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地震や大雨だけじゃない。さまざまな危険を伝えるJアラート(全国瞬時警報システム)
B!
地震や大雨だけじゃない。さまざまな危険を伝えるJアラート(全国瞬時警報システム)
公開日: 2022/03/14
年に数回、「全国瞬時警報システム(Jアラート)」の情報伝達訓練が全国一斉に行われています。地域の防災行政無線やエリアメール、コミュニティエフエムの放送などでも全国瞬時警報システム(Jアラート)の全国一斉情報伝達訓練に触れたことがある方がほとんどでしょう。
また、大きな地震などの災害が発生した時には、緊急速報メールなどで情報を受け取れるようにしている方も多いはずです。
「Jアラートは、地震などが起こった時に、緊急速報を知らせてくれるもの」というイメージがあるかもしれませんが、他にも多くの危険を伝達してくれるシステムです。
もくじ
そもそも、Jアラート(全国瞬時警報システム)ってなに?
地震や津波や気象災害だけじゃない!Jアラートで伝達される情報
もしも弾道ミサイルが発射された情報を受け取ったら
Jアラートからの情報には複数の手段で触れられるように
そもそも、Jアラート(全国瞬時警報システム)ってなに?
Jアラートは、緊急地震速報や避難情報、気象警報や豪雨・土砂災害・津波警報などの色々な注意報・警報、弾道ミサイルなどの武力攻撃や大規模なテロが迫った時などの緊急情報を知らせます。人工衛星や地上回線を通じて、全国の都道府県や市町村などに送信して、市町村の防災行政無線を自動で起動することで、人を介さずに瞬時に伝達するというシステムです。
武力攻撃や大規模なテロが迫った時などの国民保護に関する情報は内閣官房から、防災や気象などに関する情報は気象庁から情報が出されて、それを消防庁の送信設備を経由して、全国の都道府県や市町村の役所などに設置されているJアラート受信機に送られる仕組みになっています。
その情報を受信すると自動起動装置が入り、地域の防災行政無線(屋外スピーカー)や、地域自治体や警察署などが行なっている登録制のメール(メルマガ)などで市民に情報を届けられるほか、地域のコミュニティエフエムやケーブルテレビなどでも伝えられます。
スマートフォンなどから届く緊急速報メールやエリアメール、Yahoo!防災速報などのアプリでは、地方公共団体を介せずに、消防庁や気象庁から携帯電話会社にJアラート情報が直接配信され、各ユーザーに届けられます。
この一連の流れが、全国瞬時警報システム(Jアラート)です。
(参照:
平成29年版 情報通信白書
)
地震や津波や気象災害だけじゃない!Jアラートで伝達される情報
大規模な地震が発生した時や、大雨などで警報が発出された時にJアラートで情報が伝達されるというのは、多くの人が経験からイメージしやすいかも知れません。実際には、さらに多くの情報がJアラートで伝達されています。
Jアラートで伝達される情報は、大きく分けると2種類あります。
まずは、私たちが日頃から触れる機会の多い、自然災害に関する情報。これは、気象庁から発出されます。具体的には、緊急地震速報や津波に関する警報・注意報、気象に関する注意報・警報、指定河川洪水情報や土砂災害警戒情報。数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨を観測したり解析した時に発表される、記録的短時間大雨情報。積乱雲の下で発生する激しい突風(竜巻やダウンバーストなど)に注意を呼びかける、竜巻注意情報。全国111の活火山を対象とした、噴火予報や噴火警報、火口周辺警報などがあります。
もう1つは、内閣官房から発出される、国民保護法に関する情報です。
国民保護法は、正式名称を「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」と言います。
内閣官房国民保護ポータルサイト
では、「国民保護法は、武力攻撃事態等において、武力攻撃から国民の生命、身体および財産を保護し、国民生活等に及ぼす影響を最小にするための、国地方公共団体等の責務、避難・救護・武力攻撃災害への対処等の措置が規定されている」と説明されています。
私たちの日々の暮らしの中では、自然災害などの危険が身近にあることは理解できても、「武力攻撃」と言われてもあまりピンとこないかも知れません。
具体的には、北朝鮮から弾道ミサイルが発射された時などです。他にも、航空攻撃が発生した情報や、ゲリラや特殊部隊による攻撃の情報、大規模なテロが発生した時にも、内閣官房からJアラートで伝達されます。
ちなみに、Yahoo!防災速報のアプリでは、この他にも自治体からの緊急情報や、地域の防犯情報、夏の暑い季節には熱中症情報なども配信されます。
もしも弾道ミサイルが発射された情報を受け取ったら
北朝鮮から予告なしに弾道ミサイルが発射され、日本列島の上空を通過した出来事は、1998年8月に長距離弾道ミサイル「テポドン1号」の一部が日本上空を通過し、三陸沖の太平洋に落下したことを最初に、数回発生しています。
これまでは大きな被害を受けることはなかったとしても、今後も大丈夫だとは限りません。おきる確率は低いかもしれませんが、万が一にそなえて弾道ミサイルが発射された情報が伝達された時には、他の災害時と同じように、身を守る行動を覚えておきましょう。
もしも「弾道ミサイルが落下する」と情報伝達があったら、屋外にいる場合には、近くのできるだけ頑丈な建物の中や、地下に避難しましょう。近くに避難できそうな建物などがない場合には、物陰に身を隠すか、地面に伏せて頭部を守るようにしましょう。
建物の中に避難したら(建物の中にいる場合には)、できれば窓のない部屋へ移動しましょう。窓のある部屋にしか居場所がない場合には、窓にカーテンを引き、出来るだけ窓から離れるようにしましょう。
電車に乗っている時なら、地下鉄では慌てずそのまま待機していれば大丈夫です。地上を走る電車では窓から離れた中央に移動し、姿勢を低くして頭を守りましょう。
自動車も、燃料のガソリンに引火する恐れがあり、危険です。
車を止めて、屋外にいる場合と同じように、頑丈な建物の中か、地下街や地下駅舎などの地下施設に避難してください。周りに避難できそうな場所がない場合にも、屋外にいる時と同じように地面に伏せて頭を守りましょう。ただし、車からできるだけ離れることが大切です。
高速道路を走行している時など、車から出ると危険な場合には、車を安全な場所に停めて、車内で姿勢を低くして、行政からの指示があるまで、待機しましょう。
弾道ミサイルが落下する情報伝達があった時には、竜巻が間近に迫った時と同じような行動をとると覚えておくと良いかも知れません。
「弾道ミサイルは、○○へ通過した」と情報伝達があったら、テレビやラジオで政府からの情報を確認しましょう。引き続き避難をする必要はありませんが、もしも不審な物を見かけたら、近寄らずに、すぐに警察や消防、海上保安庁に連絡することが大切です。
「弾道ミサイルが落下した」との情報伝達があった場合には、テレビやラジオやインターネットなどで情報収集をしながら、引き続き避難することが必要です。近くにミサイルが落下した場合には、弾頭の種類によって被害が及ぶ範囲が違ってきます。屋内にいる場合には、換気扇を止めて、窓を閉め、目張りをして室内を密閉します。屋外にいる場合には、ハンカチで口と鼻を覆いながら、密閉性の高い屋内の部屋に避難しましょう。屋内に避難できない時には、ミサイルが着弾したところから風上に避難します。
弾道ミサイルが発射された時には、他の災害時と同じように、市町村の防災行政無線などが自動的に起動して、屋外のスピーカなどから国民保護サイレンが鳴ります。多くの場合は各携帯電話会社からもエリアメールや緊急速報メールが配信されます。
自然災害などが発生した時の避難行動と合わせて、弾道ミサイル情報が発出された時の避難行動も覚えておきましょう。
Jアラートからの情報には複数の手段で触れられるように
Jアラートで伝達される様々な緊急情報に私たちが触れるためには、色々な手段があります。それぞれの地域の屋外に設置されたスピーカーから流される防災行政無線は、多くの人が情報に触れられる手段の一つです。
スマートフォンから配信されるエリアメール・緊急速報メールも、今ではほとんどの人が情報に触れられる手段の一つといえるかもしれません。ただし、「格安スマホ(MVNO)」と呼ばれる契約をしたスマートフォンには届かないこともあるので、契約時に確認が必要です。
コミュニティエフエムは、ラジオで聴くことのできるエリアは限定されますが、スマートフォンにアプリを入れておけば、どこからでも気軽に無料で聴くことができます。
Jアラートから伝達される情報は、ブザーやサイレン音とともに流されるため、その音に恐怖を感じて、通知がならないように設定している方もいらっしゃるかも知れません。
しかし、Jアラートで伝達される様々な情報は、あなたやあなたの大切な人の命や財産を守るための大切な情報です。
「どうせ、防災行政無線の屋外スピーカーから流れてくるからいいや!」と思っていると、大雨が降った時には雨音で情報が聞き取りにくくなるかも知れません。大きな地震が起きた時には、スマートフォンが何かの下敷きになってしまい、すぐにメールの確認ができなくなるかも知れません。
Yahoo!防災速報などのアプリや、登録制メール、コミュニティエフエムやケーブルテレビなど、できるだけ複数の手段でJアラートで伝達される情報に触れられるようにしておきましょう。
東日本大震災の被災地となった釜石市唐丹町地区に建立された「津波記憶石」には、こんな言葉が刻まれています。
「100回逃げて 100回来なくても 101回目も必ず逃げて!」
確実にJアラートで伝達される情報を受け取り、命を守る行動をとることが、あなた自身を守ることにつながります。
「避難するほどでもなかったね」という時もあるかも知れませんが、それは避難行動をとったからこそ、無事だったからこそ言える言葉です。
何度でも、そう言えるように。受け取った情報から、行動に繋げましょう。
この記事を書いた人
瀬尾 さちこ
防災士。住宅建築コーディネーター。整理収納コンサルタント。
愛知県東海市のコミュニティエフエム、メディアスエフエムにて防災特別番組「くらしと防災チャンネル(不定期)」、「ほっと一息おひるまメディアス(毎週水曜日12時〜)」を担当。
以前の担当番組:みんなで学ぶ地域防災(2021年~2021年)、防災豆知識(2019年~2021年)
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