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学生の力で災害救援や社会問題の解決を。国際ポランティア学生協会 IVUSA

大きな災害が起きたときは、国や自治体などの公共機関のほかに、ボランティア団体による活動が、被災地の救援や救護、復旧に大きな役割をはたします。
ニュースなどでは避難所での炊き出しや、ガレキの撤去などをしている姿をよく目にしますが、実際にどのような活動をしているか、詳しく知らないかたも多いのではないでしょうか?

今回、多くの学生が参加しているボランティア団体、NPO法人国際ボランティア学生協会(略称 IVUSA)の危機対応研究所 所長の宮崎猛志さんに詳しいお話を聞きました。
災害が発生したときに、ボランティア団体はどのように被災地に向かい、どのような活動を行っているのか、IVUSA の行う災害救援活動についてご紹介します。

国際ボランティア学生協会(IVUSA)とは

約3000人の大学生が所属する IVUSA は、災害救援、国際協力、環境保護、地域活性化、子どもの教育支援の5つの分野を軸にして、学生が主体となってボランティア活動を行うNPO法人です。

海外での活動として、カンボジア学校建設、インド住宅建設、ネパール山村支援、中国緑化プロジェクト、フィリピン減災・環境保全などの幅広い支援をおこなっています。
また国内では、災害救援以外にも、外来生物の除去、森林整備・保全、生活困窮家庭や児童養護施設の子どもへの学習支援、過疎化地域の活性化など、さまざまな社会問題を解決するために活動をおこなっています。

IVUSA の災害救援活動

IVUSAでは、国内での地震、津波、台風、豪雨などの災害で救援活動を行っているほか、海外でも台湾中部地震に始まり、スマトラ沖地震とその影響によるインド洋津波災害などでも救援活動を行ってきました。

被災地での活動

被災地では学生の若い力を生かし、浸水により屋内や床下へ入った泥のかき出し、ガレキの撤去、家具の運び出しのような、体力のいる作業をおこないます。そのほか、避難所での清掃や、整理、炊き出しを行うとともに、避難所の状況を現地の災害ボランティアセンターや行政に伝える役割を行うこともあります。

また、どのような救援が必要かを調査するため、「ヒアリング」という支援も行います。
大きな災害が起きると、被災地に災害ボランティアセンターが立ちあがります。ここでは、ボランティアをする人の受け入れ、情報提供、ボランティアを被災地に送るためのバスの受け入れなどを行うとともに、ボランティア先のマッチングをおこないます。
しかし、被災された方は「何がお願いできるかわからない」「うちがお願いをしていいかわからない」「うちよりもっと被害の大きいところに行ってあげて欲しい」など、ニーズが集まらないことがあります。
そこで、IVUSA が被災した地域の住宅を1軒ずつ周り、被害の状況などをうかがいながら、どんな救援が必要かを調査し、災害ボランティアセンターに共有をおこないます。

学生がこうした活動を行ことは、若く体力があることのほかにもメリットがあるといいます。
それは、地域の人々にとって受け入れやすいということ。ヒアリングなどを行う場合にも住民の人が話しやすく、よい結果が生まれるそうです。
もう一つは、若い人が一生懸命活動をしているところを見ることで、落ち込んでいた人たちの気持ちが前向きに変わっていくこと。作業中に何気ない会話をするだけでも、表情が明るく変化していくこともあるそうです。
学生らしく、元気よく活動することが、地域に前向きなエネルギーを残してくる、大切な活動のひとつとなっているとのことでした。

被災地に入るまでの準備

IVUSA の場合は、移動手段となる車両、食料、救援のための装備の全てを、自分たちで被災地に持ちこむ、自己完結型のボランティアです。そのため、被災地にむかう前に入念な調査と準備が必要になります。

災害が発生した場合、まずは被災地の被害状況などの情報を収集します。水害の場合には、消防庁から得られる床上浸水の情報から、地震の場合にはライフラインの被害状況などから、今までの経験をもとに被害の大きさを想定します。

そして、車両を確保し、交通制限の確認、必要な場合は警察から緊急車両通行証の取得を行います。
また、現地に入った後の活動拠点となる宿泊場所を探し、食料をそろえてから被災地に入ります。

まず、被災地の状況を確認するために先遣隊を十数名送り、その後に数十人規模のメンバーを送ることが多いそうで、2018年の大阪北部地震では、現地にいたメンバーが先遣隊として動きだし、2、3日後には50~60人のメンバーを送っています。
また、2016年の熊本地震では、本震※の2日後に先遣隊を送り、翌週には100人規模のメンバーを送り、救援活動をおこなっています。
※熊本地震では、4月14日にマグニチュード6.5の前震があり、4月17日にマグニチュード7.3の本震がありました。

なお、大きなボランティア団体に所属していない場合には、まずは現地の災害ボランティアセンターで情報を収集し、被災地から少し離れた場所に宿泊施設を確保し、ボランティアバスに乗ってボランティア先にむかうことが多いそうです。

防災、減災活動

IVUSAの災害時以外の活動として、地域の防災訓練への協力や防災ワークショップなどを開催したり、学生や子どもに災害や防災について身近に感じてもらうためのイベント活動なども行っています。
また、小学生が災害や、防災・減災について動画でわかりやすく学べるサイトの制作もおこなっています。いろいろなケースについての解説がありますので、ぜひサイトをのぞいてみ下さい。

これなら、デキる!! できることから始める!ボクたち、ワタシたちの「減災アクション」

学生時代、ボランティアに参加して得たもの

学生時代、IVUSAに所属していた泉勇作さん(現KOKUA代表)に、ボランティアに参加して得たものについてお聞きしました。

(KOKUAの取り組みについては、こちらの記事で紹介しています。)

学生時代には、被災された方々から「ありがとう」と言ってもらえることが多くあり、それ自体はうれしい経験ではありましたが、被災地での活動が終われば5-6時間で安全な自分の生活にもどってきてしまい、被災地と普段の生活の落差に違和感があったといいます。

そうした中、ボランティア活動を通じて、災害による被災をふくめた様々な社会的問題を認識できたことが、とても大きな経験となったそうです。
社会問題は多くの人が抱える問題で、いつか自分の身にも起こりうる可能性があるといいます。もし、自分が社会問題に直面した時に、助けてもらえるような社会となるように、ボランティア活動を広めていくことが大切な意義であると考えています。

また、人の気持ちに寄り添い、人の要望に応えられるようになったことも、大きなメリットになったそうです。災害救援では自分で良いと思ってしたことが、された人にとって嫌な思いとなることもあります。
ボランティアを始めた当初、家具の運び出しで1軒でも多くの家を回るため、スピードを重視して壊れた家具を運んでいたところ、粗雑な扱いをしてしまっていたとのこと。それを見た先輩に、例え壊れている家具かもしれないが、住んでいる人にとっては大切の思い出がつまったもの。そのような思い出を粗雑に扱ってはいけないと、たしなめられた経験があったそうです。
このように、ボランティアでは相手側の立場に立って考えて、行動をすることが大切です。こういった考えかたを学生時代から身につけられることは、社会に出て仕事をすることになったときにも、とても大きなメリットになったとのことでした。

災害ボランティアに参加したい人にむけて

最近は、服装や道具の準備、食料の持ち込みが必要となるなどの、ボランティア参加のための情報を目にすることも多く、ハードルが高く感じている人も多いかもしれません。
しかし、「自分が被災地に行っても何もできないのではないか?」などと思わず、積極的に参加を考えてみてください。

もし、自分が被災したときには、自分の住んでいる地域の片づけをすることも災害ボランティアとなります。
被災された人は、自分のことで精一杯となり、普段していることができなくなってしまいます。被災地に向かい、掃除、片付けの手伝い、被災者の話を聞くこと、子どもの世話など、普段どおりの生活をするための手伝いをすることも、災害ボランティアとして大きな助けとなるのです。

IVUSA のような大きな団体に参加をすれば、十分な装備や豊富なノウハウの上で、ボランティア活動を行うことができます。
個人で参加をする場合には、まず、全国社会福祉協議会や、現地の社会福祉協議会のサイトなどを通じて、何が必要とされているかなどの情報を調べましょう。そして、現地の災害ボランティアセンターへ向かうと、自分ができることと、被災地で足りてないニーズをマッチングして、ボランティアの作業を紹介してもらえます。

ボランティアに参加できそうな人は、始める前にハードルを上げずに、ボランティア団体や災害ボランティアセンターを介して、ぜひ積極的に参加しみてください。

被災地には向かえないけれど、協力したい人にむけて

社会に出て仕事をしている人は、被災地に向かってボランティアに参加することは、なかなか難しいかもしれません。
しかし、SNS で現地の情報をシェアしたり、ボランティアに参加する人に温かい声をかけたりすることも、ひとつの支援となります。ほんの少しのことでも、気づいたことがあれば被災地のためを思って行動してみてください。

そんな中で、とても役に立つことの一つが支援金、義援金の寄付です。
ボランティア活動を行うためには、食料や装備品、車両の調達、団体職員の雇用など、多くの資金がかかります。そのほか、被災者の生活再建、被災地の復旧・復興などでも、資金の問題は切り離せません。
被災地を救援、復旧、復興するために、寄付は大きな助けとなります。日本は欧米に比べて寄付の文化が低く、活動に苦労されているボランティア団体もありますので、ぜひ寄付を検討してみてください。

もう一つ、とても大切なことがあります。それは“自分が被害にあわない”こと。被害にあう人が少なければ、本当に困っている人に支援を集中することができます。
日本の自然は豊かで、たくさんの自然の恵みを享受することができます。裏を返すと、自然の影響が大きく、自然災害も多いということ。
災害ボランティアで様々な被災地を見てきた経験からすると、被害にあった人は「まさか、自分が」とおっしゃるそうです。そして、備えをしっかりしていれば、それに応じて被害も軽減されるといいます。
「まさか、自分が」とならないために、まずは自分の防災を見直してみましょう。

NPO法人国際ボランティア学生協会 (IVUSA)

IVUSAへの活動支援はこちら

この記事を書いた人

moshimo ストック 編集部

防災をしたいけど情報がたくさんあって、何から始めればいいの…?
私たち moshimo ストックも始めは知ることが幅広くて、防災ってちょっと難しいな…と思いました。
そんな "元初心者" の編集部が、初めての方にもわかりやすいよう防災・備蓄・災害についての情報をお届けいたします。
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