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いままでの大震災は、海溝型地震と直下型地震どちらのタイプ? 過去の地震もとに被害を知っておこう

前回は海溝型地震と直下型地震の仕組みと、おきやすい被害について説明をしました。
今回は過去に大きな被害を起こした地震をとりあげ、海溝型地震と直下型地震による被害のようすを紹介いたします。

海溝型地震

海溝型地震は海が震源地となるため、津波による危険が大きく、沿岸に近い地域ほどゆれも大きくなります。また、短い間隔で繰り返し地震が起こりやすい特徴があります。

2003年 十勝沖地震

北海道釧路沖でマグニチュード8.0の地震が発生しました。最大震度6弱以上が観測された地域は、直線にして約200kmととても広い範囲となっています。死者1名、行方不明1名、負傷者849名となり、住宅全壊116棟、住宅半壊368棟の被害となりました。
十勝沖では1843年、1952年、2003年の3回、マグニチュード8を超える地震がおきており、短い周期で繰り返し起きる海溝型地震の特徴がみられます。

2011年 東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)

三陸沖でマグニチュード9.0の地震が発生し、宮城県で最大震度7を観測。宮城県、福島県、茨城県、栃木県をまたぐ、直線にして300kmの範囲で震度6強が観測されています。
津波の高さ(海岸での波の高さ)は福島県富岡町で20mを超える痕跡が残されており、遡上高(海岸から陸地を駆け上った波の高さ)は、岩手県宮古市で40mを超えた痕跡が残っています。
東日本大震災では津波での被害が多く、死者19,729名のうち約9割が津波による溺死とされており、多くが津波によるものと推測される行方不明者も2,559名となっています。家屋の被害は住宅全壊121,996棟、住宅半壊282,941棟と未曽有の被害となりました。

また、本震から4日後までに震度6弱を超える余震が5回も起きており、その後の1ヶ月間にも震度6弱を超える地震がたびたび観測されました。

東日本大震災 津波被害(出展:財団法人消防科学総合センター 災害写真データベース)

想定 南海トラフ地震

過去に日本で周期的に起きている海溝型地震で、30年以内にマグニチュード8〜9クラスの地震が70%の確率で起きるとされている、南海トラフ地震について紹介いたします。
南海トラフ地震は、静岡県から宮崎県まで続く、“南海トラフ”と呼ばれるユーラシアプレートとフィリピン海プレートの境界で起きるとされる地震です。この南海トラフでは過去に100~150年の周期で大地震が発生しています。
政府の推計よると、最大震度は7、広い範囲で震度6強から6弱の強い揺れが起きるとされています。また、広い範囲で10mを超える津波が押しよせ、地域によっては30mを超えると予測される場所もあり、東日本大震災に相当する被害が起きるとされています。

直下型地震

直下型地震は陸地の下が震源地となるため震度が大きくなり、建物の倒壊や家具の転倒によって命にかかわるけがをする可能性が高くなります。また、前触れとなる小さなゆれが無く突然大きなゆれがおこるため、身を守る時間がほとんどないことも被害を大きくします。

1995年 阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)

兵庫県淡路島北部の深さ16kmを震源としてマグニチュード7.3の地震が発生、淡路島北部と神戸を中心として震度7のゆれとなりました。なお、震度7を超える地震は、日本の観測史上初めての地震となっています。
死者6,434名、負傷者43,792名と未曽有の被害を起こし、住宅全壊104,906棟、住宅半壊144,274棟と多くの建物が被害を受けたことから、死因の約7割が圧死・窒息死とされています。このような被害状況をうけて、阪神・淡路大震災で倒壊した建物の調査によってあがった課題が2000年に改訂された耐震基準に盛り込まれました。

阪神・淡路大震災 住家被害と延焼被害(出展:財団法人消防科学総合センター 災害写真データベース)

2004年 新潟県中越地震

新潟県中越地方の深さ13kmを震源としてマグニチュード6.8の地震が発生、震度7が観測され、その後40分の間に震度6強の余震が立て続けに2回起きています。
この3回の地震によって、住宅全壊3,175棟、住宅半壊13,810棟となり、電気、ガス、水道などのライフライン停止し、道路にも大きな被害が出たことから山の中の集落が孤立しました。
高齢者が多い地域であったこともあり、避難先のエコノミークラス症候群や被災後のストレスによる死因が多くなり大きな課題となりました。死者68名、負傷者4,805名の被害となっています。

新潟県中越地震 長岡市妙見の土砂災害(出展:財団法人消防科学総合センター 災害写真データベース)

2016年 熊本地震

熊本県熊本地方の深さ11kmでマグニチュード6.5の前震が発生、その約28時間後にマグニチュード7.3の本震が発生しています。この2つの地震はいずれも震度7が観測される大きな地震となりました。その後2日の間に震度6弱を超える地震が5回発生し、大きな余震の続く災害となりました。死者273名、負傷者2,809名、住宅全壊8,667棟、住宅半壊34,719棟となる被害となっています。

熊本地震 住家被害(出展:財団法人消防科学総合センター 災害写真データベース)

2018年 北海道胆振東部地震

北海道胆振(いぶり)地方中東部、深さ37kmでマグニチュード6.7の地震が発生、北海道では初めて震度7を観測しました。
死者43名、負傷者782名、住宅全壊469棟、住宅半壊1,660棟の被害となったほか、北海道最大の発電所「苫東厚真(とうまつあつま)火力発電所」が停止したことから、北海道の全域が約半日の停電、その後も広い地域で2日間の停電が起こりました。
一般的なイメージとして直下型地震が起きにくいと思われていた北海道ですが、北海道胆振東部地震では震度7の地震となり、石狩地方、十勝地方、渡島・檜山地方、宗谷地方、根室地方などに活断層が多くあるため注意が必要です。

北海道胆振東部地震 道路被害(出展:財団法人消防科学総合センター 災害写真データベース)
今回は過去に起きた海溝型地震と直下型地震を紹介しましたが、傾向として海溝型地震が被害をおこす範囲は数百kmにわたるほど非常に広くなり、津波の被害が非常に大きくなります。被害のおきやすい場所は太平洋側となり、特に沿岸に近い地域ほど大きなゆれとなります。

直下型地震の影響する範囲は数十kmと狭い範囲となりますが、近くの震源で起きた地震のエネルギーをそのまま受けることとなりますので、非常に大きな震度となります。日本にはたくさんの活断層があるため、どこに住んでいても直下型地震が起きると考えておきましょう。
なお、東京を含む南関東では、マグニチュード7クラスの首都直下型地震が30年以内に70%の確率で起きるとされています。首都周辺には人口や建造物が密集しているため、被害が非常に大きくなることや、ライフラインや交通の停止による支援不足も懸念されています。

2つのタイプで津波の被害の大小はあるにせよ、しっかりとした耐震対策を行い、もし災害にあったときには、すぐに避難を行うことには変わりはありません。地震への準備を怠らず、日ごろから心がけるようにしましょう。

この記事を書いた人

moshimo ストック 編集部

防災をしたいけど情報がたくさんあって、何から始めればいいの…?
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