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地域の防災力向上のために動く!安全士会の活動をご紹介します

以前、moshimo ストックでは、新潟県長岡市での取り組みとして、家庭や地域の防災に役立つ知識、災害時に役立つ実技・備えを学ぶ「中越市民防災安全大学」(以下、安全大学)を開校した経緯や、長岡市の防災に対する取り組みなどをご紹介しました。
今回は、安全大学の卒業生で組織される安全士会の活動内容や今後の展望について、インタビューした内容をご紹介させていただきます。

安全士会の活動をはじめたきっかけは?

新潟県中越地震が起きた直後、地域の助け合いが大きな力を発揮しました。このことから長岡市では、「地域の防災リーダー育成が大切」との考えから、安全大学を開校しています。
その卒業生の活動の場として、地域の防災訓練などでの防災啓発活動、応急手当やAEDの講習、市民、会員に向けた情報発信、研修、イベント、防災よろず相談などの活動を行う安全士会を結成し、地域防災力の向上・強化や被災地支援を行うようになりました。

(応急手当訓練の指導の様子)

安全士会での活動にはどのようなことがありますか?

防災よろず相談

安全士会の活動のひとつに「防災よろず相談」があります。
長岡市では、800を超える自主防災会が組織されていますが、具体的な防災活動を行えていない会も少なくありません。どのような防災活動をすべきか、どういう指導が安全士会から受けられるか、など町内会や自主防災会の担当の方に、安全士会の事務所にお越しいただき、ご相談を受け、助言するのが「防災よろず相談」です。年間50件ほどの相談があり、相談の多くは相談を頂いた地域の防災活動のお手伝いに繋がります。

(さまざまな地域防災の困りごとにアドバイスする様子)

よくご相談いただく内容としては、
「町内会長に選ばれたが、防災訓練に何をやればよいか分からないので教えて欲しい」
「町内の防災訓練をやることになっているが、メニューが決まっていない。何をやったらよいか。」など、町内の防災訓練に関することが多くなっています。

私たちからは、近隣町内の自主防災会で実施されている防災訓練の実施例を紹介。また、防災訓練では、高齢者対応や、自分自身で避難ができない避難行動要支援者の対応が非常に重要になっています。しかし、制度自体を理解されていない町内も多く、国や市が進めている要支援者対応を町内で取り組めるよう訓練の方法を提案することも多くなっています。

防災訓練は、限られた時間の中で行うため、地域住民に防災の重要性を認識してもらうための防災講話をお勧めしています。その地域固有の災害リスクなどを説明し、災害を語り継ぐキッカケにしてもらえればと思い資料を作成しプレゼンテーションに繋げています。

防災講話

長岡市と連携し、2016年から防災講話の活動をはじめました。講話のテーマは、各地域の要望を取り入れて決める場合や、私たちから地域の状況を把握した上でテーマを決めることもあります。最も多いテーマは、「地震への備え」「洪水への備え」、次いで「自主防災会の重要さ」などがあり、防災講話(30分程度)を実施することで、地域住民の防災意識を高める活動に繋がっています。
2020年度は、長岡市の洪水ハザードマップが改訂されたため、洪水ハザードマップの見方を説明する防災講話の依頼が多くありました。特に洪水多発している地域では、洪水対応の防災活動指導のニーズは高くなっています。

(感染症対策を徹底した環境下での防災講話)

地域社会との繋がりをつくる活動

<若い世代のお母さんに向けての活動>
近年、共働き家庭や核家族化が進むことで、近所づきあいや地域活動に十分な時間を割くことができず、地域の中で孤立する若い世帯が増えています。特に、小さなお子さんをお持ちの比較的若い世代のお母さんは、地域社会とのコンタクト機会が少なく、災害の時に孤立しがちです。 赤ちゃんと避難する場面を想定し、避難方法、避難先、避難時の持出し品など、一般的な防災の心得をアレンジしたミニ講習を実施しています。また、乳幼児の安全として乳児向けの心肺蘇生などの実技も行うこともあります。このように、自分の命と我が子の命をどう守るかという観点で、防災を学んでいただける機会の提供をしています。

(乳幼児に防災グッズ指導)

<高齢者の方に向けての活動>
長岡市の65歳以上の高齢者人口は、約8万人(高齢化率:約30%)に上り、年々増加傾向にあります。高齢者は、地震や台風、豪雨などの災害が起きた時に自力で避難することが難しくなり、日頃から地域とともに、災害に対する心構えや備えをしておくことが重要だと考えています。
地域の老人会から依頼を受け、高齢者の方にも理解しやすい内容で学習会を行っています。
(地域の方々にクロスロードゲームを指導)

地域の防災・減災力向上のための安全士会の役割

・地域防災リーダー育成
防災安全大学の開校理念は、「地域防災リーダー育成」です。安全士会の役割の一つとして、市民目線の防災を考え、情報発信することだと考えています。
各地域の防災会が抱える課題を大切な事例とし、会員相互の知恵の出し合いで課題解決に向けた様々な取り組みを行っています。災害時、市民と行政、企業等をつなぎ防災安全活動を担う人材を育てることが安全士会の役割だと考えています。

・行政との連携
行政と連携して行う活動の中に、自主防災会長になったばかりの方を対象に、自主防災活動を進める上での基礎知識を学ぶ自主防災会長初任者研修会を2018年から開催しています。防災の知識がないままに町内会長になったという方が非常に多く、町内の防災活動で苦心されています。地域の防災活動の要点を解説し、参加者同士が課題や心配事項を話し合うイベントになっています。

自然災害の多発・激甚化の中で、行政の支援にも限界があり、細かい所に手が回りにくくなっています。これからは安全士会と行政が連携し、市民一人ひとりが防災力を高めていくことが重要だと考えています。

(新しい自主防災会会長を集めての防災研修)

安全士会から地域住民へメッセージ

地域の防災力は地域リーダーの意見や行動力に大きく依存します。リーダーは「自分の地域は自分達で守る」の気概(強い気持ち)で、地域活性化を進める必要があります。みずしらずの人だけの町内では助かる命を救うことはできません。
また、高齢化はこれからも続きます。一人住まいのお年寄りの命を守れる仕組みを町内(自治会)で作り上げる必要があり、ハードルの高い取り組みですが、行政の力を借りながら少しでも前に進めましょう。

安全士会の活動に参加してみたい方へ

自然災害の多発により防災の関心は高まっています。その結果、最近では防災士の資格を取得される方も増えています。ただ、資格をとってそれで終わりではもったいないと思います。学んだ事を地域で実践して頂きたいと思うのですが、「仲間」が無いと活躍の場を見つけることは困難です。

地域の防災士会や安全士会の様に、防災士の集まる組織を見出し、研鑽を続けながら実践の場を見つけて頂きたいと思います。

(毎月学習会を開催し、防災知識を深める)

information
中越市民防災安全士会
住所:長岡市千歳1-3-85(ながおか市民防災センター2F)
電話:0258-77-3918
画像提供:中越市民防災安全士会

この記事を書いた人

moshimo ストック 編集部

防災をしたいけど情報がたくさんあって、何から始めればいいの…?
私たち moshimo ストックも始めは知ることが幅広くて、防災ってちょっと難しいな…と思いました。
そんな "元初心者" の編集部が、初めての方にもわかりやすいよう防災・備蓄・災害についての情報をお届けいたします。
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