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非常用持ち出し袋も年齢に合わせて。高齢者の非常用持ち出し袋

もしも災害が発生したら、住まいや、その時にいる場所が危険なエリアなら、安全な場所へと避難することが必要です。警戒レベル4の「避難指示(緊急)・避難勧告(※2021年の出水期より「避難指示」に改正見込)で全員が危険な場所から安全な場所へ避難、ご高齢の方など、避難に時間のかかる方は警戒レベル3の「避難準備・高齢者等避難開始(※2021年出水期より「高齢者等避難」に改正見込)で避難しましょう。
誰にでもそうした状況になる可能性があることを考えて、非常用持ち出し袋を準備しておかなくてはいけません。非常用持ち出し袋は、一人に一つ、備えておくことが原則です。非常時に必要になるものは、ライフスタイルや体調、性別や年齢など、様々な要因で違ってきます。その中でも、年齢で考えることは、大きな目安になります。

リュックサックとしてもキャリーカートとしても使えるタイプを

非常用持ち出し袋は、避難するときに両手があくように、リュックサックタイプの鞄で準備しておくことが定番です。
台風や豪雨などの風水害の際には、路面への浸水が始まると、マンホールの蓋が浮いてきたり、用水路などと道路との境目がわかりにくくなり、転落や転倒の危険性が高まります。リスクを下げるためには、傘や杖などの先で足元を確認しながら歩かなければいけません。
そういった意味でも、非常用持ち出し袋はリュックサックタイプが推奨されています。
しかし、ご高齢の方にとっては、重いリュックサックを背負って、避難先まで歩くのは身体的な負担も大きくなり、何度か休憩をとりながらでないと、避難先までたどりつけない場合もあります。また、重心が後ろにかかることで、バランスを崩して転倒につながる可能性もあります。
飲料水などの量を調整して、非常用持ち出し袋が重くなりすぎないようにすることはもちろんですが、リュックサックとしてもキャリーカートとしても使えるタイプの鞄で、非常用持ち出し袋を備えておくこと良いでしょう。(参考:キャリー付防災リュック

基本の非常用持ち出し袋の中身

基本の非常用持ち出し袋に入れるものは、2020年の新型コロナウイルス感染拡大以降、マスクと手指消毒液、体温計が必須になりました。さらに、非常時に生き延びるために必要な「貴重品類」「食料・飲み物」「医薬品・衛生用品」「衣類・防寒具」「日用品・情報を得るための携帯ラジオなど」と5つのジャンルのものを2~3日分を目安に用意しましょう。
貴重品類というのは、小銭などの現金や、通帳の口座番号の控え、保険証書のコピー。健康保険証のコピーや年金手帳、印鑑など。
飲み物は、一人1日3リットルを2~3日分が目安です。また、災害時に避難している時には最初の1~2日は調理をすることができないと考えて、食料は、調理をせずに食べられるものを非常用持ち出し袋に備えておきましょう。食事になるものとは別に、飴やラムネ菓子、羊羹などの甘いものも、非常時には心を落ち着けてくれます。
避難所では環境の変化やストレスから体調を崩しやすくなりますが、医師にかかることも薬を手に入れることも難しくなります。医師から処方されているものはもちろんですが、解熱鎮痛薬や風邪薬、胃腸薬など、飲みなれた常備薬を必ず用意しておきましょう。持病のある方は、持病のお薬やお薬手帳、かかりつけ医の連絡先をメモしたものも、非常用持ち出し袋の中に入れておきましょう。
衣類には、下着類や雨具も含まれます。風水害の際には、傘は使えません。レインウェア(レインコートよりも上下が分かれているタイプの方が、災害時には適しています)を用意しておくことが必要です。季節によって必要な衣類も違うので、非常用持ち出し袋の中身は入れっぱなしにしておくのではなく、せめて春と秋の年に2回、飲食物の使用期限の確認とともに、衣類の入れ替えをしておくことも大切です。

お身体の状態などに合わせてカスタマイズを!

「防災セット○点セット」というようなものも市販されていますが、貴重品や衣類などは補充したり、それぞれが自分自身に合うようにカスタマイズする必要があるのはもちろんですが、歳を重ねた方は、特にご自身の身体の状態をしっかりと考慮して備えておかなくてはいけません。
平時なら手に入るものも、災害時には入手が困難になります。また、避難所などで過ごすことになった場合には、精神的にも肉体的にもかなりの負担を強いられる可能性があります。多くの人と共同生活を送ることになるので、様々なことを遠慮してしまうかもしれません。発災後に命を守ることができたとしても、そうしたことが、体調を大きく崩すことに繋がり、場合によっては、災害関連死に至ります。生き延びるために、非常用持ち出し袋の中身は、お身体の状態に合わせて、カスタマイズしておくことが大切なのです。

少しでも日常に近い状態で過ごすために

歳を重ねれば、耳が聴こえづらくなったり、眼も近いところが見えにくくなったり、若い頃にはなかった口腔内などの身体の変化が起こってくるのも、仕方のないことです。日常の中では、眼鏡や補聴器、義歯(入れ歯)などで、不自由さを補っているはずです。避難所でも必要な情報をしっかりと得られたり、孤独感を感じたりしないために、心身ともに健康を保つために、日常に少しでも近い状態で過ごせるための備えをしておく必要があります。
眼鏡や補聴器などは、枕元に備えていらっしゃる方もいらっしゃるかも知れませんが、深夜に発災した際には、気が動転して持ち出せない可能性もあります。
非常用持ち出し袋には、予備の眼鏡や補聴器を入れておきましょう。義歯を使っていらっしゃる方は、予備の義歯を洗浄剤とともに、非常用落ち出し袋に備えておくことが必要です。

命を繋ぐ「食べること」と「排泄すること」

「食べること」と「排泄すること」。このどちらも、生きるために欠かせません。
食事については、避難所に移動してすぐは、調理をすることも難しく、炊き出しも始まるまでに数日かかることもあります。調理をしなくても食べられるものを、3日分程度は自分で準備しておく必要があります。手軽に食べられるものを備えておきましょう。特に、普段から柔らかめの食事などをしている方は、ドラッグストアなので販売されているレトルトの介護食(参考:キユーピー やさしい献立 )からご自身に合ったものを準備しておくと安心です。また、嚥下障害の症状があり、むせやすい方は、水などを飲んでもむせてしまい、誤嚥性肺炎を引き起こすことがあります。炊き出しが始まった時に、安心して食事するためにも、飲料などに簡単にとろみをつけることができる「とろみ剤」(参考:介護用とろみ剤)を備えておきましょう。ちょうど良いとろみをつけるには、少しコツがいるので、同じものを普段から使って、使い方のコツをつかんでおくことをお勧めします。
食べたり飲んだりすれば排泄が必要になるのは、自然なことです。しかし、避難所ではトイレの数が不足し、さらに仮設トイレは住居スペースから離れたところに設置されることが多いため、トイレを頻繁に利用することを避けるために、水分を取ることを控えて、結果的に体調を崩してしまうという方が多くいらっしゃいます。阪神・淡路大震災では、避難所で多くのご高齢の方が災害関連死しています。この多くが、トイレ問題が関係していると言われています。
避難している間の健康を保つためにも、トイレを我慢することや、トイレを我慢するために水分を摂ることを控えてはいけません。
トイレに関する不安を解消するためにも、大人用紙おむつや携帯トイレを非常用持ち出し袋に備えておきましょう。大人用紙おむつを履くことは、恥ずかしいことではありません。

助けを求めやすい備えを

自分の命は自分で守ること(自助)ができるように、しっかりと備えておくことは、もちろん大切なことです。しかし、災害時には自分だけではどうすることもできないことも、たくさん起こってきます。そんな時には、ためらわずに人を頼りましょう。お互いに助け合う「共助」は、防災・減災の基本的な考え方の一つです。
助けを求められた人は、情報が少しでも多くあったほうが、手を差し伸べやすいはずです。そのための備えも、避難所に行く際には大切です。
その一つが、「身元確認メモ」です。名札にして、避難する際には常に身につけておくと良いかもしれません。身元確認メモには、名前や住所、電話番号、生年月日や血液型の他に、持病やアレルギーの有無、かかりつけの病院や常備薬の名前、健康保険証番号や家族構成、ご家族や頼れる人の連絡先などを記入しておきましょう。


この記事を書いた人

瀬尾 さちこ

防災士。住宅建築コーディネーター。整理収納コンサルタント。
愛知県東海市のコミュニティエフエム、メディアスエフエムにて「みんなで学ぶ地域防災」「防災豆知識」の2つの防災番組を担当。
メディアスエフエム「みんなで学ぶ地域防災」は、毎週土曜日、午前9時~10時、生放送。
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