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地震や台風でトイレが使えない!携帯トイレ(簡易トイレ)を備蓄して災害にそなえよう

災害がおきたときに困ることとして、意外な盲点となるのがトイレの問題です。地震で水道などの設備が停止してしまうほかにも、台風や大雨などの水害で下水が逆流して使用できなくなることもあります。
食べることと同じように、トイレは健康にすごすため大切な存在です。どのようなときにトイレが使えなくなるかを知って、家庭に携帯トイレ(簡易トイレ)を備蓄して災害にそなえましょう。

災害時のトイレの問題

水洗トイレは、水道設備の故障による断水のほか、停電や汚水処理施設の故障など、さまざまな理由で使えなくなってしまいます。そのため、比較的おきやすい台風や大雨などの災害でもおこり、大地震などでは長期間にわたってトイレが使えなくなることがあります。

災害がおきた直後の避難所ではしばらく仮設トイレは届かず、通常のトイレにビニールをかぶせて使う携帯トイレが用意されますが、集まった人に対して使用できるトイレの数が少ないため長い行列ができます。そのため、自宅で在宅避難をおこなう場合に公共のトイレを借りることはかなり難しく、また極度のストレスから下痢をしてトイレが近くなることもありますので、自宅でもトイレの対策をしておきましょう。

きちんとトイレを流せない状態で排せつしたものをためておくと、害虫を呼び寄せたり、菌が屋内に広がったりして、胃腸炎などの感染症をおこします。
また、トイレを我慢するために水や食事をとらなくなる人もおり、栄養不足、脱水症状、エコノミークラス症候群などにつながることがあります。阪神・淡路大震災では約900人が災害関連死として認定されていますが、3割程度が心筋梗塞や脳梗塞でなくなっています。これはストレスによる影響のほか、トイレを我慢したことも大きな要因とみられています。※
※出典:日本トイレ研究所 震災経験から学ぶ災害時のトイレ

建物の倒壊や家具の転倒よる直接のけがを逃れても、体調を崩すことで災害関連死につながることもあるため、トイレはとても大切な備えとなるのです。

災害直後に水が流れても、トイレは使わないように!

災害直後は水が使えても、しばらくすると断水してしまうことがあります。
マンションやビルの貯水槽の水が無くなる、停電により水道設備が止まる、下水道があふれるなどの理由で水が急に流れなくなることがありますので、大きな災害があったときには、しばらくトイレを流さず様子を見るようにしましょう。
また、マンションなどの集合住宅で下水が詰まった場合、上の階で流した下水が下の階で逆流してしまうことがありますので注意が必要です。

一軒家やマンションの低層階では、雨水が下水で流しきれる量を超えると、トイレや排水溝から下水が逆流してくることがあります。台風などで大雨が予想されるときには、ビニール袋に水を入れて口をしばった「水のう」をつくり、トイレや排水溝をふさいでおきましょう。

家庭で備蓄する携帯トイレ

災害時に家庭でつかうトイレは、携帯トイレ、簡易トイレ、非常用トイレなど、いろいろな名前がつけられて販売されています。販売する会社によって、同じ名前でも機能が違ったり、同じ機能でも名前が違っていますので、ここでは内閣府の基準 ※ を参考にして、下記の通り整理をしておきます。
※参考:内閣府 避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン

携帯トイレ

元からある洋式トイレにビニール袋をかぶせ、中に凝固剤をいれて排せつを行い、使用後にビニール袋の口をしばって捨てるタイプ。凝固剤で尿などの水分を固めることで、ビニールから漏れを防ぎます。
ビニール袋と凝固剤だけで使用できるためかさばらず、元からあるトイレに使えてしっかり座ることができるため、おなかに力が入りやすく、足腰が弱く和式に慣れていない人でも使えます。

初めに使うときには便座にビニール袋を2重にかぶせ、使用後にはビニール袋を1枚だけ取り出して捨てれば、便座内の水で床を汚すことなく使用することが出来ます。
地震で便座が割れてしまわない限りは使用できるため、家庭ではこの携帯トイレの備蓄をおすすめします。

簡易トイレ

組み立て式の簡易的な便座や箱の中に、携帯トイレと同じようにビニール袋と凝固剤を入れて使うタイプです。
避難所などでトイレの数を増やすにはよいのですが、箱のタイプだと座れなかったり、便座が低かったり不安定だったりするため、おなかに力が入らなかったり、足腰の弱いお年寄りや子供が使えないことがあります。

備蓄する携帯トイレの数

避難所にはしばらく仮設トイレは届かず、東日本大震災の場合には3日以内に届いた自治体が34%、4~7日以内に届いた自治体は17%となり、両方あわせても50%となっていました。また、上下水道が仮復旧するのにかかった期間は、自治体の平均で約35日となっています。※
※参考:トイレ研究所 東日本大震災3.11のトイレ

このように、大震災が起きた場合には、トイレが使えるようになるまでかなりの期間かかることもありますので、7日分を目安として備蓄を行いましょう。1日にトイレに行く回数は平均5回とされていますので、1人あたり7日間×5回=35個の携帯トイレが必要になります。

かなりの数が必要となりますが、赤ちゃんのおむつやペットシートを凝固剤としてゴミ袋と組み合わせると、携帯トイレ同じように使うこともできます。使わなくなった赤ちゃんのおむつを残しておいたり、ペットを飼っている人はペットシートを多めに買っておいて、携帯トイレの量を補うのもよいでしょう。
大人が1回にする尿の量は約200~400ccといわれています。ペットシートを使う場合には、1枚では吸収できないこともありますので参考にしてみてください。

なお、通常のビニール袋は目に見えない小さい穴があり、排泄物のにおいは強いため消臭剤を入れても防げずに、時間の経過とともににおいが漏れ出してきます。
災害時はしばらくごみの回収がされないこともありますので、においを通さないBOSという防臭袋を使用した携帯トイレがおすすめです。

BOS 非常用トイレセット

手洗いも忘れずに

せっかくトイレをきれいに使えるようにしても、きちんと手を洗わないと感染症にかかって胃腸炎などをおこしてしまいます。しかし、断水していると十分に水を使えないこともありますので、手を消毒するための除菌スプレー・ジェルやウエットティッシュなどを十分に用意しておきましょう。

報道でも大きく取り上げられることが少なく、見落とされがちなトイレの問題。
きちんと排せつをして、トイレの衛生を保つことは、健康を守るためにとても大切なことです。もしものときのために、携帯トイレをしっかり備えておきましょう。

この記事を書いた人

moshimo ストック 編集部

防災をしたいけど情報がたくさんあって、何から始めればいいの…?
私たち moshimo ストックも始めは知ることが幅広くて、防災ってちょっと難しいな…と思いました。
そんな "元初心者" の編集部が、初めての方にもわかりやすいよう防災・備蓄・災害についての情報をお届けいたします。
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