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大雨のときに発信される注意報や避難情報をみなさん知ってますか?

毎年のように、全国各地で雨による甚大な被害が発生するようになりました。大雨が予測されたり、たくさんの雨が降り続くと、注意報や警報、避難情報など色々な情報がテレビやラジオ、メールなどで伝えられます。

気象庁では、気象現象や災害の内容によって6種類の特別警報、7種類の警報、16種類の注意報、4種類の早期注意情報が発表されます。
しかし、似たような名前もあり少しわかりにくいかもしれませんね。そこで、避難のタイミングに迷わないように、2019年より気象庁からの発表と共に「警戒レベル」が伝えられるようになりましたので覚えておきましょう。

水害の被害を少しでも減らすためには、正しく情報を知って、早めの避難を行うことが大切です。今回は、雨に関する警報や注意報に注目しながら、そのとき必要となる行動をあわせて説明していきましょう。

(出典: 気象庁)

まずは警戒レベルを確認しましょう!

警戒レベルは、災害の起きる危険度と、避難や準備の必要性を、わかりやすく伝えるための情報です。
大雨により洪水や土砂災害の恐れが高まり、避難が必要となったときには、区市町村から警戒レベルと避難情報が発表されますので、まずは自分が住んでいる地域や場所の警戒レベルを確認し、早い段階で避難や準備を始めましょう。

・警戒レベル3(高齢者等避難)
高齢者・妊産婦・乳幼児等、避難に時間のかかる方は避難を行うようにしましょう。避難経路が浸水しやすい場合には、早めに避難することも必要です。

・警戒レベル4(避難指示)
全員が避難をしましょう!
災害が起こる可能性が迫っており、避難できなくなることも考えられますので、迷わずに避難を行いましょう。

・避難レベル5(緊急安全確保)
何らかの災害がすでに発生している可能性が極めて高い状況。浸水の恐れがあれば建物の上階、土砂災害の恐れのあれば山や崖の反対側の2階以上に移動するなど、命を守るための最善の行動をとりましょう。

注意報・警報について

注意報や警報は、過去データや地域の特性をもとに基準値が作成され、観測値や予報値が、その基準に達したり、上回ったりすると予想されるとき、地方気象台が発表します。

2つの違いは、災害が発生する可能性の度合いによります。災害が発生する危険性が、「注意報」 < 「警報」 < 「特別警報」順番に高まっており、災害対策を行う上での一つの目安になります。

・大雨注意報(高齢者等避難)
「災害」が起こる恐れがある場合に、注意を呼びかけて行う予報です。

・大雨警報(避難指示)
「重大な災害」が起こる恐れがある場合に、警戒を呼びかけて行うための予報です。「注意報」に比べて、さらに深刻な被害や切迫した災害に、見舞われる危険が想定されます。

・大雨特別警報(緊急安全確保)
大雨警報の基準をはるかに超えた、その地域で数十年に一度の大災害が起こるときに発表される予報です。命にかかわる警報なので、対象地域の住民に対して最大級の警戒を呼びかけるものになります。

・土砂災害警戒情報(避難指示)
大雨警報が発表されている状況で、命に危険を及ぼす土砂災害がいつ発生してもおかしくない場合に、警戒を呼びかける情報です。

・記録的短時間大雨情報
数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨を、予測し土砂災害や浸水害など災害の発生につながるような雨量であることを知らせる情報です。
すでに屋外は猛烈な雨となっていることも想定されます。移動することが危険と判断される場合は、近隣の安全な場所や、災害の危険性が低い部屋等に垂直避難するなどの行動をとってください。

雨の強さと降り方

1時間や1日などの降水量(降雨量)は、「mm(ミリ)」で表現されます。
降水量1時間に10mmと報道があった場合、たった1cmならば大したことはないように感じるかもしれません。しかし、道路や溝・川の上・屋根など、広い範囲に降った深さ1cmの雨が、狭い川や下水に集まれば、流しきれずあふれ出るほどの量になってしまいます。
降水量から起こる災害の危険性を下の表にまとめていますので、雨の降り方に注意し、警報や避難指示が出る前でも、避難の準備をしたり、雨が強くなる前に避難することも大切です。

(出典: 気象庁)

1時間の雨量 人への影響や屋外の様子 災害の危険性 10~20mm未満の雨 ・ザーザーと降る
・地面からの跳ね返りで足元がぬれる
・地面一面に水たまりができる
この程度の雨でも長く続くときは注意が必要。
20~30mm未満の雨 ・どしゃ降り
・傘をさしていてもぬれる
・寝ている人の半数くらいが雨に気がつく
・地面一面に水たまりができる
側溝や水路、小さな川があふれ、道路冠水のおそれがある。
小規模のがけ崩れの恐れがある。
30~50mm 未満の雨 ・バケツをひっくり返したように降る
・寝ている人の半数くらいが雨に気がつく
・道路が川のようになる
山崩れ、がけ崩れが起きやすくなり危険地帯では避難の準備が必要。
50~80mm 未満の雨 ・滝のように降る(ゴーゴーと降り続く)
・傘は全く役に立たなくなる
・寝ている人の半数くらいが雨に気がつく
・水しぶきであたり一面が白っぽくなり、視界が悪くなる
・車の運転は危険
土石流が起こりやすい。
多くの災害が発生する。
80mm~以上の雨 ・息苦しくなるような圧迫感がある。恐怖を感じる
・傘は全く役に立たなくなる
・寝ている人の半数くらいが雨に気がつく
・水しぶきであたり一面が白っぽくなり、視界が悪くなる
・車の運転は危険
雨による大規模な災害の発生するおそれが強く、厳重な警戒が必要。

(参考:気象庁 リーフレット「雨と風(雨と風の階級表)」)

冠水・浸水・水没について

短時間でも激しい雨が降ると、道路が冠水したり、住宅への浸水被害も考えられます。
「自宅付近には川がないから大丈夫」と思わないようにしましょう。付近に川がなくても、下水に流しきれない水が地上へあふれ出ることがあります。特に都心部では道がコンクリートに覆われ、大雨が降ると地面に水がしみ込まず、下水への排水が追いつかないため浸水や冠水が発生しやすくなります。

(出典: 気象庁)

それでは、浸水・冠水が発生したときにどのような注意をすればよいのでしょうか?
一般的に、住宅などが水に浸かることを「浸水」、田畑や道路などが水をかぶることを「冠水」といいます。そして、浸水をした地面から水面までの高さを「浸水深」といいます。
一般の家屋では、浸水深が50cm未満の場合は床下浸水、50cm以上になると床上浸水となる恐れがあります。

〇 浸水深と浸水程度の目安
・0~50㎝ :床下浸水(大人の膝までつかる)
・50~100㎝ :床上浸水(大人の腰までつかる)
・100~200㎝:1階の軒下まで浸水する
・200~500㎝:2階の軒下まで浸水する
・500㎝以上 :2階の屋根以上が浸水する

水の深さが30~50 ㎝(大人の膝まで)となると移動が難しくなり、何かにつかまらないと移動できなくなったり、水に流される危険が高まります。水位は短い時間で急激に変化するため、水が流れてきたらすぐに、遅くても「足のくるぶし」まで水が来ていれば避難を行いましょう。

また、車を運転中に道路が冠水してしまった場合は、すぐにエンジンを停止し、車を降りて避難してください。
浸水深が30~50cmでエンジンが停止、50cm以上で車が浮き、パワーウィンドウ付きの車では車の中に閉じ込められ、車とともに流される非常に危険な状態となります。

〇 避難時の注意点
・床上・床下浸水が起こると、排水溝から水が逆流することもあります。ゴミ袋などに水入れた水のうや土のうを便器の上や排水溝の上に置くことで、逆流を防ぐことができます。

・浸水時の歩行可能な水位の目安は、ひざ下までとなります。しかし、水位は急激に変わりやすく、水位が低くても水の勢いで動けなくなる危険性がありますので、少しでも水が流れてきたら高所へ早急に避難しましょう。

・避難するときは、動きやすい服装で、2人以上で避難を心がけ、水中でも脱げにくく歩きやすい靴にしましょう。長靴は水が入ると動けなくなるため、紐靴がおすすめです。

・お年寄りや小さな子どもがいる家庭では自治体からの避難情報を待たずに、早めに避難や準備を心がけてください。

・冠水している道では足元がどうなっているかよく見えません。歩きなれている道でも、マンホールの蓋が外れてたり、用水路、側溝が見えなくなってしまっているため、足を滑らせたり溝などに落ちてしまう可能性があるため大変危険です。
やむを得ず冠水している道を移動する場合は、傘や杖のような棒を持って足元を確認しながらゆっくりと細心の注意を払って避難しましょう。

危険度分布の通知サービス

危険度分布とは、土砂災害と浸水、洪水の3つの災害発生の危険性を、地域ごと・河川ごとに絞り込んだ情報のことです。
雨量などの過去の観測データや地質などを基に、浸水は1時間後、土砂災害は2時間後、洪水は3時間後の発生可能性を予測し、10分おきに更新されます。1キロ四方の範囲を5色で色分けし、無色、黄、赤、薄紫、濃い紫の順に危険度が上がっていきます。

土砂災害や浸水・洪水災害からの自主避難の判断に役立てるため「大雨・洪水警報の危険度分布」を元に、全員の避難が必要となる「警戒レベル4」相当の危険度になった場合、通知してくれるサービスがあります。
この通知サービスに登録しておくと、危険を見逃さず安全に避難できるようになりますので、ぜひ登録をしてみてください。

(出典: 気象庁)

● 危険度分布通知サービスの登録はこちら
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/ame_push.html

● 都道府県別の「危険度分布」等を確認できるページ
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/riskmap_url_list.html

積極的な情報収集

気象情報は、テレビやラジオなどで常に確認することが重要になります。今回ご紹介した警報や注意報は、気象庁が発表し、住民の避難に関する情報は市区町村から発表されます。
災害情報は配信される情報を待つだけではなく、自分から積極的に情報収集することが大切です。災害情報を確認できるサイトをご紹介しますので参考してみてください。

● 気象庁 警報・注意報ページ
http://www.jma.go.jp/jp/warn/

● Yahoo!天気・災害
https://typhoon.yahoo.co.jp/weather/jp/warn/

● Yahoo!避難場所マップ
https://crisis.yahoo.co.jp/map/

● Yahoo!天気・雨雲レーダー
https://weather.yahoo.co.jp/weather/zoomradar/

● 河川のライブカメラ
http://orange.zero.jp/zad23743.oak/livecam/kawa.htm

● SNSハッシュタグ検索
「#大雨警報」「#大雨特別警報」「#◯◯(地域名など)」

この記事を書いた人

moshimo ストック 編集部

防災をしたいけど情報がたくさんあって、何から始めればいいの…?
私たち moshimo ストックも始めは知ることが幅広くて、防災ってちょっと難しいな…と思いました。
そんな "元初心者" の編集部が、初めての方にもわかりやすいよう防災・備蓄・災害についての情報をお届けいたします。
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