地震のゆれによる住宅の倒壊、家具などの転倒・落下
地震のゆれで全壊する住宅は、最大で約17万5千棟、建物の倒壊による死者数は1万1千人とされています。これは住宅の耐震化率(1981年改正の建築基準法と同じかそれ以上の耐震性をもつ建物の割合)を2008年の「全国平均 約79%・東京都87%」として試算した場合の数字となります。今後、耐震補強をする住宅が増えるとどれくらい被害が減るのでしょうか?
全壊棟数
全国平均 約79%・東京都87% 約175,000棟
全国平均 約90%・東京都94% 約98,000棟
全国平均 約95%・東京都97% 約63,000棟
全国平均 約100%・東京都100% 約27,000棟
建物倒壊による死者数
全国平均 約79%・東京都87% 約11,000人
全国平均 約90%・東京都94% 約6,100人
全国平均 約95%・東京都97% 約3,800人
全国平均 約100%・東京都100% 約1, 500人
死者数を見ると、耐震化率が「全国平均 約90%・東京都94%」のとき約45%減、「全国平均 約95%・東京都97%」のとき約65%減、「全国平均 約100%・東京都100%」のとき約86%減と大幅に減ることがわかります。
家具などの転倒・落下による被害はどうでしょう?2009年の調査によると、家具などの転倒・落下対策の東京都での実施率は59%、この状態で地震がおきたときの死亡数を試算すると約1,100人となっています。
こちらも実施率が上がると、実施率75%のとき700人となり約36%減、実施率100%のとき400人となり約64%減と被害にあう人が大幅に減ることになります。
直下型地震は前触れもなく突然大きなゆれがおこることが多く、テーブルの下など安全な場所に身を隠す時間がありません。
そのため、家の耐震化率、家具などの転倒・落下対策がされているか、されていないかで、命を守ることが出来るかが大きく変わってきます。最も基本的な対策となりますので、必ず対策をしておきましょう。
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火災
東日本大震災や2016年の熊本地震のイメージから、建物の倒壊や津波による被害が大きいと思われるかもしれませんが、阪神・淡路大震災では火災による大きな被害がありました。
また、時代が少し異なるため単純には比較できませんが、関東大震災では関東で約38万1千世帯が全焼し、東京市や横浜市に限ってみれば、なんと6割以上の世帯が全焼の被害にあいました。
火災が大きくなったことの原因の一つとして、震災当日に吹いていた強い風によって延焼・飛び火したことや、炎が風によって巻き上げられ火柱となって移動する火災旋風がおきたことがあげられます。
現在の東京でも建物が密集して建てられており、木造住宅の多い地域では火が燃え広がりやすく注意が必要です。
東京都ではとく注意が必要な地域を「木造住宅密集地域」としており、東京都23区の面積約10%が木造住宅密集地域に指定されています。自分の住んでいる地域の近くに燃え広がりやすい場所がないか確認してみましょう。
東京都木造住宅密集地域整備事業:実施地区一覧表
首都直下地震で火災によって焼失する建物は最大で約43万棟、死者数は1万6千人とされています。
現在のほとんどのガスメーターは一定の震度で自動的にガスを止めるため、地震での火災は電気暖房器具からの引火や漏電によるショートによっておこる電気火災が多くなっています。とくに停電が復旧するときに電化製品の電源がオンになることで火災をおこす、通電火災が被害を大きくするとされています。
このような電気による火災を防ぐため、一定の震度で電気を止める感震ブレーカーという機器があり、これを設置することで被害を少なくできます。
感震ブレーカーの設置を行うと、火災によって焼失する建物は最大で約23万9千棟、死者数は9千人となり、ともに約44%減となります。
さらに、感震ブレーカーに加えて、家庭に消火器を備え、耐震化や家具転倒防止によって初期消火率を向上させること。また、自主防災組織や自治体での消火や避難訓練を行うことで、火災によって焼失する建物は最大で約2万1千棟、死者数は800人となり、約95%減と大幅に減らすことができます。
感震ブレーカーは、既に設置されているブレーカーに後付できるタイプがあり費用はそれほど高くないのですが、市区町村によっては補助金をもらえることもありますので、相談をしてみてください。
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