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ワークショップで防災を学ぼう② 時系列で考えよう 災害時の出来事と対応

災害発生!したらどうする?

もし今災害が発生したら、どうしますか?
どんな被害が予想されますか?
正しく対応できますか?
慌てて混乱したりしませんか?
何より災害を生き抜いていけますか?

今回は災害時の出来事とその対応を時系列に沿って考える「災害発生!どうする?」と ワークショップを紹介します。学校の教職員や生徒、大学生、地域の方々を対象に実施してきたのですが、とても活発な話し合いになります。日本だけではなく、中国やモンゴル、ネパールなど海外でも何度もトライしましたが、どんな国であっても、どんな年齢構成であっても、どんな立場の人が参加しても、活発な話し合いが展開されていく様子が見て取れました。

災害を具体的に決める

準備物は模造紙一枚、ピンクと黄緑の付箋をたくさん。7.5㎝✕7.5㎝くらいの大きさが便利です。鉛筆などの筆記用具とサインペン1セット。数色があれば、見た目にわかりやすい記述ができます。

初めに災害を決めましょう。災害の種類、発生年月日、曜日、時間を決めます。災害は、その発生する季節や時間によって様相を変えます。夏は冬よりも衛生問題がクローズアップされるし、逆に冬の避難所は寒さとの戦いになります。夜中の地震と通勤時間帯の地震では被害の質と量が違ってきます。学校なら、先生がこどもたちと一緒に教室にいる授業中と、こどもたちだけで遊んでいる昼休みでは、こどもたちの反応も様々な事態への対応も大きく違ってきます。

天気も災害対応を左右します。学校の先生方とこのワークショップをしていると、ほとんどの先生方が、地震発生後はまずこどもたちの安全を確認し、安全な経路を通ってグラウンドに避難して、人数確認をすればいいと考えているのがわかります。不思議なことに、地震は晴れの日にしか発生しないと考えているようです。このワークショップは、素人なら晴れの日で始めてもいいでしょう。一方、防災の専門家や防災を学ぶ学生、何回か経験した参加者なら、雨の日を設定してレベルを上げましょう。

決めた内容は、図のように模造紙の一番上に書きます。その下は左に起こるであろう事態、左にその解決策の欄を作っておきます。時間は上から下へと過ぎ去っていくと考えてください。

出来事を想像する

準備物は模造紙一枚、ピンクと黄緑の付箋をたくさん。7.5㎝✕7.5㎝くらいの大きさが便利です。鉛筆などの筆記用具とサインペン1セット。数色があれば、見た目にわかりやすい記述ができます。

初めに災害を決めましょう。災害の種類、発生年月日、曜日、時間を決めます。災害は、その発生する季節や時間によって様相を変えます。夏は冬よりも衛生問題がクローズアップされるし、逆に冬の避難所は寒さとの戦いになります。夜中の地震と通勤時間帯の地震では被害の質と量が違ってきます。学校なら、先生がこどもたちと一緒に教室にいる授業中と、こどもたちだけで遊んでいる昼休みでは、こどもたちの反応も様々な事態への対応も大きく違ってきます。

天気も災害対応を左右します。学校の先生方とこのワークショップをしていると、ほとんどの先生方が、地震発生後はまずこどもたちの安全を確認し、安全な経路を通ってグラウンドに避難して、人数確認をすればいいと考えているのがわかります。不思議なことに、地震は晴れの日にしか発生しないと考えているようです。このワークショップは、素人なら晴れの日で始めてもいいでしょう。一方、防災の専門家や防災を学ぶ学生、何回か経験した参加者なら、雨の日を設定してレベルを上げましょう。

決めた内容は、図のように模造紙の一番上に書きます。その下は左に起こるであろう事態、左にその解決策の欄を作っておきます。時間は上から下へと過ぎ去っていくと考えてください。 では、5人ほどのグループに分かれましょう。グループワークに適した人数は5人です。あまり多いとみんなが平等に意見を言うことができません。少ないと、多様な意見に触れる機会を逸します。4人や6人のような偶数だと意見が真っ二つに分かれて話し合いが前に進まなくなる恐れもあります。

グループに分かれたら、ピンクの付箋に、災害時に発生すると思われる出来事を書き出していきます。一枚に一つの出来事を書きます。誰とも相談しないというルールを徹底します。なぜ、相談してはならないのでしょうか。

グループの中に防災をよく知っている人が一人いると想像してみてください。最初から話し合いを始めると、おそらくその人がずっとしゃべってその場を占領してしまうでしょう。実は、防災のワークショップではそういった状況がよく起こります。“防災おたく”の独壇場になってしまい、他の参加者はただ演説を聞かされるだけになってしまうのです。面白くないですよね。そういった事態を避けるために(私はよく「“やかましい人”を黙らせるために」と言っています)、意見はすべて付箋に書き込んでいきましょう。相談は厳禁です。

決められた時間内にできるだけたくさん書き出すようにしましょう。7分から10分程度がちょうどいいでしょう。多く書き出すコツは、逆説的ですが「考えないこと」です。良し悪しを考えると手が止まります。アイデアの評価は、その後の話し合いの局面で、みんなでやります。考えるのではなく、とにかく頭に浮かんだアイデアをどんどん書きだせばいいのです。たくさん書くもう一つのコツは、抽象的な表現を避けることです。具体的に書きましょう。「被害が出る」と書くよりも「タンスが倒れる」「窓ガラスが割れる」といったように具体的に書いた方がたくさん書けます。

付箋を時系列に貼って、みんなで出来事を考える

時間が来たら、話し合いの始まりです。付箋を時系列に沿って貼っていきましょう。同じ出来事はどんどん重ねて貼っていきます。

すべての付箋を貼り終わったら、次は、「建物に起こること」「人に起こること」といったようにいくつかの似通ったグループに分けていきます。何度も貼ったり剥がしたりできるのが付箋のいいところです。どんどん動かして、いくつものグループに分類していきましょう。話し合いが終わったら、付箋の周りに短い文章でどんな内容を話し合ったかを記述しておきます。あとでその対応策を考えるので、文章化しておくと便利です。

解決策を一人で考える

今度は黄緑色の付箋に、いろんな出来事への解決策を書いていきましょう。いくつかのグループに分けてその内容を記述しているので、その課題への解決策を決められた時間内に書いていきます。もちろん、相談は禁止です。

起こりうることはピンクの付箋に、解決策は黄緑の付箋に書きます。信号ですね。

決められた時間で書き終えたら、貼り出しながらグループ内で話し合いをします。自分が付箋に書いた意見を読み上げ、他のメンバーの意見を聞き、より良い解決策をみんなで考えるのです。議論の途中で新たな解決策に気づけば、それを付箋に書き込んで貼りだしても構いません。

こうやって、一枚の模造紙には災害時に起こる事態とその解決策がどんどん貼り出されていくのです。

「わからないこと」がいっぱいあることが「わかる」

このワークショップの目標は、災害時の対応を検討し、より良い備えにつなげることです。

防災にあまり関心のない人がこのワークショップを行うと、だれにでも簡単に想像できる出来事を書き出して、あたりまえの解決策を決めてさっさと終わってしまいます。ところが、防災に関心のある人が行うと、いろんな事態が発生し、解決策も多様です。議論も続きます。

ここでコーディネーターの存在が意味を持ちます。解決できたと思い込んでいるグループに“茶々”を入れるのです。

例えば、こんな実例があります。学校は避難所になります。夜中の発生ならだれかが体育館や校舎のカギを開けに駆けつけなければなりません。誰がそのカギを持っておくのでしょうか。一番は校長です。でも不安もあります。校長が駆け付けられない事態も考えられます。じゃあ、教頭にも持っていてもらおうという結論になります。多くの参加者はそれで安心するのですが、不安を指摘する人もいます。二人とも学校に来れない場合もあるというのです。そこでもう一人、事務長とか学校の近くの先生とか、三人目の責任者を決めてみんなで安心するのです。

さて、実際の被災地ではどんなことが起こっていたのでしょうか。阪神・淡路大震災(1995)のとき、ある先生がやっとのことで学校に駆けつけると、その時はすでにすべての教室のカギが壊されて、被災者が避難していたそうです。これが災害の事実です。そういう実話をワークショップの途中で付け加えることができるコーディネーターがいたら、ワークショップのレベルも格段にアップします。

結局、このワークショップでは「わからないことがいっぱいある」ことがわかるというのが一番の目的であり、成果です。あとは、その「わからないこと」を一つずつつぶしていけばいいのですから。

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この記事を書いた人

諏訪 清二

全国初の防災専門学科 兵庫県立舞子高校環境防災科の開設時より科長を務め、東日本大震災をはじめとする国内外の被災地でも生徒とともにボランティアや被災者との交流に従事。
防災教育の第一人者として文部科学省「東日本大震災を受けた防災教育・防災管理等に関する有識者会議」など、防災教育関連の委員を務める。

2017年4月から防災学習アドバイザー・コラボラレーターとして活動開始。
学校での防災学習の支援活動を中心に、防災学習、災害、ボランティア、語り継ぎなどのテーマで講演活動も。
中国四川省、ネパール、スリランカ、モンゴル、エルサルバドルをはじめ、海外各地でも防災教育のプロジェクトに関わってきた。

2017年度~ 神戸学院大学現代社会学部 非常勤講師 / 兵庫県立大学 特任教授(大学院減災復興政策研究科)
2018年度~ 関西国際大学セーフティマネジメント研究科 客員研究員
2020年度~ 大阪国際大学短期大学部 非常勤講師
2021年度~ 神戸女子大学 非常勤講師 / 桃山学院教育大学 非常勤講師

【著書】
図解でわかる 14歳からの自然災害と防災 (著者:社会応援ネットワーク 監修:諏訪清二)
防災教育のテッパン――本気で防災教育を始めよう
防災教育の不思議な力――子ども・学校・地域を変える
高校生、災害と向き合う――舞子高等学校環境防災科の10年
※こちらの書籍は、現在電子書籍での販売となります。

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