それぞれの寄付先について紹介する前に、まずは義援金と支援金の違いについて知っておきましょう。
義援金 |
支援金 |
被災者個人 |
自治体・支援団体 |
時間がかかる |
早めに届く |
義援金
義援金は住宅の建て直しや生活再建のため、被災者に届けられるお金のことを言います。
法律に定められた制度をみてみると、災害の死者・行方不明者に支給される災害弔慰金は生計維持者が死亡した場合で500万円、その他の人が死亡した場合には250万円となっています。住宅ための被災者生活再建支援制度では、住宅が全壊した時に、新たに建設・購入する場合の支給額は300万円となっています。
災害によっては特別措置として、都道府県や市町村から死亡者の遺族や住宅の損害に対して見舞金が出る場合や、公的機関からの融資、就業・就学などへの手当てなどもありますが、元の生活を取り戻すには十分とは言いがたいでしょう。
災害時に受けられる公的機関の支援制度 Part1 住宅・人編
このような公的機関からの支援だけでなく、広く一般から寄付を募り被災者へ届けるのが義援金です。
自治体、日本赤十字社、赤い羽根共同募金、TV局、各メディアなどの団体から集められた義援金は、義援金配分委員会により配布基準が決められ、受けた被害の大きさによって被災者へ公平・平等に配分されます。
なお、広い地域で被害がおきたときには、地域を限定せず被害のあった全域に義援金を送る場合と、都道府県や市町村といった地域を指定する場合があります。
自治体へ直接寄付をする場合はその自治体の被災者へ義援金が送られます。日本赤十字社や赤い羽根共同募金では、地域を限定しない場合と、指定する場合で寄付先が分けられていますので、自分の希望する地域かを確かめて寄付をするようにしましょう。
支援金
支援金は、被災地のインフラの復旧や支援活動を行う団体の活動費など様々な用途に使われます。
市町村が募る支援金であれば、ライフライン、堤防、河川などのインフラの復旧や、災害前より安全に過ごすための整備費用としての用途が多くなります。
NPOなど支援団体のための支援金であれば、それぞれの団体の活動資金となります。支援団体の活動は炊き出し、家財の運び出し、土砂・瓦礫の撤去。看護、心のケアなどの福祉。障がい者・高齢者・乳幼児・外国人など要配慮者への支援。また、支援活動する人々への二次的なサポートなど多岐にわたります。
災害がおきた直後にボランティアグループやNPOなどが被災地に入るときには、自分たちのための衣食住すべてを自前で持ち込む必要があります。たとえ、ボランティア活動のため人件費は無償であったとしても、その他に様々な費用がかかることになります。
災害が大きくなれば、大規模なインフラの改修、被災者の生活再建、地域コミュニティの喪失など様々な問題が生まれ、長期的な支援が必要となってきます。このような支援活動が十分に行われるためにも、支援金はとても大切な役割を果たします。
支援活動をする人々を支えることも、被災者が普通の生活を取り戻すための道筋になるのです。
なお、募金と書かれている場合には、一部は義援金、一部は支援金として使われる場合もあります。いずれにせよ、募金や支援金として寄付する場合には、どんなことに使われるかを確認するのがよいでしょう。
また、義援金と支援金を比較すると、義援金は被災者の被害状況をすべて把握した上で配分されるため、手元に届くまでに時間がかかります。支援金はすぐに支援活動にあてられるため、災害の初期段階では必要性が高いという違いもありますので、寄付をするときの基準にしてみてください。