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なにげなく触れている気象情報。時間・週間・季節など、予報のいろいろな種類を知って、使いこなそう!

テレビやラジオ、S N Sやアプリ、WEBページ、新聞など、日頃から様々なかたちで私たちは気象情報(天気予報)にふれています。
気象予報は、国の機関である気象庁が発表するものと、国家資格を持った気象予報士が所属する民間の気象情報会社(民間気象事業者)が発信するものがあります。テレビの天気予報などでは、出演する気象予報士などの分析や情報が加えられて私たちに届けられることもあります。民間気象事業者の数は100を超えています。情報の提供のされ方や分かりやすさなどから、好みの民間気象事業者がある方もいらっしゃるかもしれません。

民間気象事業者が出す情報も、気象庁から出される観測データや予報資料などをもとに作られています。そして、気象庁が発表している情報は、一般の人たちでも確認することができます。
気象庁が発表している天気予報にも、いろいろな種類があります。短時間予報や、短期予報、中期予報や長期(季節)予報など、日々の予定を立てるときや気象災害の危険性が高まってきた時など、天気予報の種類やアクセス方法を知って、活用していきましょう!

日々の暮らしには「短期予報(天気予報)」

私たちが一番ふれる機会の多いのは、短期予報でしょう。いわゆる、天気予報です。
気象予報の用語では、「3時間先を超え、2日間(48時間)以内の予報」と定義されています。今日と明日のお天気や、風、最高・最低気温や降水確率、波の高さなどが、発表されます。
天気予報では「〇〇県西部・東部、ともに晴れ」などと伝えられたりしますが、都道府県を1〜4つの地域ごと(北海道は支庁ごと、沖縄県は7つの地域)に分けて、発表されています。

また、3時間ごとの天気や気温などを予報する、天気分布予報と地域時系列予報も、アプリなどでよく目にしているのではないでしょうか。

天気分布予報

天気分布予報は、「関東甲信地方」や「東海地方」「近畿地方」などの地方予報区内をさらに5kmの格子で区切り、エリア内の天気や降水量、気温、降雪量を3時間ごとに翌日の24時まで、また、エリア内の日中の最高気温と朝の最低気温を示す予報です。分布予報とも呼ばれています。
天気はそのエリアで代表的なものが「晴れ」「曇り」「雨」「雨または雪」「雪」で発表されます。
降水量は平均降水量を「降水なし」から「20mm以上」までの6回級で、平均的な気温は1℃単位で示されます。

地域時系列予報

地域時系列予報のエリアは短期予報と同じく、都道府県を1〜4つの地域ごとに分けた区域(一次細分区域)で発表される、天気や気温、風を3時間単位で翌日の24時まで図形式で予報表示したものです。時系列予報とも呼ばれています。区域内の代表的な3時間ごとの風を、「風なし」と「0〜2m/s」から「20m/s以上」まで、6階級に分けて示し、風向きは8方位で表現します。

天気予報、天気分布予報、地域時系列予報共に、毎日5時と11時と17時の3回、定時発表されています。何事もなければ、この3回、毎日更新されますが、気象災害が発生する可能性が高まっている時などは必要に応じて随時発表されることになっています。

短期予報(天気予報)や天気分布予報、地域時系列予報では、日常生活のなかで、その日に「どんな服装ですごそうか」「お出かけをするかしないか」「折り畳み傘を持って出掛けるかどうか」など、その日の行動を考えるのに役立ちます。3時間ごとの天気や気温を予報する天気分布予報や地域時系列予報を確認することで、朝のお出かけ時に帰りの時間にどのような空模様や気温になっているかも、想像しやすいのではないでしょうか。

中期予報の週間天気予報

中期予報

1週間の天気予報は、気象用語では「中期予報」と呼ばれています。予報を行う時点から2日間先を超え、7日間先以内の予報です。
北海道は7つの地域に、沖縄は4つの地域に、鹿児島は2つの地域に細かく分けられているほかは、都道府県単位で発表されています。

日ごとの天気と、最高・最低気温、降水確率が発表されますが、A・B・Cの信頼度が付けられていることも特徴です。
信頼度Aがついていれば、明日の予報並みに的中率が高い予報。信頼度BやCがつけられていれば、雨や雪が降る予報が翌日に変わる可能性があります。

ご旅行の予定などを立てるときには、信頼度BやCがついていれば、数日のうちに予報が変わる可能性もあると、考えておいた方が良さそうです。

また、気象庁のホームページの天気予報では、最高気温と最低気温、それぞれの下に、カッコ書きで数字が書かれています。例えば、最高気温13 (12〜15)といった具合です。
これは、気温の予想範囲を示しています。「数日先の気温は確定ではないので、13度と予報は出しているけれど、実際には12度から15度と幅を持って予想しています」ということです。実況の気温がこの範囲に入る確率は、80%ほどです。

毎日、11時と17時の2回更新されるので、信頼度も含めてチェックしましょう。

早期天候情報

「急激に暑くなる」と予想される場合や、「急激に寒くなる」と予想される場合には、「早期天候情報」が発表されることがあります。情報発表日の6日後から14日後までを対象として、5日間の平均気温が「かなり高い」確率が30%以上と予測される場合には、「高温に関する早期天候情報」が出されます。逆に、情報発表日の6日後から14日後までを対象として、5日間の平均気温が「かなり低い」確率が30%以上と予測される場合には「低温に関する早期天候情報」が出されます。
11月〜3月の冬の間には、日本海側の地域で5日間の降雪量が「かなり多い」となる確率が30%以上となると予測された場合には「大雪に関する早期天候情報」が出されます。

農業に従事される方や家庭菜園などを楽しんでいらっしゃる方などは、こうした情報が出されたら農作物の管理などに注意が必要です。冬の間、「大雪に関する早期天候情報」が出されたら、雪の多い地域などでは特に、立ち往生などの雪のトラブルが発生することも予想されます。こうした情報をもとに、早めの対策をとるようにしましょう。

農業・水産業、小売業、企業などで特に活用されている長期予報(季節予報)

週間天気予報よりも、さらに先の、長い期間で出される予報に、長期予報があります。予報を行う時点から、7日間(1週間)先を超えて、6ヶ月以内の予報。気象庁のホームページでは、こちらから確認することができます。

長期予報には、1か月予報、3か月予報、暖候期予報、寒候期予報、早期天候情報があります。

1か月予報

毎週木曜日の午後2時30分に発表される「1か月予報」は、次の土曜日から向こう1か月の平均気温や降水量、日照時間や降雪量などの総括的な予報です。例年の同じ月に比べて、暑くなるのか寒くなるのか、雨や雪の量は多くなるのか、晴れる日は多くなるのかなどを、大まかにイメージすることができます。

3か月予報

3か月予報は、毎月25日頃の午後2時に発表されます。翌月から向こう3か月の平均気温や降水量、日照時間などの全般的な予報です。これから来る季節が、暑くなるのか寒くなるのかなど、ざっくりと想像することができます。

暖候期予報

また、6〜8月の梅雨と夏の季節に向けては、「暖候期予報」が2月25日頃の午後2時に出されます。平均気温や降水量、梅雨の季節の降水量の総括的な情報は、災害への備えの参考にもなります。

寒候期予報

12月〜2月の冬の季節に向けては、「寒候期予報」が、9月25日頃の午後2時に出されます。平均気温や降水量、日本海側の降雪量などの総括的な情報ですが、冬に向けての備えに役立ちます。

主に、農業に従事する方たちの農作物のリスク管理や、アパレル業界などの小売業の受発注、エネルギー事業での電力需給の予測などで活用をされていますが、普通の暮らしの中でも、これからの季節がどのような気候になりそうなのかを知ることで、早めに季節や災害への備えを見直す参考になります。

気象災害の心配があるときに、避難行動や災害対策に役立つ「短時間予報・ナウキャスト」

大雨や雷、竜巻など、不安な気持ちになったり、災害が発生する可能性のあるお天気の日もあります。大雨が降った時には、ご高齢の方や障害のある方、小さなお子さんなど、避難に時間のかかる方とその支援をする方は、自治体から「避難準備・高齢者等避難開始」(警戒レベル3)が発令されたときには避難を開始すること。そして「避難勧告・避難指示(緊急)」(警戒レベル4)が出された時には危険な場所にいる全ての人が速やかに避難することは、大切なことです。
しかし、避難先までの移動時間など、様々な条件によって、自治体からの避難情報などを待たずに避難を開始したほうがいい場合もあります。

そんな時に、参考になるのが、「短時間予報」です。5分ごとや1時間ごとなど、短時間で情報が更新されていきます。

短時間予報には、雨の強さを分布図で予報する「降水ナウキャスト」や、雷が発生する可能性と雷の激しさについて分布図形式で予報する「雷ナウキャスト」、竜巻やダウンバーストなどの激しい突風が発生する可能性について分布図形式で予報する「竜巻発生確度ナウキャスト」などがあります。気象庁のホームページの「キキクル」の中の「雨雲の動き」で確認することができます。

降水ナウキャストは、1km格子単位のエリアの雨の強さを、5分〜60分先まで、5分ごとに予報するというもの。雨の強さを、白色(0~1mm/h)から紫色(80mm/h以上)までの8段階の色分けで、時間を追って表示されます。また、大雨災害の危険度が急激に高まっている線状降水帯が発生している雨域は、赤線の円で表示されます。何分後に危険な雨雲が近づいてくるのかが視覚的に想像できます。
1時間に20mm以上の強い雨が降ると、土砂災害の危険性が高まると言われています。危険な地域では、雨雲が黄色(20〜30mm/h)で表される前までに避難を考えましょう。

天気予報を楽しみながら暮らしにもっと取り入れよう!

なにげなくふれている気象情報にも、いろいろなものがあります。気象庁のホームページの「キキクル」の中の「雨雲の動き」などは、おだやかな雨の日などにも見てみると、雨雲の動きを楽しめるかもしれません。表示を全国に広げると、お住まいの地域から離れたところでは、まったく違う気象状況になっていて、驚かされることもあります。
天気は、様々なこととつながっています。
災害が予想されるときや、お出かけなどの予定を立てる時になどに天気予報をチェックするというのはもちろんですが、空を通して他の地域とのつながりを感じたり、農作物の収穫を想像したりなど、日頃から気象情報にふれることを習慣にしていくと、きっといろいろな楽しみ方や活用の仕方に気づくはずです。
そして、日常的に積極的に気象情報に触れていくことは、きっと災害発生の危険性が高まった時にも役立つはずです。


参考資料


防災士教本

気象庁 天気予報等で用いる用語

気象庁 降水ナウキャスト、降水短時間予報

気象庁 高解像度降水ナウキャスト

気象庁 ナウキャスト 雨雲の動き

気象庁 週間天気予報

気象庁 季節予報

株式会社ウェザーニュース 気象業務法における民間気象事業者の役割について

気象庁 季節予報の利活用促進

この記事を書いた人

瀬尾 さちこ

防災士。住宅建築コーディネーター。整理収納コンサルタント。

愛知県東海市のコミュニティエフエム、メディアスエフエムにて防災特別番組「くらしと防災チャンネル(不定期)」、「ほっと一息おひるまメディアス(毎週水曜日12時〜)」を担当。
以前の担当番組:みんなで学ぶ地域防災(2021年~2021年)、防災豆知識(2019年~2021年)
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