内水氾濫や外水氾濫が発生して、市街地に水があふれ出している状態を表現される言葉に、「浸水」と「冠水」があります。「床上浸水」「床下浸水」や、「道路が冠水した」などといわれます。
浸水と冠水。この言葉の違いは、“物”が水に浸かっているのか、“土地”が浸かっているのかです。
浸水
浸水は、“物”が水に浸ってしまったり、“物”に水が入りこんでしまっていることを言います。
住宅などの建物や自動車などが水に浸かったり、中に水が入ってきてしまったら、浸水の被害となります。
ちなみに、自動車保険などでは浸水の被害にあった車を「水没車」といったりもしますが、水没とは正確には、浸水する深さが増していって、完全に水の中に沈んでしまった状態を言います。
低い土地などでは、大雨によって外水氾濫と内水氾濫が同時に発生するなどすれば、住宅も床下浸水から床上浸水、そして水没へとなることもあります。
お住まいや職場などに、どれだけ浸水のリスクがあるのか、日頃からハザードマップを確認しておきましょう。
冠水
土地が水に浸かっている状態を表すのが「冠水」です。気象庁では、「農地や作物、道路が水をかぶること」と定義しています。
道路や田畑などの、建物が建っていない場所があふれた水に浸かっている状態です。
道路の冠水は、交差する鉄道や道路などの下を通過できるように周辺の地面よりも低くなっている道路「アンダーパス」で発生のリスクが高まります。
大雨が降っているなか「きっと通れるだろう」と侵入したものの想像していたよりも深く冠水していて、浸水してしまった車の身動きが取れなくなり命を落としてしまうというケースも、大雨による災害時にはあちこちで見受けられます。
大雨が降った時には入り口に設置された掲示板で冠水情報を表示するアンダーパスも増えてきています。また、国土交通省のホームページでは、全国道路の冠水が想定されている箇所などの情報「
道路防災情報WEBマップ(道路に関するハザードマップ)」も公開しています。
台風や豪雨などの大雨が降っている時には、冠水による被害から身を守ることができるように、危険箇所へ無理に侵入することはやめましょう。