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震度とマグニチュードの違いは?高層ビルの長周期地震動階級とは?地震の大きさについて知ろう

地震が起きると、震度やマグニチュードなどの数値が発表されますが、数字が大きいほど地震も大きくなることはわかるけれど、詳しい内容はあやふやな人も多いかもしれません。
また、通常の震度とは別に、長周期地震動階級という高層の建物でおきるゆれを表す階級もあります。
今回は地震の大きさを表す、さまざまな単位について学んでみましょう。

マグニチュード

地震は地球の表面をおおう大きな岩盤“プレート”がずれたり、割れたりすることでおこります。このプレートのずれや割れによって、どれくらいのエネルギーの地震がおきたかを表す単位がマグニチュードです。
このマグニチュードですが、実は数字1あたりの差がとても大きく、数字が1大きくなると約32倍のエネルギー、数字が2大きくなるとなんと1000倍ものエネルギーが発生したこととなります。

同じマグニチュードでも震源からの距離や地形などによってゆれの大きさが違ってくるため、マグニチュードの大きさだけでおきる被害を知ることはできないのですが、おおよそどのようなことがおきるかを紹介します。

マグニチュード 5~6 被害が出ることは少ないが、震源の中央では被害が出ることがある。 マグニチュード 6~7 震源の中央で被害が起きる。マグニチュードが7に近い場合は条件によって大災害となる。

主な地震
2004年 新潟県中越地震 マグニチュード6.8
死者68名、負傷者4,805名、住宅全壊3,175棟、住宅半壊13,810棟

2018年 北海道胆振東部地震マグニチュード6.7
死者43名、負傷者782名、住宅全壊469棟、住宅半壊1,660棟

このようにマグニチュード7以下の地震でも、震源の近さによって大きな被害をおこすことがあります。
マグニチュード 7~8 マグニチュード7以上は大地震と呼ばれ、日本周辺で1年に1~2回程度おきる。
内陸でおきた場合には大災害となり、海底でおきた場合に津波がおきる。

主な地震
阪神淡路大震災 マグニチュード7.3
死者6,434名、負傷者43,792名、住宅全壊104,906棟、住宅半壊144,274棟

2016年 熊本地震 マグニチュード7.3
死者273名、負傷者2,809名、住宅全壊8,667棟、住宅半壊34,719棟

マグニチュード7を超える地震が内陸でおきた場合には、甚大な被害を引きおこします。
マグニチュード 8~9 マグニチュード8以上は巨大地震と呼ばれ、日本周辺で10年に1回程度おきる。
内陸でおきた場合には広い地域で大災害となり、海底でおきた場合に大津波がおきる。

主な地震
2003年 十勝沖地震 マグニチュード8.0
死者1名、行方不明1名、負傷者849名、住宅全壊116棟、住宅半壊368棟

マグニチュード8以上の地震は主に海底でおきます。十勝沖地震では沖合が震源となっているため、内陸型の地震と比べると被害は少なくなっています。
マグニチュード 9 日本周辺で数100年に1回程度おきるとされており、広い地域で大災害、大津波がおきる。

主な地震
東日本大震災 マグニチュード9.0
死者19,729名、行方不明者2,559名、住宅全壊121,996棟、住宅半壊282,941棟

東日本大震災によって初めて日本周辺でマグニチュード9を記録しました。沖合でおきた地震となり震源は遠くにありましたが、その強いエネルギーは広い地域に前例のない被害を引き起こしました。
今後発生が予測されている南海トラフ地震も同規模の地震となるといわれているため注意が必要となります。

(参考:防災科研 マグニチュード

震度

震度は、日本の各地でどの程度の“ゆれ”を感じたかを示す数値です。正確には気象庁震度階級という名前で、日本独自の階級となっています。
震源でおきたエネルギーの大きさ「マグニチュード」に対して、震源から伝わったゆれが日本の各地でどの程度の大きさとなったかを「震度」と考えるのがよいでしょう。

以前は人の感覚や被害状況から震度が決められていましたが、1996年4月以降は日本各地にある震度計の数値によって震度が決められるようになりました。
それぞれの震度でおきることの多い状況は下記の通りとなっています。

震度 0 人は揺れを感じないが、地震計には記録される。 震度 1 屋内で静かにしている人の中には、ゆれをわずかに感じる人がいる。 震度 2 屋内で静かにしている人の大半がゆれを感じる。
電灯などつり下げられたものがわずかに揺れる。
震度 3 屋内にいる人のほとんどがゆれを感じ、歩いている人の中にもゆれを感じる人がいる。眠っている人の大半が目を覚ます。 震度 4 ほとんどの人が驚き、歩いている人のほとんどがゆれを感じる。眠っている人のほとんどが目を覚ます。
電灯などつり下げられたものが大きくゆれ、棚にある食器が音を立てる。バランスの悪い置物がたおれることがある。
震度 5弱 多くの人が恐怖を覚え、物につかまりたいと感じる。
電灯などつり下げられたものは激しくゆれ、棚にある食器や本が落ちることがある。バランスの悪い置物の多くがたおれる。
固定していない家具が移動することがあり、不安定なものは倒れることがある。まれに窓ガラスが割れて落ちることがある。
外では電柱が揺れるのがわかり、道路に被害がおきることがある。
震度 5強 多くの人が物につかまらないと歩くことが難しくなる。
棚にある食器や本は落ちるものが多くなる。テレビが台から落ちることがあり、固定していない家具が倒れることがある。窓ガラスが割れて落ちることがある。
補強されていないブロック塀が崩れることがあり、固定が不十分な自動販売機が倒れることがある。自動車の運転が難しくなる。
震度 6弱 立っていることが困難になる。
固定していない家具の大半が移動し、倒れるものもある。ドアが開かなくなることがある。
壁のタイルや窓ガラスが破損して、落下することがある。
震度 6強 立っていることができず、はわないと動くことができない。動くこともできず、飛ばされることもある。
固定していない家具のほとんどが移動し、倒れるものが多くなる。
壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する建物が多くなる。補強されていないブロック塀のほとんどが崩れる。
震度 7 立っていることができず、はわないと動くことができない。動くこともできず、飛ばされることもある。
固定していない家具のほとんどが移動したり倒れたり、ときに飛ぶこともある。
壁のタイルや窓ガラスが破損、落下する建物がさらに多くなる。補強されているブロック塀も破損するものがある。

(参考:気象庁 気象庁震度階級関連解説表

長周期地震動階級

高層の建物で大きなゆれをおこす、長周期地震動という現象があります。この高層の建物でのゆれを表す長周期地振動階級という指標がありますので説明をしましょう。
地震のゆれは1往復するのにかかる時間 = 周期が異なります。高い建物は短い周期のゆれは受け流しやすいのですが、長い周期のゆれには共振してしまい、大きく、長くゆれることがあります。

建物の高さによって共振がおこる周期は異なり、高い建物の高い階ほど大きなゆれが起こるため、同じ地域で地震にあったとしても、建物の高さや階数によっておこるゆれの大きさが異なるのです。
実際に東日本大震災でおきた例として、震源から800kmと遠く離れた大阪府内は震度3だったのにもかかわらず、52階の高層ビルでは片側にゆれた幅(片振幅)が1mを超え、内装の損傷やエレベータの閉じ込めなどがおこりました。
また、今後おこるとされている南海トラフの巨大地震では、東日本大震災よりも超高層ビルのゆれがいっそう大きく、長くなる可能性が指摘されています。

このようなことから地域でおきたゆれを表す震度とは別に、長周期地振動階級という高層の建物でおきたゆれを表す階級があります。東日本大震災での教訓を元に2013年3月28日より「長周期地震動に関する観測情報」を気象庁のWEBサイトに掲載するようになりました。

気象庁|長周期地震動に関する情報

それぞれの長周期地震動階級でおきることの多い状況は下記の通りとなっています。

長周期地震動階級 1 室内にいる人のほとんどがゆれを感じる。ブラインドなどが大きくゆれる。 長周期地震動階級 2 物につかまりたいと感じる。物につかまらないと歩くことが難しいなど、行動に支障を感じる。
キャスター付きの棚などがわずかに動き、棚にある食器や本が落ちることがある。
長周期地震動階級 3 立っていることが難しくなる。
キャスター付きの棚などが大きく動く。固定していない家具が移動することがあり、不安定なものが倒れることがある。
間仕切りにひび割れや亀裂が入ることがある。
長周期地震動階級 4 立っていることができず、はわないと動くことができない。
固定していない家具の大半が移動し、倒れるものもある。
間仕切りにひび割れや亀裂が多くなる。

(参考:気象庁|長周期地震動に関する観測情報解説

地震の大きさの単位と、それぞれでおきる被害についてご紹介しました。
今後、南海トラフ地震というマグニチュード 8~9となる巨大地震が高い確率でおきると予測されています。この地震では静岡県から宮崎県にかけて一部では震度7となり、その周辺の広い地域では震度6強から6弱の強い揺れになる可能性が予測されています。
地震による大きな震度でおきる被害を知り、どんな備えが必要になるかを考えて、しっかりと準備しておきましょう。


この記事を書いた人

moshimo ストック 編集部

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