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避難を、ふるさとを「あきらめない」。高知県黒潮町の未来をつくる防災対策

皆さん、2012年に国が公表した「南海トラフの巨大地震による震度分布・津波高の推計」をご存知でしょうか?
この推計により、日本最大となる34mもの津波の恐れがあるとされた高知県黒潮町。

発表直後に多くの住民の中で、津波からの避難をあきらめる「避難放棄者」と、津波リスクを嫌ってまちに住むことをあきらめる「震災前過疎」と呼ばれる、2つのあきらめが起きていたそうです。

この2つの「あきらめ」を打破し、町として住民の不安を払拭するために「犠牲者ゼロ」を目標に掲げ、防災対策を推進した高知県黒潮町の取り組みをご紹介します。

(提供:黒潮町役場)

津波からの避難放棄をさせない!「犠牲者ゼロ」の取り組み

高知県黒潮町では犠牲者ゼロを実現するため、役場の約200人の職員全員を防災担当とする「職員地域担当制」を導入し、住民と累計200回以上のワークショップを開催。そこから避難道路や避難場所などの課題を洗い出し、防災・避難インフラの整備計画を立てていきました。

この計画をもとに、町内に6基の避難タワーを備え、避難道路は約250本、避難場所は約150ヵ所を整備。浸水区域にあった公共施設、保育園や消防署、役場は高台移転など様々な整備が行われてきました。
全てを紹介することはできませんが、いくつか特色ある取り組みをご紹介します。

  • 日本一の津波避難タワーの整備
(提供:黒潮町役場)

町内には、津波避難タワーが6基設置されています。その中でも、18mの津波浸水が想定される黒潮町佐賀地区には、国内最大級の高さ22mを誇る「佐賀地区津波避難タワー」があり、約230人を収容することができます。

このような「目に見える」防災インフラを整備することで、地域住民の防災意識の向上し、住民が積極的に参加する避難訓練ができるようになりました。

(提供:黒潮町役場)

  • 世帯ごとの「避難カルテ」の作成
  • 津波浸水予測地域に住んでいる約9100人(3791世帯)の住民に情報収集を行い、援助の必要性や希望の避難手段、自宅の耐震状況などを記載する「戸別避難カルテ」の作成しています。
    (提供:黒潮町役場)

    また、住民一人ひとりがどのように避難するのか、実際に訓練を行いながら避難経路などを具体的に計画しています。

    (提供:黒潮町役場)

    この「戸別避難カルテ」を作成することで、住民が避難するときの自らの行動を考え、避難対策や避難行動について、向き合い直すきっかけにもなった取り組みです。

    防災から生まれた産業「WE CAN PROJECT」で雇用を創出

    日本一厳しい被災リスクを突きつけられたことで、町民が町外へ出てしまう動きが加速し、「震災前過疎」に近い状態になってしまいました。これは、産業衰退、人口減少が懸念される地方にとって危機的状況でした。
    町役場はこの状況を打破するために、日本一という厳しい想定を逆手にとり、「非常食」の生産という新しい産業を起こし、町内の雇用創出に着手しました。

    (提供:黒潮町役場)

    「黒潮町の自分たちがやるんだ」という強い思いと、「34m」という日本一の津波想定をブランド名に「WE CAN PROJECT」を立ち上げ、株式会社黒潮町缶詰製作所を設立。国から突きつけられた負のレッテルを、「国が日本一と認めたブランド」にしてしまおうと発想を転換したのです。

    (提供:黒潮町役場)

    「非常食」を産業化するにあたり、町内や県内の食材が豊富な特徴を生かして、携帯性に優れ非常時には容器となり食器洗いのいらない「缶詰」に注目。災害時において不足する栄養バランスや、非常時に食べ慣れないものを食べることのストレスについても考え、普段の生活からいつでも食べたいと思える非常食を作ろうと考えました。
    そうして、黒潮町の多様な味を詰め込んだ、もしもの時に日常を取り戻せる食品=「缶詰」にこだわり開発を進めてきました。

    現在では、高知県内沿岸部のほとんどの自治体に納品され、県外の自治体にも採用されています。また、観光で黒潮町に訪れた皆さまや、オンラインで全国の皆さまにご購入いただいており、設立から5年弱で黒字化。現在、製作所は従業員総勢16人となり、何もないところから新たな雇用も生むことができる産業に発展しました。

    黒潮缶詰製作所オンラインショップ
    ふるさとチョイス
    楽天ふるさと納税

    今後は、地域食材を活用したOEMによる商品づくりを行い、地域に貢献できるような取り組みを予定されています。さらに、全国の食材を活用した缶詰制作を行い、全国に展開を考えられています。

    まとめ

    高知県黒潮町では、「あきらめない、揺れたら逃げる、より早く、より安全なところへ」を合言葉として、住民とのコミュニケーションをもとに様々な防災活動に取り組まれていました。
    ピンチをチャンスと捉え、住民と一緒になってふるさとを守る取り組みは、参考になるのではないでしょうか? 

    ■高知県黒潮町をもっとしりたい!■
    https://www.town.kuroshio.lg.jp/pb/cont/kuronavi

    ■高知県黒潮町プロモーションビデオ■






    この記事を書いた人

    moshimo ストック 編集部

    防災をしたいけど情報がたくさんあって、何から始めればいいの…?
    私たち moshimo ストックも始めは知ることが幅広くて、防災ってちょっと難しいな…と思いました。
    そんな "元初心者" の編集部が、初めての方にもわかりやすいよう防災・備蓄・災害についての情報をお届けいたします。
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