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土砂災害が起きやすい日本。土石流・地滑り・がけ崩れの危険性を知り大切な命を守りましょう!

毎年、夏の初め頃から秋までの間、台風や、梅雨前線、秋雨前線の影響により、洪水、土砂災害、高潮などの風水害が数多く発生しています。このような雨の多い時期によく起きるのが土砂災害です。
傾斜が急な山の多い日本では、山の斜面など、土砂災害の起こりやすい場所にも多くの住宅があり、大きな被害も発生しています。平成30年の土砂災害は、3,459件も発生しており、集計を開始した昭和57年以降観測史上1番を記録しています。

土砂崩れの危険性も高くなる時期にかけて、避難すべきタイミングやどんなことに気をつける必要があるのかなど、土砂災害について基礎的な情報をまとめてみました。



土砂災害とは

土砂災害とは、台風などの大雨や集中豪雨、地震などが引き金となって、山やがけの土や砂、石などの土砂が崩れたり、水と混じり合った土や石が川から流れ出ることにより、家や道路や田畑が土砂でうまったり、多くの人の命がうばわれる自然災害です。 生活の基礎となる家や田畑などが被害にあってしまうと、その後の生活再建にも大きく影響することもあります。

このような土砂災害ですが、大きく「土石流(どせきりゅう)」「地すべり」「がけ崩れ」の3つに分類することができます。

○土石流(どせきりゅう)
谷や斜面にたまった土砂が、長雨や集中豪雨などがきっかけで、水と混ざってどろどろになり、一気に下流へと流れ出る現象。その流れは20km~40kmもの速さにもなり、自動車と同じくらいのスピードで迫ります。
特徴としては、流れの急な河川や、谷の出口にあるおうぎ形の「扇状地」とよばれる土地でよく起こり、破壊力が大きく、速度も速いため、大きな被害をもたらします。


○地すべり
地面は、かたさや、性質がちがう土や石が、いくつもの層になって、つみ重なってできています。地すべりは、粘土のような滑りやすい層に地下水がしみ込んで、地層がゆっくりと斜面の下方へ動き出す現象。比較的ゆるやかな斜面で、広い範囲にわたって起こるのが特徴です。
多くの場合、一日に数ミリ程度と目に見えないほどの動き方ですが、地震などがきっかけで突然大きく動くこともあります。
また、地すべりの土砂が川に流れ込み、せき止められた川から水があふれ洪水となったり、溜まった水が土砂を一気に押し流して土石流を起こすことで、下流に大災害をもたらすこともあります。


○がけ崩れ
急な斜面が、地震の揺れや、雨水など地面にしみ込んだ水分で土の抵抗力が弱くなり、斜面が突然くずれ落ちる現象。突然発生し、崩れた土砂は、斜面の高さの2~3倍も離れた距離まで届くこともあります。
速いスピードと強い破壊力をもつため、がけの下にいる場合、ほとんど逃げることができず、人の命が失われることが多い災害です。

土砂災害の予兆・前兆現象

梅雨の時期で雨が降り続いている時や、大雨や集中豪雨、または地震が発生したとき、その前兆となる現象があらわれる場合もあります。
下にあげる現象がみられた場合は、土砂災害がいつ起きてもおかしくありません。早めに安全な場所へ避難するようにしましょう。
避難所へ移動することが危険な状況となっている場合には、なるべく頑丈な建物で、斜面とは反対側にある、2階以上の部屋へ移動するなど、身の安全を守る行動をとりましょう。

土石流 ・山鳴りや泥臭いにおいがする
・石のぶつかり合う音が聞こえる
・川の水が急に濁ったり、流木が流れてくる。
・雨が降り続くのに川の水位が下がる
・立木が裂ける音や石がぶつかり合う音が聞こえる
地すべり ・山腹や地面がひび割れ、陥没、段差ができる
・地面が揺れる
・地鳴り、山鳴りがする
・木が傾く
・地面や斜面から水が吹き出す
・井戸や沢の水が濁る
がけ崩れ ・斜面にひび割れができる
・斜面から水が湧き出る
・斜面から音がする
・小石がパラパラと落ちてくる
・湧き水が止まる、濁る
・地鳴りがする

土砂災害から身を守るための備え

土砂災害は一瞬のうちに多くの人命や財産を奪う恐ろしい災害です。また、梅雨などで地盤の緩む時期は、常に発生のリスクが上がるため、事前に予測することは非常に難しくなります。土砂災害から身を守るためには、日頃からの備えと適切なタイミングでの避難が大切です。土砂災害に備えるために知っておくべきポイントをご紹介します。

○ 自宅が「土砂災害危険箇所」なのか確認
土砂災害の危険がある地区では、
● 土砂災害が発生するおそれがある箇所を「土砂災害危険箇所」
● 土砂災害が発生するおそれがあり、住民に危害が生じるおそれがある区域を「土砂災害警戒区域」
● 土砂災害警戒区域のうち、土砂災害が発生した場合に建築物に損壊が生じ、住民に著しい危害が生じるおそれがある区域を「土砂災害特別警戒区域」
に指定しています。 自分の家がこれらの土砂災害のおそれのある地区にあるかどうか、ハザードマップで確認しておくか、自分の住む市町村に問い合わせましょう。

国土交通省ハザードマップポータルサイト
https://disaportal.gsi.go.jp/

○ 雨が降り出したら「土砂災害・警戒情報」に注意
大雨などによる危険が予測される場合、都道府県と気象庁から「注意報」「警報」「警戒情報」「特別警報」などが、危険度に応じて段階的に発表されます。避難の必要があるときには「警戒情報」となり、それが土砂災害の危険を伝えるものであれば「土砂災害警戒情報」という名前で発表されます。

このような大雨警報や土砂災害警戒情報が発表されたときには、「土砂災害警戒判定メッシュ情報」を使用すると、より細かい地域の危険度を知ることができます。
これは5km四方の領域(メッシュ)ごとに、2時間先までの降った雨が土壌にどれだけ貯まっているかを指数化した情報などを元にして、「土砂災害警戒判定メッシュ情報」で危険度が高まっている地域を知ることができます。
もし、自分のいる地域の危険度が高まっていれば、土砂災害危険箇所・土砂災害警戒区域等の外にある、少しでも安全な場所へ、早めに避難することが重要です。

(土砂災害警戒情報)
・気象庁のホームページ
http://www.jma.go.jp/jp/dosha/
・土砂災害警戒判定メッシュ情報
http://www.jma.go.jp/jp/doshamesh

○ 「警戒レベル4」全員避難!
気象庁からの防災情報は「警報」「警戒情報」「特別警報」など、似たような名前もあり避難の判断に迷うこともあるかと思います。発表の際には、避難のタイミングを示す「警戒レベル」も合わせて伝えていますので、避難が必要な「警戒レベル4」となった時点で全員避難しましょう。
また、高齢者など避難に時間のかかる人がいる場合には「警戒レベル3」の段階で避難を行いましょう。


(出典:内閣府 防災情報ページ)


土砂災害は、そのスピードとパワーが凄まじいため、災害が起きてから避難しようとしても、間に合いません。寝ている間に雨が降り続けて、気づかないうちに土砂災害に巻き込まれてしまう可能性もあります。

避難が必要なことを示す土砂災害警戒情報などを待ってから、避難の準備を始めると、外が暗くなっていたり、道が増水をしていて、避難自体が危険な可能性もあります。
大雨警報や、短時間の大雨を知らせる「記録的短時間大雨情報」が発表されたり、気象情報など不安を感じたら、暗くなる前や雨が弱いうちに避難の準備を進め、土砂災害危険箇所等の外にある、少しでも安全な場所へ、早めの避難行動をとりましょう。

雨が降り続けるなど雨の降り方や周囲の状況などにも注意し、避難指示等が発令されていなくても、土砂災害の前兆現象に気付いたなど、危険を感じたら自主避難するようにしましょう。
激しい雨や暴風のために、指定された避難場所へ避難が困難な場合は、近くの頑丈な建物の2階以上に避難しましょう。それも難しい場合は、家の中の崖や沢筋からなるべく離れた部屋や2階など、より安全な場所に退避しましょう。

大切な命を守るために

今までは大丈夫だったけど、今回土砂災害が起きないとは言い切れません。正常性バイアスとい言葉を知っていますでしょうか?「自分は大丈夫」「これくらいなら避難しなくてもいい」と考えてしまい、危険を過小評価する心の働きのことをいいます。



土砂災害はいつ起こるか分かりません。災害が発生しても落ち着いて行動が取れるように、一人ひとりが日頃から備えておくことが大切です。家族との連絡方法・連絡先、非常用品、避難場所・経路などを事前に確認しておきましょう。





この記事を書いた人

moshimo ストック 編集部

防災をしたいけど情報がたくさんあって、何から始めればいいの…?
私たち moshimo ストックも始めは知ることが幅広くて、防災ってちょっと難しいな…と思いました。
そんな "元初心者" の編集部が、初めての方にもわかりやすいよう防災・備蓄・災害についての情報をお届けいたします。
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