B!

大災害がおきたとき、救急医療を支えるDMAT・被災した地域医療を支えるJMAT

大きな災害がおきたときには、同時にたくさんのけが人が出たり、医療機関も被災してしまい十分な診療ができなくなることがあります。このような時にそなえて、外の地域から医師や看護師などがかけつけて被災地の医療を支える仕組みがあります。
国や自治体のほか、民間の日本赤十字社など、さまざまな医療チームが応援にかけつけるのですが、今回は厚生労働省によるDMATと、日本医師会によるJMATについてご紹介します。
災害にあってしまったとき、すぐにかけつけ、助けてくれる医療関係者たちの活躍について知っておきましょう。

災害から48時間の緊急医療を支えるDMAT

DMATは、災害派遣医療チーム Disaster Medical Assistance Team の頭文字がとられています。
阪神・淡路大震災では、地震による建物の倒壊や家具の転倒によるけが人が多く発生し、災害直後の救急医療が不足していたことから、多くの死者が出ることとなりました。十分な救急医療の体制があれば、6,000人余りの死者のうち、500人が助かった可能性が報告されています。
この経験から災害直後の医療の重要性が認識され、厚生労働省によって日本DMATが作られました。2019年3月末の時点で、全国に1,686チーム、14,204名の隊員がいます。

専門的な訓練を受けた、医師や看護師、その他医療関係者によるチームで、大きな災害がおきたときに被災地へいち早くかけつけ、被害の規模にもよりますが多くの場合、けが人の多い48時間の間活動をおこないます。
がれきの下じきになった人など災害現場での救急医療、トリアージと呼ばれる治療の優先順位の決定、患者が多く集まる病院での活動、患者を他の地域への運ぶ地域医療搬送などを行います。そのほか、災害医療の専門性を活かして、都道府県へ医療体制の助言をすることもあります。

また、国の主導する医療チームとなるため、自衛隊の集めた正確な情報がいち早く共有されるほか、ドクターヘリや自衛隊の航空機などを使用した広域医療搬送を行うなど、幅広い活動を行うことができます。

DMATは多くの場合48時間をめどに活動を終え、その後はJMATや大学病院、国立病院などの他の医療チームに引き継がれます。

なお、地震や台風、大雨などの自然災害以外にも、多くの被害者が発生した時に活動することもあります。
2020年の新型コロナウイルス感染症の流行では、中国武漢市からの日本人を退避させるためのチャーター便での健康管理、大型クルーズ船 ダイヤモンド・プリンセス号での船内での診療、患者の搬送などを行っています。

地域医療が回復するまでを支えるJMAT

JMATは、日本医師会災害医療チーム Japan Medical Association Team の頭文字がとられています。
2010年に日本医師会によって設立が構想され、翌年の2011年に研修について検討、骨組みの取りまとめが行われていました。その矢先の3月11日に東日本大震災が発生したため、これまでの検討内容をもとにJMATが急遽派遣されることとなりました。

被災地以外の都道府県医師会ごとに医療チームを編成、関係省庁・関係行政機関から情報収集をして、被災地へ医療チームや医療品を送るなどの支援を行います。
活動内容は避難所や医療救護所、病院などの医療機関での活動、在宅医療が必要な患者への巡回診療をすることにより、地震による直接の被害者とともに、災害前から持病のある患者の診療も行います。震災によってダメージをおった地域医療の代わりとなって、より多い患者を受け入れ、地域医療が復興するまでの支援をすることが主な役割となります。
また、避難生活で体調を崩しておこる災害関連死を防ぐため、被災した人の栄養状態や健康チェック、高齢者・難病患者・障害者などの要配慮者への医療ニーズの把握、避難所の公衆衛生などについての対応も行います。

活動期間は現地の医療機関が復興し、十分な医療がいきわたるまでとなりますが、被害が長期化する場合にはJMAT IIというチームが派遣され、地域医療への支援とともに、仮設住宅での孤独死への配慮や、心のケアを行うなど、健康管理にかかわる幅広い活動を行います。

東日本大震災では、岩手県、宮城県、福島県、茨城県に、約1,398チーム、6,054名のJMATが派遣されました。また、被害が非常に大きかったことから、JMAT II は2016年まで5年にわたる長期間の活動を行い、1365チーム、6,574名が派遣されました。

大きな災害がおきたときには、DMATやJMATの他にも、さまざまな機関が連携をして被災地の医療を支えます。
命にかかわるけがの治療や、避難所での健康管理、避難生活が長期にわたるときの体と心のケアなど、幅広く被災者を支える医療関係者に感謝するとともに、災害がおきたときけがをして、医療関係者に負担をかけないよう防災を見直しておきませんか?

この記事を書いた人

moshimo ストック 編集部

防災をしたいけど情報がたくさんあって、何から始めればいいの…?
私たち moshimo ストックも始めは知ることが幅広くて、防災ってちょっと難しいな…と思いました。
そんな "元初心者" の編集部が、初めての方にもわかりやすいよう防災・備蓄・災害についての情報をお届けいたします。
moshimo ストック 編集部の記事一覧

公式SNSアカウントをフォローして、最新記事をチェックしよう

twitter
facebook

この記事をシェア

B!