地震が発生したときに、それらから身を守る方法は二つしかありません。
一つは、
事前の備えです。家具の固定、ガラスの飛散防止、テレビなどの下に耐震マットを入れる転倒防止、・・・やるべきことはたくさんあります。
もう一つは、
その瞬間の対応、つまり揺れたらすぐに一番安全な場所に逃げることです。逆に言えば、危険な箇所から離れることです。昔はトイレが安全だと言われていました。狭い空間ですが、柱の数が多いからです。テーブルや机の下も、落下物から身を守ることができます。
今回は、部屋の中のどこが危険かを探し、安全な場所を見つける方法を学びましょう。手順は以下の通りです。
- 地震の揺れの怖さが分かる映像を見せます。もちろん、怖がるこどももいるので、無理に見せる必要はありません。地震の揺れによっていろんなものが倒れたり落ちてきたりするという事実を理解してもらえばいいでしょう。
- 今いる部屋の中の危険だと思う個所を探してもらいます。個人でノートに書きだしたり、それをグループで出し合って共有したりしましょう。もっと活動的にやりたければ、こどもたちに赤いギザギザの付箋を持たせて、危険な箇所に張ってもらってもいいでしょう。付箋は折り紙で手作りし、セロテープを輪にして貼れば両面テープになります。
- こどもたちに「危険な箇所」を発表してもらいます。先生はそれを黒板に書き込んでいきます。家庭で家族一緒にとりくむなら、メモ用紙に手書きしてもいいですね。危険な箇所を発表するときは必ずその理由も説明しもらいます。
- さて、こどもたちに聞いてみましょう。「危険な箇所を全部覚えられるかな?」
小さなこどもほど「覚えられる」と答えます。でも、この部屋だけではなく、ほかにも部屋はいっぱいあります。外に行けば、スーパーマーケットや友達の家、列車、バス、・・・こどもたちはいろんな場所に立ち寄ります。そこにある危険を全部覚えられるかと問いかけると、こどもたちはやっぱり覚えるのは無理そうだと気づきます。
- そこで、こどもたちが指摘した危険個所を4つにまとめていきます。「落ちてくるから危ない」「倒れてくるから危ない」「移動してくるから危ない」「割れるから危ない」です。
- 「4つの危ない」が発生しないようにはどうしたらいいか(備え)、地震が発生したときに「4つの危ない」から身を守るにはどうしたらいいか(対応)を考えさせましょう。
「4つの危ない」を覚えておけば、応用が利きます。どんな場所にいても、
「4つの危ない」から離れることが大切です。といっても、いきなり強い揺れに襲われて、冷静に「4つの危ない」を探すのは難しいかもしれません。いつでも、周りを見て
危険な箇所がないかを探す癖をつけておくのがいいのかもしれませんね。
たくさんの危険な個所を見つけたと喜んでいてはだめです。先生や親の仕事は
危険な箇所をできるだけ減らしていくことです。学校なら、予算を確保して本立てや下駄箱、理科実験室の薬品庫など、こどもたちが指摘した危険個所に転倒防止策を講じていきましょう。ガラスも飛散防止フィルムを貼ったり、耐震ガラスに取り換えたりしなければなりません。家庭でもこどもたちと話し合って、危険を減らしていきましょう。
自分の意見が取り入れられて、自分のいる環境がどんどん安全になっていくと、こどもたちもどんどんやる気を出してくれるはずです。
さて、もし防災教育の時間を十分の取れないのなら、この危険な個所探しを朝の会や帰りの会を使ってほんの5分で行うことができます。いわゆる
モジュールという方法です。学校なら教室や理科室、給食室、廊下、体育館などの写真やイラストを見せます。家なら寝室や居間、台所、風呂、・・・ほかにも屋外でこどもたちが行きそうな場所の
写真やイラストを見せて、どこが危険かを見つけさせ、発表させればいいのです。
クイズ感覚で楽しくできそうですね。
毎日防災ばかりだとマンネリ化する恐れがあるなら、週に1回でも構いません。地震だけではなく、水害、土砂災害、交通事故など、いろんな「危険」を取り上げて、幅広く安全について考えさせたいですね。
写真は筆者がモンゴルの幼稚園の先生方と一緒に行った時の様子です。
危険個所に貼る付箋を手作りしました。
こどもたちは、自分が危険だと思う個所に付箋を貼っていきます。
先生が子供たちを危険な箇所に連れて行き、どうすれば安全かを説明しています。
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防災テッパン授業② ~ 水害時の早期避難 & 非常持ち出し袋を作ろう