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地震をおこす活断層ってなに?直下型地震をおこす活断層について知ろう

日本は世界有数の地震が多い国で、活断層が地震の原因になっている。という話を耳にした ことがあるかもしれません。しかし、活断層とは具体的にどのようなものか知らない人も多いのではないでしょうか?
地震をおこす活断層がどのようなものか、また地震がおきる仕組みについて知ってみましょう。

活断層によっておきる直下型地震(内陸型地震)

海の地震と陸の地震

地震は海側でおきる場合と、陸地側でおきる場合の2つのケースがあり、活断層は陸地側でおきる地震に関係しています。
海側でおきる海溝型地震は、地球をおおう大きな地盤「プレート」が重なる部分で、大陸プレートと海洋プレートの境目がずれたり、海洋プレートが割れたりすることでおこる地震です。
陸地側でおきる内陸型地震は、大陸プレートに無数に入った小さな割れ目「断層」がずれておこる地震です。大陸プレートの断層は海の下(日本の場合は日本海の海底)にもありますが、陸地の断層が地震をおこすと私たちの住んでいる真下が震源となるため「直下型地震」とも呼ばれます。


地震による被害の違い

海溝型地震は震源での地震のエネルギー「マグニチュード」が大きくなることが多いのですが、ゆれの大きさは震源の海から陸地に届くまでにいくらか衰えます。そのため、マグニチュードが同じだった場合には、海溝型地震の方が陸地でのゆれの大きさ「震度」は小さくなります。しかし、大きなエネルギーが広い範囲に伝わるため、東日本大震災で東北地方を中心に大きな被害があったように、被害が多くの地域に広がることが特徴です。
また、震源となる海で津波がおこり陸地に押し寄せることから、津波による被害が大きくなります。

直下型地震では「マグニチュード」は比較的に小さくなりますが、震源が私たちの住んでいる陸地の下ととても近いところにあるため、ゆれが衰えずそのまま伝わり猛烈なゆれがおこります。被害の地域は多くの場合20~30キロメートルの範囲に限られる ものの、阪神・淡路大震災や平成28年 熊本地震でおきたように、建物が倒壊したり大きく傾いたりすることにより、建物や家具による圧死が多くなります。
また、震源が陸地の下となるため、地震がおきてからゆれが地上に伝わるまでの時間が短く、震源近くでは緊急地震速報の通知が届く前にゆれがおこります。また、大きなゆれの前兆となるカタカタとした小さなゆれがなく、いきなり猛烈なゆれがおこることが多くあります。
机の下に移動したり頭を守ったりする時間がないため、直下型地震では建物の耐震化や家具対策など事前の準備が必要となります。

断層・活断層とは?

断層

直下型地震をおこす断層は、大陸プレートに無数に入った小さな割れ目と説明をしましたが、実際にはどのようなメカニズムで地震をおこすのでしょうか?断層について、もう少し詳しく見ていきましょう。
海洋プレートは大陸プレートに向かって、1年間に数cm~10cm程度のスピードで移動しながら大陸プレートの下に沈み込んでいきます。このとき、大陸プレートは少しずつ押され圧縮されることでプレートに力が蓄積していきます。この力に耐えきれなくなったとき、大陸プレートの弱い部分がずれて動き、その時の衝撃が地震となります。そして、ずれた跡としてプレートに残った割れ目が断層となります。

地震によって地表に現れた断層

活断層

地球が出来てから今までにプレートにはたくさんの断層が生まれていますが、この中で数十万年前(研究者によっては200万年前)から現在の間に活動があり、再びずれる確率の高いものを「活断層」と呼んでいます。
また、1,000年あたりどれくらいの距離を動いたかを示す「活動度」も地震をおこす確率を知るための目安です。1,000年あたりの平均的なずれの量が1m以上10m未満は活動度A、0.1m以上1m未満は活動度B、0.01m以上0.1m未満は活動度Cと分類されています。

日本にはこうした活断層が2,000あるとされ、日本の下を網の目のように走っています。
現在見つかっている活断層がどこにあるか、こちらのWEBサイトで見ることができますので確認をしてみてください。

活断層データベース 起震断層・活動セグメント検索

主要活断層帯

こうした活断層の中で、複数の活断層が帯状に隣接しているものを「活断層帯」と呼んでいます。中でも活動度が高く、社会への影響度の高い断層が114選ばれ「主要活断層帯」として指定されています。(2023年現在)
この主要活断層帯では、どれくらいの大きさの地震が、どれくらいの確率でおきるかといった詳細な調査が行われています。
行われた調査結果は、地震調査研究推進本部のWEBサイトで公表されていますので、参考にしてみてください。

主要活断層の評価結果

長期評価結果一覧

活断層により地震のおきる場所

主要活断層帯は、あくまで活断層が隣接して集まった活断層帯のなかから、特に社会的影響度の高いものが選ばれています。そのため、主要活断層帯で示された場所のほかにも、細かい活断層がたくさんあります。また、今まで発見された活断層以外にも、地中に埋もれ見つかっていない活断層もあり、日本ではどこにいても地震がおこる可能性があります。
北海道や九州は地震がおきにくいイメージがあるかもしれませんが、各所に活断層があり、平成28年 熊本地震や北海道胆振東部地震といった大変な被害をおこした直下型地震がおきています。
日本にいる限りは、どこにいても地震がおきる可能性があると考えて備えをしておきましょう。

また、日本海には津波がおきにくいイメージがあるかもしれません。しかし、日本海の海底にも活断層があります。プレートの境目による海溝型地震でなくても、海が震源となれば津波がおきますし、プレートの境目よりも震源が近くなることから、地震がおきてから数分~10分と短い時間で陸地に津波が届きます。海の近くにいる場合にはいち早い避難を心がけましょう。

予測しにくい直下型地震

海溝型地震の原因となるプレートの境目のずれも、直下型地震の断層のずれも一定の期間で繰り返しおこります。
プレートの境目のずれによるマグニチュード8クラスの海溝型地震は100~200年の周期でおこります。この周期は地震のおきる場所によって変わってきますが、周期を200年とした場合、地震がおきてから100年間は静穏期、100年以降は活動期となり時間が経つにつれて地震がおきる確率が高まっていきます。
内閣府によって、おきる確率が高いとされる海溝型地震が予測されていますが、南海トラフ地震の今後30年以内の発生確率70~80% 、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の今後30年間の発生確率60~70%といった予測は、プレート境界のずれの周期をもとに計算がされています。

活断層による地震の発生確率

海溝型地震のように周期が100年単位であれば、人間のライフサイクルに近い数十年単位の発生確率は求めやすいのですが、直下型地震の原因となる断層のずれの周期は、数千年~数万年となっているため、数十年単位の確率を求めようとすると誤差が大きくなり予測は難しくなります。

主要活断層帯の地震発生確率を見てみると、発生確率がとても高いSランクとされているものでも5~10%程度、多くが1%以下となっています。
この数字だけをみると発生確率が低いように思えますが、日本には2,000もの活断層があることを忘れてはいけません。
過去におきた直下型地震で、30年間の地震発生確率がどうなっていたかの例をあげると、阪神・淡路大震災では0.02%~8%、平成28年 熊本地震の場合は0%~0.9%とされていました。 このように、数値が小さくても地震が発生しないということをではありません。一つ一つの確率は小さくても、日本の下に網の目のようにある活断層のどこかで地震がおきる確率は高くあるのです。

活断層による地震の発生確率を予測することは難しく、内閣府などから予測が出されていない地域や、活断層による地震の発生確率が低い場所には地震がおきないという保証にはなりません。
そのため、日本にいる限りどこにいても地震がおこると考え、いつ大きな地震が来ても大丈夫なように、日頃から対策をしっかり行うことが大切です。

参考資料

地震調査研究本部 海溝型地震

地震調査研究本部 (活断層の)活動間隔、活動度

地震調査研究本部 断層帯

地震調査研究本部 主要活断層帯

地震調査研究本部 千島海溝沿いの地震活動の長期評価

地震調査研究本部 長期評価結果一覧

国土地理院 活断層とは何か

防災科学技術研究所 7.3 地震の周期性と活動期・静穏期

国土交通白書 2020 第2節 地球環境・自然災害に関する予測

東京都防災 地震のメカニズム

NHK 日本海側 地震直後に津波到達する「海陸断層」が多数存在

この記事を書いた人

moshimo ストック 編集部

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