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日本は防災後進国?お国柄による防災対策の違い

日本はインフラが整い、真面目な国民性で、災害に対しても訓練や備蓄などの対策をしっかり行っていると思えるかもしれません。しかし、世界を見てみると、日本では当たり前の光景が少し違ってみえることも。海外の防災事情をちょっとのぞくだけで、防災に対する意識が変わるかもしれません。

イタリアの避難所に学ぶ、理想的な避難所運営

日本の避難所と言えば学校の体育館を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。間仕切りはなく、周りの人に気をつかいながら狭いスペースに雑魚寝をするというのが、日本の避難所の一般的なイメージになりつつあります。
しかし、このような避難所は先進国では日本だけで、世界的にも最低水準だとされています。欧米の避難所では簡易ベッドが準備され、テントで家族ごとに避難するのが一般的なのです。

日本と同じ地震大国のイタリアでは、国の官庁である「市民保護局」が避難所の設営や生活支援を主導します。そして、避難所には災害発生後48時間以内にテント、ベッド、仮設トイレ、食堂を準備し、提供することを法律で定めています。公的な備蓄倉庫を各州、災害ボランティア団体が持っており、早ければ発災当日にテントやトイレなどを設置できるのです。

テントは約10畳ほどの広さがありエアコン付き、トイレは広い上に車いす対応のものはスロープ付きだというから驚きです。さらに2009年に起こったイタリア中部のラクイラ地震では、テントに避難したのは2万8千人とされていますが、それを上回る3万4千人が、国の資金でホテルに宿泊したといいます。

避難所の食事にも大きな違いがあります。日本では内閣府の「災害救助法による救助の程度、方法及び期間並びに実費弁償の基準」により、飢餓にならないための炭水化物があれば良いと考えられており、支給される食事はパンやおにぎりが一般的ですが、イタリアでは調理を担うボランティア団体がキッチンカーを各地に準備し、暖かく美味しい食事を提供してくれます。キッチンカーは長いトラックで、1台につき1時間で1000食を提供することが可能。食事をするスペースも100人規模のテントの中に机が並べられ、食堂として開放されます。

イタリアでは、自身の職業を活かして災害支援を行う「職能支援者」が、被災地で調理や運転手などの業務を行います。職能支援者はあらかじめ災害時の対応訓練を受けて、国に登録することで、災害が発生すると最大で7日間の給与、交通費、保険が支給・補償され、被災地に派遣されます。雇用者は登録者を被災地に派遣させるように法律でも義務付けされており、300万人近くの職能支援者が被災地を支えています。

物を惜しみなく人に与える、メキシコは「助け合い」のお手本

メキシコは、国民の約9割がカトリック信者という背景もあり、自ら進んで人に親切にするという助け合いの精神が根付いた国。メキシコ人は陽気でおおらかな人が多く、細かいことは気にしませんが、プライベートでもフォーマルな場でも、少し時間にルーズなところが特徴的。鉄道の発着時間が遅れたり、工事を頼んでも約束の開始時間より2~3時間以上遅れるということも日常茶飯事ですが、いちいち腹を立てることもありません。

メキシコでは2017年9月にマグニチュード7.1の大地震が発生しました。公の機関をそこまで信じていないメキシコ人は、いつ来るか分からない支援に頼るよりも、今いる場所でお互いに助け合うのが当たり前。

地震発生から数時間後には、被災者自ら自宅近くの交差点にテントを設けて飲料水の配布を開始。その後、同じように被災した市民から寄付された材料でハンバーガーやサンドウィッチを調理して約20人の有志が24時間体制で被災者やボランティアに食事などを提供しました。

倒壊したビルには、多くのボランティアが集まり、長い列を作ってバケツリレーでがれきを運び出したり、電気などのライフラインが止まらなかった家では、携帯電話などを自由に充電できるようにと、バルコニーから電源コードを歩道に垂らすなど、被災者自身が各自でできる支援を考えて助け合います。

日本では地震や災害時の度、大きな問題になる買占めですが、メキシコでは災害時に買占めが起こることはあまりなく、スーパーの棚は品物でいっぱい。水やおむつ、缶詰などを買い込んだとしても、それは被災者に提供するための購買がほとんどです。

避難訓練は一大ムーブメント!日本でも広がるアメリカ発祥のシェイクアウト

2008年にアメリカのカリフォルニア州で生まれたとされる地震のための避難訓練シェイクアウト。このシェイクアウトは、日本の避難訓練とは異なり、会場を特定したり参加者の人数制限があるものではありません。

市町村が主体となり、ホームページや自治体、学校を通じて参加者の募集が行われ、あらかじめ指定された日時になると、運営者の指示や地域・館内の放送によって地震の発生を通知します。参加者は家庭や職場、学校、外出先など、それぞれの場所で地震から身を守るための3つの安全行動を約1分間行います。

[3つの安全行動]

  • Drop
    揺れで転倒したり、飛来物の衝突を避けるために、その場で姿勢を低くします。
  • Cover
    落下物から身を守るため、机や鞄、手、腕などで頭や首を守ります。
  • Hold on
    揺れが収まるまでじっとします。
このシェイクアウトでは、事前学習や実施後のフィードバックで参加者の自主性を引き出すしくみになっています。 事前学習では、HPなどを活用して被害想定や災害対応について学んだり、地域の講演会に参加します。訓練後には、SNSで各参加者がシェイクアウトを行った際の反省や感想、気づいたことを投稿します。参加者が自身の経験としてアウトプットすることで、避難行動の記憶が定着しやすくなるのはもちろん、膨大な数の参加者が各地で同時多発的にシェイクアウトを行うことで、社会的にも注目され、参加者以外にも防災に対する意識を促すことができるのです。

日本でも北海道や、東京・埼玉・千葉などの一部の自治体でシェイクアウトを取り入れた防災訓練が広がっており、2019年9月に北海道で行われたシェイクアウトでは14万人以上が参加しました。 日本では9月1日が防災の日となっており、あわせて9月にシェイクアウトを実施するところが増えています。ぜひ、お住まいの地域や、職場・学校がある地域の自治体情報を確認してシェイクアウトに参加してみてください。

この記事を書いた人

moshimo ストック 編集部

防災をしたいけど情報がたくさんあって、何から始めればいいの…?
私たち moshimo ストックも始めは知ることが幅広くて、防災ってちょっと難しいな…と思いました。
そんな "元初心者" の編集部が、初めての方にもわかりやすいよう防災・備蓄・災害についての情報をお届けいたします。
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