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ひとりに一つ。子どもの非常用持ち出し袋を、成長にあわせて用意しよう

気象災害や大規模地震など、大きな災害が発生した時には、私たちは命を守る行動を取る必要があります。自宅にとどまることが一番安全なら、在宅避難することも選択肢の一つですが、避難所やホテルなど、自宅以外の場所に身を寄せなくてはいけなくなることも考えられます。いざという時に、速やかに行動に移せるように、非常用持ち出し袋はしっかりと備えておきましょう。

乳児は大人の非常用持ち出し袋の中に

お子さんのいらっしゃるご家庭では、普段でもお母さんの荷物が多くなると思います。避難するときに、お母さん、お父さんが抱っこして逃げることになる、乳児のいるご家庭は、ご両親の非常用持ち出し袋の中に、お子さんの分も備えておくことになります。
貴重品や非常食、応急医薬品や着替えなどの生活用品、携帯ラジオや懐中電灯などといった大人の非常持ち出し品のほかに、母子手帳、オムツやおしりふき、オムツ替えシート、哺乳瓶、粉ミルクやベビーフード、歯磨きシートやカイロ、赤ちゃんの着替えやお薬、抱っこ紐、ブランケットかスリーパーなど(アルミ製の防災ブランケットは、通気性がないため、乳幼児は窒息の危険性があり、使用できません)も非常用持ち出し袋の中に入れておきましょう。
乳児の非常持ち出し品は、日頃、赤ちゃんと一緒にお出かけをする時に持っている、マザーズバックの中身を基準にすると、準備しやすいのではないでしょうか。
母子手帳には、連絡先やかかりつけ医、アレルギーの有無やお薬の記録などを記しておくことも、備えのひとつです。

非常用持ち出し袋の重さは、男性で体重の30%、女性で20%を目安に

乳児の非常持ち出し品は、マザースバックのようにお子さんのものだけでひとまとめにしておいて、大人の非常用持ち出し袋とお子さんの分の非常用持ち出し袋の2つを持って避難するというのも一つの方法ですが、お子さんを抱っこして、カバンを2つ持って避難するというのはやはり大変です。お子さんの非常持ち出し品は、出来るだけコンパクトに、ポーチなどにひとまとめにして、大人の非常用持ち出し袋の中に入れられるのが理想です。
ただし、気をつけていただきたいのは、その重さです。
非常用持ち出し袋の重量の目安は、男性で15キロ、女性で10キロ以下と言われています。
男性で体重の30%、女性で体重の20%ほどの重さが、持ち出して移動できる限界です。
この、目安となる重量に、抱っこするお子さんの体重も含まれます。お子さんの体重が3キロなら、非常用持ち出し袋の中身は、男性で12キロ、女性で7キロ以下に納める必要があるのです。お子さんのものも含めると、どうしても荷物が多くなってしまいますが、その分、大人の非常持ち出し品を厳選して、少なくする必要が出てきます。

幼児になったら、お子さんが自分で背負える非常用持ち出し袋を

お子さんが歩けるようになったら、ご両親がお子さんの手を引いて、避難所に向かうことになるかと思います。想像したくないことですが、災害時の混乱の中で、避難途中にはぐれてしまう可能性もあります。そうした、万が一のことにも備えて、また避難時の大人にかかる負担を少しでも減らすためにも、一人で歩けるようになったお子さんには、お子さん自身で背負える非常用持ち出し袋を用意しましょう。
リュックや肩掛けかばんなど、子ども自身で持つことができて、両手があくもので用意することが基本です。
子ども用の非常用持ち出し袋には、飲み物とお菓子などの簡単に食べられるもの、着替えやタオル、おむつや簡易トイレ、持っていると安心するおもちゃや絵本などを入れておきましょう。子どもでも扱える懐中電灯や、助けを呼ぶためのホイッスルは、ペンダント型のものを首から下げて避難するか、キーホルダー型のものを非常用持ち出し袋の外側に取り付けておきましょう。いざという時に子ども自身で扱えるように、普段から、ホイッスルの吹き方や懐中電灯の扱い方を練習しておくことも大切です。
子どもの非常用持ち出し袋も、重さの目安は体重の20%ほど。例えば、お子さんの体重が18キロなら、非常用持ち出し袋の重さは3〜4キロほどが限度です。救援物資が行き渡るまでには3日〜1週間が目安で、最低でも3日分の飲み物や食べ物の備えが必要と言われていますが、子どもの非常用持ち出し袋では、子ども自身で持てる重さを優先します。
ご両親とはぐれてしまった場合でも、周りの人に助けてもらいやすいように備えておくことも必要です。家族で写っている写真の裏に、子ども本人の名前と両親の名前、住所や連絡先、血液型や生年月日、アレルギーの有無などを書いて、ラミネートするか、100円ショップなどで買える硬質カードケース(参考: カードケース 硬質B7)に入れて、非常用持ち出し袋の取り出しやすいところに入れておきましょう。

子どもの成長に合わせて、定期的にカスタマイズを

日々、成長する子どもたち。着替えなどのサイズはもちろん、食べ物の好みや、持っていると安心できるものも変わっていきます。少なくとも1年に1度は、子どもと一緒に非常用持ち出し袋の中身を見直して、必要に応じてカスタマイズしていきましょう。
実際に非常用持ち出し袋を持って、避難所までお散歩してみるのも、良いかもしれません。
「もしも、お母さん、お父さんとはぐれてしまった時にはどうするのか」「どうやって周りの大人の人に助けを求めるのか」なども、非常用持ち出し袋の中身の使い方とともに話し合っておくことも、大切な備えの一つです。

基本の非常用持ち出し袋として必要になるものやチェックリストは、こちらのページで紹介していますので参考にしてみてください。


この記事を書いた人

瀬尾 さちこ

防災士。住宅建築コーディネーター。整理収納コンサルタント。

愛知県東海市のコミュニティエフエム、メディアスエフエムにて防災特別番組「くらしと防災チャンネル(不定期)」、「ほっと一息おひるまメディアス(毎週水曜日12時〜)」を担当。
以前の担当番組:みんなで学ぶ地域防災(2021年~2021年)、防災豆知識(2019年~2021年)
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