7月から10月は、台風シーズンです。1991年〜2020年までの30年間の平均では、年間で約25個の台風が発生し、約12個の台風が日本から300km以内に接近し、約3個が日本に上陸しています。台風は1年中発生しますが、7月〜10月が発生・接近・上陸ともに、もっとも多くなります。台風の発生が一番多いのは8月ですが、日本への上陸や接近が最も多くなるのは9月です。
なかでも、大型の台風が日本にやって来やすい日、台風の特異日と言われている日があります。9月17日頃と9月26日頃です。この2つの日にちには、過去の災害の歴史の中で記録に残る、大きな被害を出した台風が、いくつも日本にやってきているのです。
過去に、9月17日頃に日本に上陸し、大きな被害を出した台風として、古いものでは終戦まもない1945年(昭和20年)の枕崎台風があります。鹿児島県枕崎付近に上陸した台風は、九州を縦断したのち、広島市の西を通りました。犠牲者は、広島県だけで死者・行方不明者は2,000人を超えたといいます。
その3年後の1948年には、岩手県を中心に、死者512人、行方不明者236人、負傷者1,956人、住家全壊5,889棟などの被害を出したアイオン台風が襲来。
その13年後の1961年(昭和36年)の9月15日〜17日にかけては、高知県室戸市の室戸岬で最大瞬間風速84.5m/s以上を記録し、暴風と高潮で大きな被害を出した第2室戸台風が上陸しています。
過去に9月26日頃に襲来した台風といえば、台風被害としては明治以降最多の被害をもたらしたといわれている、伊勢湾台風。死者・行方不明者が5,000人を超え、犠牲者は全国32都道府県に及びました。
その前年の1958年には伊豆地方だけで1,000人を超える死者を出した狩野川台風、さらに狩野川台風から4年前の1954年には広い範囲で暴風となり九州から北海道まで全国で1,361人の死者を出した洞爺丸台風が上陸しています。
こうした、多くの被害を出した台風が日本を襲来したことから、9月26日は、「台風襲来の日」という記念日にもなっています。
近年は、大きな被害を出す台風がこの日に襲来していなくても、大きな被害を出した台風が、いくつもこの日に上陸しているということはしっかりと覚えておき、台風への備えを再確認することに役立てていきましょう。
特異日は、統計をもとにされていることで、必ずしもその通りのお天気になるわけではありません。また、特異日は諸説あり、地域によっても違ったり、時代とともに変わっていくこともあります。
東京管区気象台のホームページでは、1991年〜2020年までの統計から各地の日別天気出現率が誰でも確認できるようになっています。
色々な予定を立てる参考にするだけでなく、年間の防災への備えを確認する目安にもなるはずです。
参考資料
東京管区気象台 天気出現率
東京消防庁 消防マメ知識 消防雑学事典 防災の日と二百十日
「気象・災害ハンドブック」NHK放送文化研究所編 NHK出版
「統計からみた気象の世界」藤部文昭著 成山堂書店
「気候学・気象学辞典」吉野正敏著 二宮書店
ウェザーニュース 文化の日「晴れの特異日」に陰り さらに晴れの出現率の高い日は?
暦生活 晴れの特異日
気象庁 台風について