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知っているようで知らない。「高波」「高潮」「津波」の違い

危険なイメージのある高波・高潮・津波にはどのような違いがあるのでしょうか。また、高波や高潮を理解する上でも重要になる波浪とはどのようなものでしょうか。違いを確認して、それぞれの災害に備えましょう。

波浪 って何?

台風が接近すると、天気予報で耳にする機会が増えてくる波浪(はろう)。波浪は、海面の波の動きのことで、「風浪」「うねり」によって生じる波の総称です。

風浪は、海面上を吹く風が原因となって起こる波のことで、風が吹く方向に進み、波は不規則で尖っているのが特徴です。台風発達中の過程の波で、発達が進むにつれて波は高く、速くなります。

うねりは、発達のピークを過ぎて衰えていくときにできる波です。海面上を吹く風が弱くなったり、風浪が風のないところまで進むと、うねりになります。規則的で丸みを帯び、穏やかに見える波ですが、海岸付近でうねりが発生すると、海面が高くなりやすいのが特徴です。

高波・高潮・津波の違い

高波、高潮、津波は原因によって区別されています。高波は風、高潮は気圧、津波は地震によって起こる高い波を指します。もう少し細かくそれぞれを見ていきましょう。

[高波]

高波は、文字通り高い波のことで、主に低気圧の発達による強い風が原因で発生します。
気象庁では波浪注意報・警報の対象になる程度の高い波と定義しています。波浪注意報・警報は、気象庁と各地域の行政機関が、各地域の過去の気象と災害発生の関係性を調査した上で発表する基準を決めています。
海上や海岸付近に近づかずに、波にさらわれないようにする必要があります。波は海岸付近で砕け散るため、高波だけでは洪水などの浸水被害を起こすことはありません。

[高潮]

高潮は海面が沖合いの方から盛り上がって、海岸や沿岸の方へ押し寄せる現象です。 台風や低気圧による海水の「吸い上げ効果」によって発生します。これは、低気圧の周りにある気圧の高い空気が海面を押し、同時に中心部の気圧の低い空気が海水を吸い上げることで、海面を高く盛り上げるというものです。
あわせて、暴風が海岸に向けて吹くことで、海岸付近に海水が集まり海面が盛り上がる「吹き寄せ効果」も高潮の原因になります。

海岸で砕け散ってしまう高波とは異なり、高潮は数十分と長い時間続くことが特徴です。海面が高い状態が続くため、堤防を越えて水が流れ込み海岸付近で洪水を起こすことがあります。
津波のような猛烈なスピードと、陸地でも勢いが衰えず遠くまで届くほどの威力はありませんが、洪水による被害が広がることがあるため注意が必要です。

また、高潮で潮位が上がった状態で高波が発生すると、高潮や高波だけでは到達できないところにまで波が押し寄せることもあります。

[津波]

津波は高潮と同じく、海面が沖合いの方から盛り上がって、海岸や沿岸の方へ押し寄せる現象ですが、地震を原因に発生するという違いがあります。
地震によって、海底の地盤が大きく陥没したり隆起したりすると、海水が引き込まれたり押し上げられて波が発生し、四方に広がって、やがて陸地に押し寄せます。

海の表面だけが動く波浪に対して、津波は海底から海面までの海水全体の動きです。津波は海岸に到達しても波の勢いが衰えないまま陸地を駆け上がり、進む速度がとても速いことが特徴です。
東日本大震災では“港で確認できた津波の高さ”が岩手県女川市では9.3m、宮城県女川漁港では14.8mでした。しかし、“陸地を駆け上がった津波の高さ”(遡上高)は宮古市で40.5m、女川町では43.3mまで到達したことがわかっています。

危険に応じた避難行動

地震によって起こる津波は予測ができませんが、沖合にある観測装置によって影響を推測することができます。
高波と高潮は発生の予測ができますが、沖合の観測装置を通過した後も沿岸ぎりぎりまで発達する可能性があり、どれくらいの規模で襲ってくるか前兆をとらえることが難しいとされています。
そのため、それぞれに合わせた適切な行動を行うことが大切です。

高波や高潮から身を守るには、まずリスクがある場所かどうか知っておくことが重要です。自治体のハザードマップなどで標高(潮位)に応じた浸水想定区域などの危険な箇所をあらかじめ調べておきましょう。
堤防決壊によって家屋の流失が想定される場所や、最上階の床まで浸水すると想定される場所などは、屋内で待避していても非常に危険で、建物からの避難が必要です。
波浪警報や高潮警報など、該当する警報に注意を払いつつ、暴風に対する注意報や警報も合わせて確認しましょう。
安全のためには、暴風が吹き始める前に避難を完了しておきたいところです。高潮注意報の発表中に、暴風警報や暴風特別警報が発表された時点で、すみやかに避難しましょう。

気象庁のHPでは、気象情報や警戒レベルをリアルタイムで確認することができます。警戒レベルとは、避難のタイミングやとるべき行動を、直感的に理解できるように5段階に分けて明記した防災情報です。
台風や低気圧などが近づいている場合はこまめにチェックしましょう。

気象庁

地震が発生し、強い揺れや、弱くても長い揺れを感じたら、津波が発生する可能性があります。また、急に海面が下がったときも津波の予兆となりますので、沿岸部など津波の危険が考えられる地域にいる場合は、誰かの指示を待つことなく、一刻も早く高いところに避難しましょう。
また、津波は繰り返しおこり、1回目よりも2回目以降の波の方が大きいことがあります。そのため、波が引いても避難をやめず、警報や注意報が解除されるまでとどまることも大切です。

津波についてはこちらの記事もチェックしてみてください。


この記事を書いた人

moshimo ストック 編集部

防災をしたいけど情報がたくさんあって、何から始めればいいの…?
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