また地震の起きやすい場所を紹介いたします。
地震のタイプによって起きるリスクを知って、きちんと備えをしておきましょう。

地震が起きるメカニズム

日本は「ユーラシアプレート」「北米プレート」「太平洋プレート」「フィリピン海プレート」という、4つのプレートが重なる場所にあります。このプレートは、陸地の下にあるユーラシアプレートと北米プレートの「大陸プレート」と、海の下にある太平洋プレートとフィリピン海プレートの「海洋プレート」に分けられます。

海洋プレートは大陸プレートの方向に年に数cm進んでおり、海洋プレートが大陸プレートの下に沈み込んでいます。プレートがぶつかることにより少しずつ圧力が加わりひずんでいくのですが、ひずみとして蓄えられえたエネルギーが一定量を超えると、さまざまなタイプの地震が起こります。

海溝型地震

海溝型地震にはいくつか種類があり、大陸プレートが跳ね上がって起こる「プレート境界地震」と、海洋プレートが破壊されて起こる「スラブ内地震」「アウターライズ地震」があります。

プレート境界地震

海洋プレートによって押された大陸プレートがひずみを戻すため、プレートの境界で跳ね上がります。この跳ね上がりによって発生したエネルギーが地震の原因となります。
プレート境界地震では、震源で発せられたエネルギー=マグニチュードが大きくなり、マグニチュード8を超える巨大地震となることもあります。

スラブ内地震

スラブ内地震は大陸プレートの下に潜り込み、圧縮された海洋プレートが破壊されることにより発生する地震で、スラブ内地震もマグニチュード8を超える巨大地震となることがあります。

アウターライズ地震

アウターライズ地震は大陸プレートに潜り込む直前の、海洋プレートが曲がった部分が破壊されることにより発生する地震で、浅いところで起こるため大きな津波を起こすことがあります。
また、大きな海溝型地震のあった後には、海洋プレートの圧力のバランスが崩れるためアウターライズ地震が起きやすくなります。

直下型地震(内陸型地震)

大陸プレートのひずみによって蓄えられたエネルギーが陸地の下まで伝わり、プレートの弱い部分「活断層」が破壊されることによって起きる地震です。
マグニチュードは小さくなることが多いのですが、陸地の真下が震源となるため、震源が浅いところで起きた場合には大きな被害を起こします。

揺れや被害の違い

海溝型地震

マグニチュードが大きい

海溝型地震はマグニチュード8を超える巨大地震が起きることがあり、東日本大震災ではマグニチュード9.0の地震が発生しました。
しかし、マグニチュードは大きいものの陸地から離れた沖合で起きるため、ゆれは陸地に届くまでにいくらか衰えます。そのため、同じマグニチュードで海溝型地震と直下型地震が起きた場合、ゆれによる被害は海溝型地震のほうが少なくなります。
また、海溝型地震では大きなエネルギーが広い範囲まで伝わるため、日本の広い地域で被害を起こすという特徴があります。

津波の危険が大きい

海溝型地震は主に海の中で起きるため、海水が陸地に押しよせ巨大な津波となる可能性が高くなります。実際に東日本大震災では、死因の9割が津波による被害となっています。そのため、海の近いところでは津波に最大限の注意が必要です。

ゆれの特徴

初めはカタカタとした小さなゆれを感じ、その後に横に大きく揺さぶるようなゆれが来ます。ゆれている時間は長く、数分間も続くこともあります。
また、海で地震が起きてから陸上に到達するまでに時間があるため、緊急地震速報などで地震が来ることを知ることができます。大きなゆれの前に、ある程度時間に余裕がありますので、前兆を感じたら物の倒れてこない場所や、机の下にすばやく移動しましょう。

被害を受けやすい場所

大陸プレートと海洋プレートの境界は太平洋の沖にあることから、被害は太平洋側の地域におこります。また、地震のエネルギーは距離ともに衰えていくため、沿岸に近い地域ほど大きなゆれとなります。

なお、関東と東海ではユーラシアプレートとフィリピン海プレートの境界が陸の下にかかる場所があるため、マグニチュード8級の海溝型地震が陸地の下で起きる可能性があり、広い地域で直下型地震と同様の被害がおきる可能性があります。
過去に10万人もの死者・行方不明者を出した関東大震災は相模湾内の海溝が震源となったとされており、今後、起きる地震としては震源が伊豆半島にかかる東海地震が予想されています。

直下型地震(内陸型地震)

実際のゆれが大きい

海溝型地震と比べると、直下型地震はマグニチュードが小さくなるため、被害範囲も20~30km程度の地域に限られます。しかし、人の住んでいる下など、近い場所が震源となることが多いためエネルギーが衰えずに地表まで伝わります。特に、浅いところが震源となった場合には深刻な被害を起こします。4つのプレートが重なる日本は特に活断層の多い地域です。発見されているものだけで2000もの活断層があり、まだ見つかっていないものも考慮すると、北海道から九州までどこにいても直下型地震が起こる可能性があります。
なお、1891年の濃尾地震はマグニチュード8.0と推定されており、直下型地震でもごくまれにマグニチュード8級の地震が起きることがあります。

建物の倒壊の危険が大きい

震源から近く、地震のエネルギーがそのまま伝わるため、建物が倒壊したり、家具などが倒れ、命にかかわるけがをする可能性が高くなります。
未曽有の死者・行方不明者を出した関東大震災と東日本大震災の地震を別格として除くと、この114年間の地震の死者数は、海溝型地震と比較して直下型地震では約3倍 ※1 となっています。このように、直下型地震の範囲は広くないものの、深刻な被害が起こります。

※1(出典)防災科研 6.3 内陸型地震と海溝型地震の被害の比較

ゆれの特徴

直下型地震は前触れが無く、突然大きなゆれがおこります。予兆となる前震が無い場合には、予測ができないため緊急地震速報などが通知されることもありません。
10秒ほどの短時間に、縦に突き上げるような、猛烈なゆれが起こることが特徴です。

突然の大きなゆれに、しゃがみ込むことが精いっぱいとなるかもしれません。そのため、日ごろからものが倒れないように対策をする必要があります。また、猛烈なゆれは対策をした家具も倒すことがありますので、長時間いる場所には倒れてくるものを置かないことも大切です。

被害を受けやすい場所

日本にはたくさんの活断層が存在するため、どの地域にいても直下型地震はあるものと考えておきましょう。一般的に北海道や九州は地震が少ないと思われるかもしれませんが、たくさんの活断層が確認されており、北海道、九州ともに震度7の地震が発生しています。

産総研:活断層データベース 起震断層・活動セグメント検索

こちらのサイトでは、現在確認されている活断層の位置を見ることができますので、参考にしてみてください。
しかし、確認ができているものの他にも、細かな活断層があるかもしれません。どの地域に住んでいても、準備は怠らずしっかりとするようにしましょう。

今回は、海溝型地震と直下型地震の仕組みや、おきやすい被害について紹介いたしました。
次回は阪神・淡路大震災や東日本大震災などの過去に起きた地震を例にあげ、海溝型地震と直下型地震でどのような被害おきたかを紹介いたします。


この記事を書いた人

moshimo ストック 編集部

防災をしたいけど情報がたくさんあって、何から始めればいいの…?
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