また、べつの日のこと。お父さんがたくさんのはこを、はこんできました。
「すごいにもつ、今日は何を買ってきたの?」
「これはね、ぜーんぶ水なんだ。」
はこを開けると、大きなペットボトルに入った水が何本も入っています。
「いち、に、さん…全部で6本入っているね。」
「そう、水が6本はいったはこを、6はこ買ってきたから、ぜんぶで36本あるね。」
今度はお母さんが帰ってきました。お母さんも大きなふくろをかかえています。
「ただいま、ああ、やっと家についた。ああ、おもかった。」
「お母さんは何を買ってきたの?」
「かんづめとレトルトの食べ物をたくさん買ってきたの。マモルのすきな、サケのかんずめもたくさんあるわよ。」
買ってきたものをつくえにならべると、とても食べきれないほど山のようにつまれました。
ぼうさいが始まってから、家ではふしぎなことがたくさんおこります。
部屋にはいっぱいの水と、つくえには山のような食べ物。これから一体何が始まるのでしょう?
「きょうはだれかが来るのかな?それにしてもたくさん食べ物があるから、クラスの全員はいないと食べきれないよ。みんな家の中に入れるかな?」
「この食べ物は今日食べるんじゃないんだ、食べずにとっておくんだ。」
「そう、この水と食べ物は、じしんがおきたときに食べるためにとっておくの。食べ物などの生活にひつようなものを用意するのは “びちく”といって、これもぼうさいの一つなの。」
「じしんがおきたら、なんでかんづめを食べないといけないの?」
「じしんがおきると、電気やガス、水道が、何日も止まってしまうことがあるの。れいぞうこも止まってしまうから、ほぞんができるかんづめやレトルトの食べ物がひつようなの。」
「道路が通れなくなって、一週間くらいは食べ物も水もとどかないことがあるんだ。水は飲むほかにも、ごはんを作ったり、体をふくのに1人3リットルはひつようになる。大きなペットボトル1本と半分だね。だから、お父さんとおかあさん、マモルとクルミの4人でこんなにたくさんの水がひつようなんだよ。」
「一週間も水や食べ物がないなんてたいへん!これだけで食べ物はたりるのかな?」
「家にはお米もみそもあるから、それを使えばだいじょうぶ。あと、レトルトの食べ物にお豆をいれたりくふうしないとね。あれ、カセットコンロのガスボンベはあったかしら?ガスが止まったときのためにかくにんしなくちゃ。」
「よかった、びちくをしておけば安心なんだね。それにしてもこんなにたくさんの水はどこにしまうの?」
「水は家のおしいれや、ものおきに分けていれておこう。分けて入れておくことで、じしんがきてとびらがこわれて水がとり出せなくなっても、他のばしょから取れるようにするんだよ。」
「さあ、お水をしまうのを手つだってきて。その間にお母さんはごはんを作っておくから。今日は前に買っておいた古いかんづめでりょうりをつくろうかしら。」