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扇風機やエアコンが火災の原因に!?安全に使うために点検をしよう

扇風機やエアコンは、私たちの暮らしの中で、なくてはならない家電製品の一つです。夏はもちろん、サーキュレーターの代わりとして扇風機を使うなど、年間を通して使用しているご家庭もあるでしょう。
こうした家電製品は「電源が入らない」などの、明らかな故障が見られれば修理をしたり、買い替えたりしますが、「多少の不具合なら、そのまま使い続ける」というご家庭もあるのではないでしょうか。また、製造年月日なども意識せずに、長期にわたって使い続けているかも知れません。
しかし、そうしたことが、火災などの原因になることもあるのです。
今使っていらっしゃる扇風機やエアコンは、何年前から使い続けていらっしゃるものでしょうか?
重大なことに至る前に、確認しましょう。

火を使っていなくても火災は発生する

夏から秋にかけての火災というと、多くの人が真っ先に思い浮かべるのは、花火やバーベキューなどの火を使うレジャーでの不十分な消火による出火延焼ではないでしょうか。蚊取り線香から燃えやすいものへ火が移ることでの火災を想像する方もいらっしゃるかも知れません。
これらも、暑い季節特有の火災の原因です。レジャーなどで火を使うときには、「もしも」に備えて、必ず消火用の水を用意して行い、最後は、完全に消えたことを確認してから処分するようにしましょう。

しかし、暑い季節の火災は、こうした火を使うことで発生するものだけではありません。
気温が高い季節には、私たちの命を熱中症から守るためになくてはならない、エアコンや扇風機などの電化製品からの発火が、火災の原因になることもあるのです。モーターによって羽を回すことで風を送る扇風機は、シンプルな構造だからこそ壊れにくく、長期間にわたって使いがちです。日頃、電化製品の製造年月日なども気にすることはほとんどないはずです。しかし、目立った故障はなくとも、内部のモーターが劣化したり、配線が損傷するなどして、発火することがあるのです。
消費者庁から発表されている資料(扇風機等の家電製品の経年劣化事故に御注意ください)によると、扇風機の劣化による事故は、使用し始めてから10年を超えると発生し始め、20年を超えるとさらに増えています。
扇風機やエアコンからの出火による火災を防ぐためには、日頃の点検や、少しでも異常が感じられたら使用を中止すること、10年を目安に買い換えることが大切です。
扇風機の製造年は、各メーカーのホームページから検索することができます。

Panasonic 扇風機品番検索

Panasonic OEM供給先 SANYO、新日本電気(現 日本電気)、ゼネラル(現 富士通ゼネラル)など

HITACHI 扇風機の長期使用についてのお知らせとお願い

TOSHIBA 弊社扇風機機種一覧表

扇風機、こんな異常があればすぐに使用の中止を

扇風機からの出火による火災の過去の事例を見ると、長期使用している扇風機のモーター関係の部品が劣化して異常発熱し、火花が発生して周囲のホコリなどに火がついて出火したというケースや、始動用コンデンサーと言われるスイッチを入れた時にモーターを回転させる部品の絶縁が低下して機械の中でショートしたことで出火したというケース、配線が繰り返し折り曲げられることで断線して火花が発生して発火したケースなどがあります。

扇風機の内部の機械のことはわからなくても、こうした重大な事故が発生する前に、扇風機にいくつか異常が発生するはずです。
例えば、「スイッチを入れても羽が回らない」とか「羽が回転するときに、通常とは異なる音や振動がする」、「羽が回っても、回転が遅かったり、不規則だったりする」、「モーター部分が異常に熱くなったり、焦げたようなにおいがする」「電源コードが折れ曲がっていたり、破損したりしている」「羽根にヒビが入ったり、ガードが変形している」などです。
こうした異常があれば、「まだ使えそう」と思っても、すぐに使用を中止して、点検などを行いましょう。

一年を通して扇風機を使う方も、年に1度はお手入れしましょう

シーズンオフに扇風機を片付ける時はもちろん、年間を通して扇風機を使う方も、安全に使い続けるために、年に1度は点検を兼ねてお手入れするようにしましょう。
扇風機のお手入れをするときには、まずは電源スイッチを切り、電源プラグを抜きます。次に、本体のスライドパイプを一番上まで伸ばします。ガードと羽根をはずして、水洗いし、しっかり乾かしましょう。さらに、モーターシャフトの汚れを拭いて、モーターの内部のホコリは、掃除機で吸い取っておきましょう。
お手入れするときには、ガードと羽根は水洗いするだけにとどめ、アルコールやベンジン、磨き粉などは、キズや変形、ヒビ割れの原因になることがあるため、使用を避けましょう。

保管するときには、サビを防止するために、モーターシャフトにはミシン油を薄く塗ります。本体のスライドパイプは、一番下まで下げて、確実に固定します。ガードと羽根は外したまま、ビニールカバーなどをかぶせて、包装箱におさめて、湿気の少ない場所に保管します。
お手入れ方法や、保管の仕方などは、メーカーや製品によっても異なることがあるので、取扱説明書をご確認ください。

エアコンからの出火原因は、経年劣化だけではありません

扇風機からの出火による火災と同じように、エアコンが原因となる火災も、夏の季節に多くなる傾向があります。NITE(独立行政法人製品評価技術基盤機構)の調査(エアコンと携帯用扇風機が大活躍!でも事故で冷や汗はご勘弁 ~夏に知っておくべき危険~)によると、2020年のエアコンの火災事故は前年に比べて17%増。2016年度から2020年度の5年間で、247件の火災事故が発生しているといいます。
もともと製品に不具合があった(リコール品)もありますが、長年使い続けたことによる経年劣化で接続部分が弱っていたり内部の部品が壊れていたりすることからの発火の他に、十分な知識のないまま市販の洗浄液などでエアコンを掃除したり、殺虫スプレーなどがモーター内部や基盤にかかってしまったこと、電源コードや配線を自己流で修理したことによるもの、室内機にネズミやゴキブリなどの小動物や虫が侵入したことによるもの、室外機の近くに置かれている可燃物からの延焼など、エアコンの火災事故の原因は様々です。

シーズンオフの間にエアコンのお掃除をするときには、自分でやるのはフィルター掃除などに留めておきましょう。液状の洗浄剤なども市販されていますが、十分な知識のないままエアコン内部の洗浄を行うと、電気部分などに液体がかかり、故障や発火の原因につながる可能性があります。自分でやろうとせずに、専門の業者に依頼することをお勧めします。

電源コードや配線の修理や加工も、絶縁テープなどが市販されてはいますが、自己流で行うことは危険です。接続不良で、発煙や発火につながるおそれがあります。
電源コードや電気プラグに不具合を見つけたら、電気工事業の資格(電気工事士)のある業者に相談して修理をお願いすることも大切です。電気に関する工事は、電気工事士の資格をもつ人が行うことは、電気工事士法という法律でも定められています。

シーズンオフの間にやっておきたい、エアコンの点検

夏が終わり、冬にもまた暖房としてエアコンを使う季節がやってきます。本来は、夏の冷房運転を始める前に行っておきたいことですが、これからの季節でも遅くはありません。冬が来る前の、あまりエアコンを使わない時期に、点検をしておきましょう。

点検は、室内機と室外機、両方の周辺をチェックします。
室内では、電源プラグや室内機のフィルターにホコリがたまっていないかを確認し、掃除しておきましょう。リモコンでエアコンの電源を入れて、最高温度または最低温度(冬に入る前の暖房のチェックなら30度、夏に入る前の冷房のチェックなら16度〜18度)で30分程度運転します。暖かい風(または冷たい風)が出るかどうか、リモコンの操作でルーバーが上下左右にきちんと動くか、異臭や異音がしないか、室内機から水漏れが発生していないか、異常を示すランプが点灯したり意図せずに運転が停止しないかなどをチェックしましょう。
異常が見られたら、電源プラグを抜いて、販売店やメーカーに相談し、早めに修理などに出しておけば、安心して次のシーズンが迎えられます。

室外機の周辺では、周りに植木鉢やごみ、段ボールなどが置かれていないか確認し、掃除しておきます。植木鉢や段ボールなどは、虫や小動物(ゴキブリやネズミなど)のすみかになりやすく、室外機の中に侵入して配線をかじったり、電源基板に接触したりすることでショートし、発煙や発火を引き起こします。
エアコンの配管用壁穴も、こうした生き物の侵入口になることがあります。配管用壁穴がパテで完全に密閉されているかも、確認しましょう。

室外機の周辺には、他にも、可燃物が置かれていないかチェックし、もしも置きっぱなしになっていたら、撤去しておきましょう。野良猫除けなどのために、水を入れたペットボトルが置かれているご家庭も見受けられますが、水が入ったペットボトルはレンズのように作用して、太陽の光を一点に集めて、周辺にある落ち葉などの可燃物を燃やすことがあります。もしも着火した場合には、室外機に燃え移り、大きな火災に至る可能性があります。

携帯用扇風機にも注意が必要

猛暑が続く中で、携帯用扇風機に助けられたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、2019年頃から、携帯用扇風機による事故も報告されています。
携帯用扇風機の中でも、USBで充電して使用する、リチウムイオンバッテリーを内蔵したタイプは、注意が必要です。
手を滑らせて落とすなどして、外部からの強い衝撃が加わると、リチウムイオンバッテリーがへこむなどして、内部でショートが起きて発煙や発火につながります。車の中などの高温になる場所への放置や水に濡れることでも、制御機能が正常に働かなくなるおそれがあります。
携帯用扇風機は、直接肌に触れるような使い方をすることもあるので、火災に繋がらなくても火傷をする可能性もあります。

「充電が正常に行われない」「充電中にこれまでよりも熱くなった」「バッテリーパックが膨張したり、外装が変形した」「不意に電源が切れた」などの異常は、事故の前兆でもあります。
使い方にも注意しつつ、こうした前兆が見られた時には、使用を中止し、製造メーカーや購入店などの修理窓口に相談しましょう。相談窓口で適切な措置を取られるまでは、発火や破裂などの事故に備えて、金属製の缶などの容器に入れて保管します。

ゴミとして廃棄するときにも、注意が必要です。一般ごみと一緒に捨ててはいけません。
リチウムイオンバッテリーを内蔵した携帯用扇風機が一般ゴミとして廃棄されると、ゴミ収集車で圧縮された時に爆発するなどして、収集車を破損させたり、清掃局員の方たちが怪我をしたり、焼却施設で火災が発生する原因になることもあります。
破棄をするときには、その方法をメーカーのホームページや取扱説明書、自治体などに確認をとって、正しく破棄を行うようにしましょう。


エアコンや扇風機は、私たちの暮らしのなかで、なくてはならない家電製品の一つとなりました。
しかし、使い方次第では、火災などが発生し、私たちの安全な暮らしや財産を奪ってしまうものにもなりかねません。私たち自身や大切な家族を守るためにも、点検やメンテナンスをしっかりと行い、使い方や、買い替えのタイミングなどもよく考える必要があるかもしれません。


<参考資料>
独立行政法人製品評価技術基盤機構 エアコンと携帯用扇風機が大活躍!でも事故で冷や汗はご勘弁

独立行政法人製品評価技術基盤機構 SAFE-Lite

消費者庁 扇風機等の家電製品の経年劣化事故にご注意ください

政府広報ホットライン 扇風機やエアコンで火災発生!安全に使うための注意とは?

一般社団法人日本電機工業会

この記事を書いた人

瀬尾 さちこ

防災士。住宅建築コーディネーター。整理収納コンサルタント。

愛知県東海市のコミュニティエフエム、メディアスエフエムにて防災特別番組「くらしと防災チャンネル(不定期)」、「ほっと一息おひるまメディアス(毎週水曜日12時〜)」を担当。
以前の担当番組:みんなで学ぶ地域防災(2021年~2021年)、防災豆知識(2019年~2021年)
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