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地震は1回で終わらない!続いておこる同規模の地震や余震に気をつけよう

大きな地震がおこると地盤に加わる力のバランスが崩れるため、その後に複数の地震が続いておこります。余震と呼ばれる規模の小さい地震だけではなく、初めの地震と同規模かそれよりも大きな地震がおこることもあります。
2016年の熊本地震では、マグニチュード6.5、最大震度7の地震がおきた2日後に、さらに大きなマグニチュード7.3、最大震度7となる地震がおき、大きな被害をおこしました。
大地震の後にどれくらいの期間地震が続くのか、過去におきた地震から知っておきましょう。

2016年熊本地震 益城町 擁壁崩壊状況(出典:財団法人消防科学総合センター 災害写真データベース)

前震・本震・余震とは?

大きな地震があったときには地震が何度か続きます。この一連の地震の中で“他とくらべ際立って大きい地震”を本震と呼びます。そして、本震の前におきた地震を前震、後に起きた地震を余震と呼びます。また、際立って大きな地震が2つある場合には、両方の地震が本震とされます。

ここで注意したいのが、地震が続いている最中はどの地震が本震となるかはわかりません。一度おきた地震の後に、さらに大きい地震がおきることもあるためです。
2016年の熊本地震で大きな地震が複数おきたことをきっかけに、気象庁では“最初の地震よりも大きな地震はおきない”という印象をあたえないよう、防災のための呼びかけでは「余震」という言葉は使わず、「地震」という言葉を使うようになりました。
大きな地震の後には同規模または、さらに大きい地震が続くことがありますので、危険を逃れても安心せず、しばらくは安全な場所に避難しましょう。

大きな地震が続いた、過去の地震

最大震度7が2回続いた、2016年 熊本地震

熊本地震では、4月14日にマグニチュード6.5、最大震度7の前震が発生。そして、4月16日にさらに大きなマグニチュード7.3、最大震度7となる本震が発生しました。「震度7を2回記録したこと」「前震よりも、規模の大きな本震がおきたこと」は日本の観測史上初めてのこととなりました。
16日の本震は14日の前震を上回る規模の被害を出しました。また、非常に大きな地震が2回発生したことで、1回目の前震で傷んだ建物が、2回目の地震で倒壊するなどの被害もありました。

上の2つの地震のほかにも、4月14日から16日までの間に、立っていることが困難となる震度6弱・6強の地震が5回も発生しています。
震度5弱・5強の地震は17回。そのうちの14回は4月19日までに集中して起きていますが、2か月後の6月12日と、4か月後の8月31日にも震度5弱の地震が発生しており、非常に活発な地震活動となっています。
(参考:平成28年熊本地震 熊本市震災記録誌 ~復旧・復興に向けて~ 発災からの1年間の記録 第2部「熊本市の概況・被災状況」第3章「地震の概要と被害状況」

各地で大きな余震が長期間続いた、東日本大震災

東日本大震災を引きおこした、東北地方太平洋沖地震の前震は2011年3月9日におこります。マグニチュード7.3、宮城県で最大震度5弱、岩手県で最大60センチの津波が観測されました。そして、3月11日にマグニチュード9.0の本震がおこり、最大震度は宮城県栗原市で震度7。宮城県、福島県、茨城県、栃木県の多くの地域で震度6強となりました。

この巨大地震によって地盤に加わる力のバランスが大きく変わり、岩手県から茨城県の沖合いまで、長さ約500kmの広い範囲を中心として大きな余震がたびたびおこるようになり、気象庁による記録によると本震から10年たった後にも余震が観測されています。
2011年までにおきた余震をみるだけで、最大震度が6弱・6強の地震は、本震から1か月後の2011年4月12日までに計4回。最大震度が5弱・5強の余震は、2011年3月に23回、4月に8回。その後も2011年のほとんどの月で、震度5弱・5強の地震が月1~2回おきています。
10年後の2021年2月13日に福島県沖でおきた地震も余震と考えられ、マグニチュード 7.3、最大震度が6弱・6強と非常に大きな地震となりました。マグニチュード9クラスの巨大地震がおきた場合、余震の続く期間も非常に長くなることがわかります。
(参考:気象庁 平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震 ~9年間の地震活動~

また、東北地方太平洋沖地震の震源域とは離れた場所でも地震がおきています。
2011年3月11日~15日にかけて、長野県と静岡県を震源とした震度6弱・6強の地震がおき、震度5弱・5強の地震も多く観測されていますので、巨大地震がおきた後には日本全国で注意をする必要があります。
(参考:総務省消防庁 東日本大震災記録集 第2章 地震・津波の概要 2.1 前震・本震・余震の概要

2016年熊本地震 熊本城の被災状況(出典:財団法人消防科学総合センター 災害写真データベース)

次の地震は予測できる?

大きな地震がおきた後、次におこる地震は予測できるのでしょうか?
残念ながら現在の科学では、大きな地震に続いて、いつ、どこで、どれくらいの大きさの地震がおこるかは予測ができません。そのため、気象庁を始めとした公的な機関がこのような情報を発表することがありませんので、“日付・時間” “場所” “地震の規模”を特定する話を聞いたときには“デマ”だと考え、信じたり、人に伝えたりしないように気をつけましょう。

どんな地震がおこるかまでは予測できませんが、どれくらいの期間、どれくらいの可能性で地震が続くかは、過去の地震から予測することができます。
最大震度5弱以上の地震がおきた場合に気象庁から発表される「今後の地震活動の見通し」とともに、以下のポイントに気をつけるようにしましょう。

被害がおきるような大きな地震がおきたときには、ほとんどの場合で地震活動が活発になり続いて地震がおきやすくなります。本震がおきた1日目に発生した余震の数を基準にすると、2日目には約2分の1となり、10日目には約10分の1と減っていきます。そのため、初めの“2、3日”は大きな地震がおきる可能性が非常に高くなるため特に注意し、“1週間”は注意を続けるようにしましょう。
また、東日本大震災の例で紹介した通り、地震のマグニチュードが大きい巨大地震では余震続く期間も長くなり、震度5弱以上の余震が何年も続くことがあります。気象庁からは、最大震度5弱以上の余震が月に1回程度を下回るまで、今後の地震活動や防災についての情報が提供されますので注意を続けましょう。

大きな地震があった後には落石やがけ崩れなどがおこりやすくなり、震度6弱以上の揺れがあった後には建物の倒壊や土砂災害などもおこりやすくなります。
初めの地震で弱った場所に、新たな地震がおきたり、雨がふったりすると災害がおきる危険性が高まりますので、大きな地震がおきてしばらくは危険な場所に近づかないように気をつけましょう。

この記事を書いた人

moshimo ストック 編集部

防災をしたいけど情報がたくさんあって、何から始めればいいの…?
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