エルニーニョ現象も、ラニーニャ現象も、日本から遠く離れた赤道付近、南アメリカからインドネシア近海での海水温の変化です。
にも関わらず、気象庁ではなぜこのエリアの現象を監視し、毎月1回「エルニーニョ監視速報」を出すのかというと、このエルニーニョ現象・ラニーニャ現象が、日本の気象にも影響を与えるためです。
エルニーニョ現象が発生すると、日本付近では夏の間、太平洋高気圧の発達が弱くなります。そのため、気温が低く、日照時間も少なくなる傾向があります。また、西日本の日本海側では、降水量が多くなる傾向があります。
冬の間は、西高東低の冬型の気圧配置が弱まって、気温が高くなる傾向があります。
つまり、エルニーニョ現象が発生している時には、夏は冷夏に、冬は暖冬になる傾向にあるということです。
夏の気温の低さや、暖冬は生活をする上では良さそうにも感じますが、農作物などの生育などにも影響が出てきます。
一方、ラニーニャ現象が発生すると、日本付近では夏の間は太平洋高気圧が北に発達しやすくなり、気温が高くなる傾向があります。また、沖縄・奄美では、南からの湿った気流の影響を受けやすくなり、降水量が多くなる傾向があります。
冬の間は、西高東低の気圧配置が強まって、気温が低くなる傾向があります。
ラニーニャ現象が発生すると、夏は猛暑に、冬は厳しい寒さになる傾向があるということです。
気象予報などで聞く、エルニーニョ現象とラニーニャ現象。
直ちに大雨をもたらしたり、気象に大きな影響を与えるものではありませんが、特に季節の変わり目には、気象庁などから出される速報から、どちらかの現象が発生しているかどうか確認することで、これからの季節がどんな傾向になるのか、そしてどんな災害が起こるリスクが高まるのかを、私たちも事前にざっくりと想像することができ、災害への備えの参考にできるはずです。