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災害時ミルクとおむつの備蓄はどれくらい必要?赤ちゃんと健康に過ごすための備え

赤ちゃんが生活を送るには、おむつ、お尻ふき、ミルク、哺乳瓶、離乳食などたくさんのものが必要となります。
しかし、人口の多い都市や広い範囲で地震などの災害がおきると、支援を必要とする人も多くなるため物資が行き届くまでに時間がかかります。政府の中央防災会議の被害想定によると、首都直下型地震や、静岡県から宮崎県までの広い範囲でおこる南海トラフ地震による被害のおきる地域では、ライフラインの停止や交通網の麻痺によって支援がすぐには行き届かないことから、1週間の備蓄が推奨されています。
しかし、成人用の支援に比べて赤ちゃん用の品物は遅れることも考えられますので、ミルクやおむつは1ヶ月分の買い置きをしておくと安心でしょう。
大きな災害にあっても赤ちゃんの健康を保てるように、災害時の過ごした方や備えについて紹介します。

なお、妊娠中の備えについては、こちらの記事で紹介していますので参考にしてみてください。


ストレスで母乳が出にくくなるって本当?ミルクや哺乳瓶の消毒はどうする?

母乳が出にくくなったときは

震災などで強いストレスがかかると母乳が出なくなるという話を聞いたことがあるかもしれません。しかし、母乳の出が悪くなるのは一過性のもので、安心して授乳できるようになると母乳の量はもとに戻っていきます。
母乳が出にくいと感じたとしても、体内では母乳が作られ続けています。そのため、何度も赤ちゃんの口に乳房を含ませていると、だんだんと母乳が出てきますので、赤ちゃんが欲しがるときにはなるべく乳房を含ませてあげましょう。
逆に、授乳の回数を減らしてしまうと、母乳が作られる量が減って出なくなってしまいますので、平常時と同じかそれ以上に授乳の回数を保つことが大切です。

また、赤ちゃんをたくさん抱っこしたり、肌と肌を合わせてスキンシップを取ったりすると母子ともにストレス軽減につながります。その他にも、子育てをしている母親が集まって情報交換をしたり、気持ちを聞いてもらったりすることも大切です。

母親は母乳を作り出す分の栄養が必要になりますので、母親の食べる食料や水もきちんと備蓄をしておくようにしましょう。しかし、母親が過度の栄養失調にならない限りは、母乳には赤ちゃんに必要な栄養素は含まると考えられていますので、心配しすぎないようにして体調を崩さないことを心がけましょう。

母親の乳首のケア

なお、母乳を与えるときには、母親の乳首の消毒はそれほど気にしなくてもかまいません。乳首のまわりにあるモントゴメリー腺から細菌の増殖を防ぐ分泌物が出ているため清浄綿などでふく必要はなく、シャワーを浴びる機会があったときにお湯で洗えば十分です。なお、石鹸は乳首を保護する皮脂を洗い流してしまいますので、お湯で洗ったあとにタオルで軽く抑えるくらいにしましょう。
その他のトラブルとして、乳房の張りによる痛みや乳腺炎がおきる原因の多くは、母乳がたまりすぎることにあります。災害時は授乳間隔がまちまちになってしまうこともありますが、なるべく間隔を開けず定期的に赤ちゃんに母乳を飲んでもらうことで解消することがあります。
もし、定期的な授乳を心がけても治らない場合には医師の診察を受けるようにしてください。

粉ミルク・液体ミルクの用意

いつも粉ミルク・液体ミルクをあげている方はミルクの備蓄をしておきましょう。避難所にいっても、たくさんの人が集まり入れない場合や、ミルクの備蓄がない、もしくは少ないなど、様々な理由でミルクが手に入らない場合がありますので、個人での備蓄が大切になります。

災害時も平常時とおなじように、粉ミルクを殺菌のために熱湯を使って溶かすことには変わりありません。また、哺乳瓶や乳首の消毒のための煮沸をすることを考えて、水とカセットコンロの備蓄をすることが必要です。
なお、硬水はミネラルが多く赤ちゃんの腎臓に負担をかけるため、備蓄には軟水を選ぶようにしましょう。

また、熱湯を必要とせずそのまま与えられる液体ミルクは災害時にとても便利です。しかし、備蓄の全てを液体ミルクで用意するのは大変かもしれません。災害直後はとくにガス・水道・電気が止まりやすく、生活の負担も大きいため、1週間分の液体ミルクを備蓄しておいて災害直後に使うのもよいでしょう。

水道が止まった状態では、哺乳瓶や乳首の消毒のために十分な水を備蓄することは少し難しいかもしれません。水がどうしても足りないときには、使い捨ての紙コップを使ったカップフィーディングという方法があります。
※周囲に専門的な支援にあたる、保健師、助産師、看護師、栄養士がいる場合には支援をあおいでください。

カップフィーディングの方法

  1. 赤ちゃんがしっかりと目を覚ましており、泣いていなく落ち着いていることを確認します。
  2. 清潔な紙コップを用意します、煮沸消毒できない場合には清潔な水で洗ってから使用します。手も洗い清潔に保ちましょう。
  3. コップの半分の高さまでミルクを注ぎます。
  4. 赤ちゃんが動いてコップに手が当たらないよう、赤ちゃんを布やタオルでくるみ、ミルクがこぼれても良いように口元にタオルやよだれかけをかけます。
  5. 赤ちゃんの体をまっすぐに起こすか、やや傾いた状態にします。
  6. コップを下唇に当て、コップの縁が赤ちゃんの上唇に触れるようにします。
  7. 徐々にコップをかたむけ、ミルクを軽く上下の唇に触れるようにすると、赤ちゃんがミルクを飲み始めます。
    この時、無理やり流し込まず、赤ちゃんのリズムで自然に飲めるようミルクが軽く上下の唇に触れる状態を保ちましょう。
  8. 必要ならば休憩をして、飲まなくなったらミルクを与えるのをやめます。

紙コップを使った授乳方法の注意点
  • コップを傾けすぎないでください。
  • 寝かした姿勢での授乳はしないでください。ミルクが口の中に流れ込みやすくなります。
  • 時々げっぷさせてください。
  • 飲み残しは与えないでください。
  • 周囲に専門的な支援にあたる保健師、助産師、看護師の方がいる場合は支援をあおいでください。
  • 一度使用した紙コップは捨ててください。
カップフィーディング法は慣れないとミルクを飲んでくれないこともあるため、日ごろから練習しておくと安心です。

ミルクが手に入らないときには

どうしてもミルクが手に入らないときの方法として、ミルクの代わりに砂糖水をあたえる方法があります。コップ1杯(約200ml)の湯冷ましに、砂糖大さじ1(約9g)を溶かしたものを飲ませます。また、お米1:水10の割合で作った10倍粥の上澄みを重湯として飲ませる方法もあります。いずれも作り置きはしないようにしましょう。
これらは脱水症状を防ぐための方法となり栄養は不足しますので、ミルクが手に入るまでの一時的は方法としてお使いください。
なお、ジュースやスポーツ飲料は月齢の低い赤ちゃんには合わないこともありますので気をつけましょう。

いつもと違う状況で、どれくらいミルクを飲ませればいいかわからない

母乳が出にくくて粉ミルクや液体ミルクを足すときも、カップフィーディングでミルクを与えるときも、いつもと違う状況のため、どれくらいミルクを飲ませればいいかわからないことがあるかもしれません。
ミルクを飲ませる量は1回の量を見るのではなく、1日の期間で見るようにしましょう。おむつがしっかりと濡れる量の尿が1日6回以上出ていれば、ミルクは足りていると考えて大丈夫です。

ビニール袋でできる簡易おむつ、衛生面で気をつけること

避難所にはおむつ備蓄がなかったり、あってもサイズが合なかったりということがありますので、おむつやおしりふきは買いだめをしておき、避難所にも持っていくようにしましょう。
急な避難であわてて持ち出す余裕がなかったり、足りなくなったりした場合には、持ち手が付いたスーパーのビニール袋と、汚れてもよいタオルで簡易的なおむつを作ることができます。

簡易おむつの作りかた

  1. ビニール袋の持ち手から一番下まで切り開きます。
  2. 切り開いたビニール袋の中央にタオルをおきます。
  3. タオル部分にお尻が来るように赤ちゃんを仰向けで寝かせ、上側の持ち手部分をおなかの前で結びます。
  4. 下側の持ち手をお尻からおなかの前で結び、余った部分を折り返して完成です。

ハサミがない場合には、ビニール袋を手で引き裂くことで作ることができます。また、タオルがない場合は生理用ナプキンやキッチンペーパーなどで代用をしましょう。

赤ちゃんの体の洗い方

お湯がなく赤ちゃんがお風呂に入れないときには、ペットボトルなどにいれた水でデリケートゾーンを洗い流した後にふいてあげてください。また、おしりを拭いたものとは別のおしり拭きや濡らしたタオルを用意し、顔、手、胸・おなか、背中、足という順番で体をふきましょう。

赤ちゃんの避難生活に必要なものは?

ミルクやおむつ、おしり拭き以外にも必要になるものをチェックしておきましょう。
冒頭でも説明したとおり、赤ちゃんのための支援物資は遅れるかもしれません。粉ミルクやおむつは1ヶ月分の買い置きをして、その他のものは7日分を目安にするとよいでしょう。

赤ちゃんとの生活で必要となるものはたくさんあるため、避難所に何日分もの荷物を一度に持っていくことは大変です。まずは持ち運べる重さを考えて3日分くらいのものを持っていき、残りは後日取りにいくとよいでしょう。
また、避難をするときには両手を開けられるようにするのが基本で、ベビーカーなどが通れなくなることもありますので、できれば赤ちゃんは抱っこ紐で避難することをおすすめします。普段はカートとして持ち運び、リュックサックとして背負って運ぶこともできるバックもありますので工夫をしてみてください。

自分用の非常用持ち出し袋(避難バッグ)以外に必要となるもの

  • 母子健康手帳
  • 健康保険証
  • 抱っこひも
  • おむつ・おしり拭き(おしり拭きは体全体を拭くことも考えて多めに)
  • ミルクセット・離乳食
  • 紙コップ(哺乳瓶の消毒ができないときに)
  • スティックシュガー(ミルクがなくなったときに砂糖水をつくるため)
  • ガーゼのお包みやショール
  • ガーゼのハンカチ
  • タオル
  • ティッシュ・トイレットペーパー
  • レジ・ビニール袋
  • ワセリン
  • 着替え
  • 防寒着
  • おもちゃ
  • アルコール除菌ジェル・シート(母親用)
最後にこの記事では紹介しきれなかった、災害時に赤ちゃんと過ごすための情報を紹介しますので参考にしてみてください。

日本新生児成育医学会
被災地の避難所等で生活をする赤ちゃんのためのQ&A

NPO法人 ラ・レーチェ・リーグ
災害時の心配

あかちゃんとママを守る 防災ノート

避難所へ避難をした場合、すぐには赤ちゃんを連れた人のことまでは気づかれず、安心して授乳や世話のできるスペースは無いかもしれません。
しかし、内閣府による避難所運営ガイドラインでも、 母子(妊産婦、乳幼児)専用の避難所やスペースを設けることが勧められており、赤ちゃんのいる母親にとっては安心して授乳を行える環境が大切です。

赤ちゃんを連れた母親は周りに迷惑をかけているという意識が働き、本人からは言いにくいかもしれません。
自分の家族に赤ちゃんがいなくても、もし周りに赤ちゃんを連れた母親が困っていることがあれば、ぜひ声をあげて、赤ちゃんとお母さんが快適に過ごせる避難所となるよう改善してあげてください。


この記事を書いた人

moshimo ストック 編集部

防災をしたいけど情報がたくさんあって、何から始めればいいの…?
私たち moshimo ストックも始めは知ることが幅広くて、防災ってちょっと難しいな…と思いました。
そんな "元初心者" の編集部が、初めての方にもわかりやすいよう防災・備蓄・災害についての情報をお届けいたします。
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