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災害への備えの見直しや予定を立てる参考にも!?特定のお天気になりやすい日「特異日」

「毎年、この日はなんとなく、よく雪のお天気になっているような気がする」「この日は、雨が降ることが多いかも」などと、感じることはないでしょうか。結婚記念日や誕生日などの個人的な記念日や、なにかしらの行事などに特定のお天気になりやすい日が重なっている方は、特にそんなことを意識されるのではないでしょうか。もしかしたら、それはただの感覚的なものではなく、「特異日」と重なっているのかも知れません。

「○月○日は晴れることが多い」など、晴れや雨や雪など、過去数十年の天気の結果から、特定の天気が現れやすい日は「特異日」と言われています。はっきりとした気象学的な根拠はないようですが、過去の統計上から、1年のうちになん日か特異日と言われる日があります。気象庁では雲の発生や降水、雷、竜巻などの大気中で起こっている様々な現象や、毎日の降水量などから、日別の天気出現率を計算して出しています。そうした統計の最近30年分のデータから「晴れになりやすい日」「雨が降りやすい日」など、特定の天気が現れやすい日(特異日)がいわれるようになりました。

特異日は、あくまでも、統計上で「特定の天気になりやすい日」ということで、必ずしもその日に晴れたり雨が降ったりするわけではありませんし、地域によってもズレがあったり、時代とともに傾向も変化してくるようです。しかし。お出かけや行事などの予定を立てるときの参考にはなるかも知れません。また、災害に関連する特異日もあります。災害への備えを見直す、一つの目安にもなるはずです。

入試の日は雪の特異日?

2022年は、クリスマス前から北海道や東北など、日本海側を中心にたくさんの雪が降っています。全国的に、冬の厳しい寒さが深まりました。クリスマスの頃は、発達した低気圧の影響で天気が荒れることが多く、低気圧が過ぎた後の寒波は「クリスマス寒波」とも呼ばれています。年末のころに発達した低気圧が来ることが多く、年末低気圧と呼ばれています。雪のクリスマス(ホワイトクリスマス)になるかどうかを楽しみにされていた方も多いかもしれませんが、こうした寒波が12月24日と25日頃にやってくることから、ホワイトクリスマスへの期待も毎年高まっているのかも知れません。

大学入試のある、2月17日頃に東京などで毎年のように雪が降っている印象のある方も多いのではないでしょうか。実際に、1981年〜1987年の7年間の統計では、70%の割合で2月17日は雪が降っています。この時期は寒さの厳しい時で、もともと雪が降りやすい状況となっており、2月17日の前後の日も雪の確率が高いことから、特異日の例外にあたるとも言われていますが、「この日は、雪が降るかも知れない」と心構えし、気象情報をチェックしたり準備を進めておくと、慌てずにすむかもしれません。

晴れの特異日といえば、文化の日

「この日は、なぜだか不思議と晴れることが多い」というのが、晴れの特異日。晴れの特異日の中でも、有名なのは、11月3日の文化の日。1993年〜2002年の統計では、広島や福岡では80%、名古屋・大阪・高知・松江・那覇では70%、仙台・東京では60%、新潟・札幌では50%の比率で晴れていて、西日本ほど晴れる傾向にあるようです。過去100年くらいの統計でも、11月3日は前後の日に比べて晴れのお天気になる傾向にあったようで、戦前は明治天皇の誕生日を記念した明治節だったこの日は、「天皇の誕生日というおめでたい日だから晴れる」とも言われていたそうです。しかし、11月3日が晴れやすいという傾向も、ここ10年間ほどで変わってきて、翌日の11月4日の方が晴れることが多いというデータもあります。

10月10日は、晴れることの多い日として、1964年の東京オリンピックの開会式の日に選ばれたというエピソードも特異日に関してたびたび語られています。当時、過去の統計から秋の長雨が終わる頃と見込んでこの日が選ばれ、実際に日本晴の中での開会式となりました。これも諸説ありますが、今では統計的には晴れの日が多いとも言い切れず、晴れの特異日にはなっていません。

晴れの特異日は、11月3日の他に、1月16日、3月14日、6月1日などが挙げられています。

お花見の頃に気をつけたい、寒の戻りの特異日

4月の桜が咲く頃になると、暖かさを感じる日と寒さが戻ってくる日を繰り返しながら、春らしい陽気になってきます。お花見や、キャンプなどのアウトドアレジャーを楽しむ方も多いのではないでしょうか。

春になって気温が上がる時期に、突然やってくる寒さのことを、「寒の戻り」と言います。大陸から寒波が来て雪が降ったり、移動性高気圧に覆われて夜の間に冷え込んで遅霜が降りるなど、冬に戻ってしまったのではないかと思うような寒さ。「花冷え」や「早春寒波」とも呼ばれています。

こんな、寒の戻りも特異日があります。4月6日と、23日、24日ごろ。統計的に、寒の戻りが起こりやすいと言われています。この頃に外でのレジャーを計画するときには、気象情報などをしっかりとチェックして、寒さ対策の準備もしてお出かけになった方が良いかも知れません。

大雨の特異日が近づいてきたら、災害への備えの再確認を

梅雨の末期には、災害を引き起こすような大雨が降りやすいと、よく言われます。「6月の終わりの頃に、毎年のように豪雨災害が起きている」と感じている人も多いのではないでしょうか。梅雨の末期の大雨は、梅雨前線を台風が刺激して、一定の地域にまとまった雨を降らせることが大きな要因と言われています。もちろん、大雨が降るのは梅雨の末期だけとは限りません。

そんな、大雨の降りやすい日、大雨の特異日が数日あります。代表的な大雨の特異日が、6月28日。6月25日〜7月2日頃と、幅をもたせて特異日とされる説や、6月29日を特異日とする説もあります。実際に、6月28日、29日をはさんで大雨が降ったことで、過去にもいくつかの豪雨災害が発生しています。
例えば、2018年に西日本を中心に河川の氾濫や土砂災害などを引き起こし、死者263人、住家の前回6783棟などの大きな被害を引き起こした平成30年7月豪雨は、6月28日〜7月8日にかけて降り続いた大雨による災害でした。
また、2016年に熊本県や広島県などで被害を出した平成28年梅雨前線豪雨は、6月19
日〜6月30日にかけて、西日本を中心に大雨をもたらしました。
2006年に熊本県や長崎県に大雨をもたらした梅雨前線による大雨も、6月21日〜6月28日にかけて、大雨が降っています。

2005年までの100年間の統計では、6月25日〜7月2日の期間の日降水量1mm以上の日(雨天率)は、大阪で42〜57%、6月28日の雨天率は53%にものぼるといわれています。

他に、3月30日、4月28日、7月17日、9月12日も、雨の特異日とされています。

記念日にもされている、台風の特異日

7月から10月は、台風シーズンです。1991年〜2020年までの30年間の平均では、年間で約25個の台風が発生し、約12個の台風が日本から300km以内に接近し、約3個が日本に上陸しています。台風は1年中発生しますが、7月〜10月が発生・接近・上陸ともに、もっとも多くなります。台風の発生が一番多いのは8月ですが、日本への上陸や接近が最も多くなるのは9月です。

なかでも、大型の台風が日本にやって来やすい日、台風の特異日と言われている日があります。9月17日頃と9月26日頃です。この2つの日にちには、過去の災害の歴史の中で記録に残る、大きな被害を出した台風が、いくつも日本にやってきているのです。

過去に、9月17日頃に日本に上陸し、大きな被害を出した台風として、古いものでは終戦まもない1945年(昭和20年)の枕崎台風があります。鹿児島県枕崎付近に上陸した台風は、九州を縦断したのち、広島市の西を通りました。犠牲者は、広島県だけで死者・行方不明者は2,000人を超えたといいます。
その3年後の1948年には、岩手県を中心に、死者512人、行方不明者236人、負傷者1,956人、住家全壊5,889棟などの被害を出したアイオン台風が襲来。
その13年後の1961年(昭和36年)の9月15日〜17日にかけては、高知県室戸市の室戸岬で最大瞬間風速84.5m/s以上を記録し、暴風と高潮で大きな被害を出した第2室戸台風が上陸しています。

過去に9月26日頃に襲来した台風といえば、台風被害としては明治以降最多の被害をもたらしたといわれている、伊勢湾台風。死者・行方不明者が5,000人を超え、犠牲者は全国32都道府県に及びました。
その前年の1958年には伊豆地方だけで1,000人を超える死者を出した狩野川台風、さらに狩野川台風から4年前の1954年には広い範囲で暴風となり九州から北海道まで全国で1,361人の死者を出した洞爺丸台風が上陸しています。
こうした、多くの被害を出した台風が日本を襲来したことから、9月26日は、「台風襲来の日」という記念日にもなっています。
近年は、大きな被害を出す台風がこの日に襲来していなくても、大きな被害を出した台風が、いくつもこの日に上陸しているということはしっかりと覚えておき、台風への備えを再確認することに役立てていきましょう。


特異日は、統計をもとにされていることで、必ずしもその通りのお天気になるわけではありません。また、特異日は諸説あり、地域によっても違ったり、時代とともに変わっていくこともあります。東京管区気象台のホームページでは、1991年〜2020年までの統計から各地の日別天気出現率が誰でも確認できるようになっています。
色々な予定を立てる参考にするだけでなく、年間の防災への備えを確認する目安にもなるはずです。



参考資料

東京管区気象台 天気出現率

東京消防庁 消防マメ知識 消防雑学事典 防災の日と二百十日

「気象・災害ハンドブック」NHK放送文化研究所編 NHK出版

「統計からみた気象の世界」藤部文昭著 成山堂書店

「気候学・気象学辞典」吉野正敏著 二宮書店

ウェザーニュース 文化の日「晴れの特異日」に陰り さらに晴れの出現率の高い日は?

暦生活 晴れの特異日

気象庁 台風について

この記事を書いた人

瀬尾 さちこ

防災士。住宅建築コーディネーター。整理収納コンサルタント。

愛知県東海市のコミュニティエフエム、メディアスエフエムにて防災特別番組「くらしと防災チャンネル(不定期)」、「ほっと一息おひるまメディアス(毎週水曜日12時〜)」を担当。
以前の担当番組:みんなで学ぶ地域防災(2021年~2021年)、防災豆知識(2019年~2021年)
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