高層の建物で大きなゆれをおこす、長周期地震動という現象があります。この高層の建物でのゆれを表す長周期地振動階級という指標がありますので説明をしましょう。
地震のゆれは1往復するのにかかる時間 = 周期が異なります。高い建物は短い周期のゆれは受け流しやすいのですが、長い周期のゆれには共振してしまい、大きく、長くゆれることがあります。
建物の高さによって共振がおこる周期は異なり、高い建物の高い階ほど大きなゆれが起こるため、同じ地域で地震にあったとしても、建物の高さや階数によっておこるゆれの大きさが異なるのです。
実際に東日本大震災でおきた例として、震源から800kmと遠く離れた大阪府内は震度3だったのにもかかわらず、52階の高層ビルでは片側にゆれた幅(片振幅)が1mを超え、内装の損傷やエレベータの閉じ込めなどがおこりました。
また、今後おこるとされている南海トラフの巨大地震では、東日本大震災よりも超高層ビルのゆれがいっそう大きく、長くなる可能性が指摘されています。
このようなことから地域でおきたゆれを表す震度とは別に、長周期地振動階級という高層の建物でおきたゆれを表す階級があります。東日本大震災での教訓を元に2013年3月28日より「長周期地震動に関する観測情報」を気象庁のWEBサイトに掲載するようになりました。
気象庁|長周期地震動に関する情報
それぞれの長周期地震動階級でおきることの多い状況は下記の通りとなっています。
長周期地震動階級 1
室内にいる人のほとんどがゆれを感じる。ブラインドなどが大きくゆれる。
長周期地震動階級 2
物につかまりたいと感じる。物につかまらないと歩くことが難しいなど、行動に支障を感じる。
キャスター付きの棚などがわずかに動き、棚にある食器や本が落ちることがある。
長周期地震動階級 3
立っていることが難しくなる。
キャスター付きの棚などが大きく動く。固定していない家具が移動することがあり、不安定なものが倒れることがある。
間仕切りにひび割れや亀裂が入ることがある。
長周期地震動階級 4
立っていることができず、はわないと動くことができない。
固定していない家具の大半が移動し、倒れるものもある。
間仕切りにひび割れや亀裂が多くなる。
(参考:
気象庁|長周期地震動に関する観測情報解説)
地震の大きさの単位と、それぞれでおきる被害についてご紹介しました。
今後、南海トラフ地震というマグニチュード 8~9となる巨大地震が高い確率でおきると予測されています。この地震では静岡県から宮崎県にかけて一部では震度7となり、その周辺の広い地域では震度6強から6弱の強い揺れになる可能性が予測されています。
地震による大きな震度でおきる被害を知り、どんな備えが必要になるかを考えて、しっかりと準備しておきましょう。
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