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「早く来て!」では消防車は駆けつけられません。119番通報するときのポイント

空気の乾燥する冬から、強い風の吹く3月にかけては、火災の多くなる季節です。まずは火災を出さないようにすることが何よりも大切ですが、たまたま火災現場に遭遇する可能性は誰にでもあることです。火災に遭遇してしまった時の基本的な行動や、消防車などを呼ぶ119番通報のポイントを覚えておきましょう。

119番通報する前に

もしも火災を発見したら、やるべきことは「消火」「避難」「通報」の3つです。
まずは周りの人に大声で火災が発生したことを伝えましょう。声が出せない時には、物をたたくなどして大きな音を出したり、自動火災報知設備などの非常ベルがあればボタンを押して鳴らします。
そして、火災の規模や内容にもよっては、その場に居合わせた人と協力して、消火器などを使って初期消火を行います。初期消火できる炎の大きさの目安は、室内であれば天井に炎が届くまでです。
複数人が居合わせた場合には、「私は消火活動をします。あなたは通報してください」と言ったように、その場で瞬時に役割分担を決められるのが理想です。
また、初期消火が困難な場合や、できなかった場合には、できるだけ火災現場よりも風上に避難するなど、安全を確保した上で、速やかに119番通報しましょう。

119番通報で伝えなければいけない4つのこと

119番通報すると、電話は消防の指令センターにつながります。電話口では、指令員が順に質問していくので、できるだけ慌てずに答えていきましょう。
質問されることは、「火災か救急か」「住所は」「(火災の場合には)何が燃えているのか」そして「火災は見えるか。人は見えるか」などのその他の情報です。わからないことは「わかりません」と正直に応えてもかまいません。司令員の質問をしっかりと聞いて、答えていきましょう。
通報したら、指令員が電話を切るまでは、ずっと繋いだままにします。救急の場合には、心肺蘇生法などを指示してくれるので、司令員の指示に従いましょう。

住所がわからない!どうしたらいい?

「火災か救急か」の次に聞かれる、住所。自宅や勤務先などであれば、正確に答えられるかも知れませんが、偶然通りかかった場所などで、住所がわからない場合もあります。そんな時には、近くにある目標物を伝えましょう。
目標物とは、例えば公民館や交差点、工場やショッピングセンターなどの大きな建物やコンビニエンスストア、公園や学校などです。電柱に書かれている番号も、一部は目標物として消防は把握しています。また、自動販売機などには住所が記載されています。

固定電話から通報した場合には、通報した時点で消防が住所を特定することができます。しかし、スマートフォンなどの無線の電話での通報ではGPSを探知してある程度の場所までは消防で把握できますが、その範囲は広く、消防は火災現場までたどり着くことができません。
「とにかく早くきて!」では、消防は駆けつけられないのです。
少しでも早く火災現場に消防に来てもらうためには、できるだけわかりやすく住所を伝えることが必要です。

火災種別を特定する「なにが燃えていますか?」という質問

消防署には、消防ポンプ自動車やハシゴ付き消防自動車の他に、救助活動のできる装備を積んだ「救助工作車」、化学消防ポンプ車など、様々なタイプの消防車があります。火災の状況に合わせて、そうした保有車両から適切なものを出動させます。
「なにが燃えていますか?」という質問で、建物火災なのか車両火災なのか林野火災なのかなどの火災種別を特定し、出動させるべき消防車を決定して出動します。
「なにが燃えていますか?」と聞かれたら、例えば「一般的な住宅のようです」や「2階建ての家の台所が燃えています。天ぷら油に火がついて、天井まで届きそうです」「3階建ての工場の2階が燃えています。2階の窓から炎が噴き出しています。1階には火が見えません」など、できるだけ詳しく状況を伝えるようにしましょう。この、「なにがどのように燃えているのか」を出来るだけ詳しく状況を伝えるというところが、大切なポイントの一つです。

とにかく慌てないこと!

火災現場に出くわすことは、多くの人にとっては何度もあることではありません。さらに命の危険を感じる恐怖から、気が動転してしまうのは仕方のないことです。実際の火災現場では難しいかもしれませんが、それでも、出来るだけ慌てず、冷静に行動することが命を守ることにつながります。
119番通報するときには、まずは火災現場の風上などの煙がこない安全な位置まで避難してから行いましょう。
119番通報したら、できるだけ落ち着いて、消防の指令員の質問をよく聞き、質問の一つ一つに簡潔に答えるようにしましょう。通話を終わらせるタイミングも含めて、指令員の指示に従うことも、大切なポイントです。

この記事を書いた人

瀬尾 さちこ

防災士。住宅建築コーディネーター。整理収納コンサルタント。

愛知県東海市のコミュニティエフエム、メディアスエフエムにて防災特別番組「くらしと防災チャンネル(不定期)」、「ほっと一息おひるまメディアス(毎週水曜日12時〜)」を担当。
以前の担当番組:みんなで学ぶ地域防災(2021年~2021年)、防災豆知識(2019年~2021年)
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