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災害・防災情報を正しく、早く、届けて住民の安全を守る。出雲市の取り組み

島根県出雲地方では、過去に台風や大雨による洪水や土砂災害による被害が起きています。
平成18年7月豪雨では、1時間あたりの降雨量が7月の中では最多となり、統計開始以来の第一位を記録しています。この豪雨では神戸川流域で堤防決壊による被害が大きく、死者3名、浸水家屋203戸、避難者1797人という大きな被害をもたらしました。

また、記憶に新しい「平成30年7月豪雨」では、出雲市では人的な被害はありませんでしたが、全国では、洪水や土砂災害により200人以上の方がお亡くなりになり、平成では最悪の犠牲者数となりました。ここ数年、日本では甚大な豪雨災害が毎年のように発生しています。

全国的に多発する風水害に備え、出雲市では住民の安全を守るため「情報を的確に伝えること」を使命に、さまざまな取り組みが行われています。出雲市の防災安全課に取材協力いただき、どのような対策が取られているのかについてご紹介いたします。

(提供:出雲市役所)

災害・防災情報を住民に伝達するための取組み

○ 市内全域に戸別受信機の設置
防災行政無線は、地域住民などへ緊急時の気象・災害情報について、すばやく正確に情報を周知するとともに、平常時には市からのお知らせを行う災害情報伝達のための設備です。

通信技術が普及していなかった時には、多くの方に迅速に確実な情報を伝達する手段が少なく、防災行政無線が届きにくい地域もありました。現在は、従来の無線システムよりも安定して送受信のできる280MHzデジタル同報無線システムを採用し、戸別受信機を市内全域に設置できるように整備しています。

また、より多くの方に確実に情報を伝えるため、防災行政無線のみに頼らず、有線放送、市や消防団の広報車など、多くの手段による情報発信を行っています。

○ 地域密着型メディア「エフエムいずも」の活用
出雲市に地震や台風・豪雨などの自然災害が予測されたり発生した場合には、コミュニティFM「エフエムいずも」のラジオ放送から、災害・防災情報をお知らせすることができます。
災害の初期段階は、エフエムいずもの通常放送内において定期的に注意喚起を行い、災害発生時には、緊急割込み放送を行い災害・防災情報などの発信を行います。

○ エリアメール、緊急速報メールの活用
エリアメール・緊急速報メールは、気象庁が配信する「緊急地震速報」「津波警報」「特別警報」や、国や地方公共団体が発信する「災害・避難情報」を地域に一斉配信するメールサービスのことです。
出雲市では、NTTドコモのエリアメール、au、Softbankモバイルの緊急速報メールサービスを災害など緊急時の情報伝達手段の一つとして活用し、防災情報の配信を行っています。このサービスは、月額使用料のほか通信料や情報料も含め一切無料でご利用することができます。

○ いずも防災メール
防災行政無線でお知らせする出雲市内の気象警報や地震等の防災情報などを、携帯電話やパソコンなどにお知らせする、メール配信サービスです。

○ SNSの活用
SNSを活用した防災情報などの配信を行っています。

出雲市公式Twitter
出雲市公式facebook

早めに避難行動の備えができる仕組み 

出雲市では、災害に対する日頃の備えと、いざという時のために、防災ハザードマップを作成しています。
通常のハザードマップでは、津波、土砂、浸水などの自然災害が発生した際の、予測される被害の大きさと、被害が及ぶ範囲が地図にされています。

出雲市が作成した防災ハザードマップでは、これに加えて、避難をする時の「避難所開設予定施設の位置」「避難の心得」や「災害の特徴と避難のポイント」。そして、日常備蓄など「日ごろからの備え」や「いずも防災メール」の登録方法なども分かりやすくイラストで記載されています。

自宅から避難所までの経路確認だけでなく、日頃の洪水・土砂災害などへの備えから、災害時の避難の注意点まで、ハザードマップ1枚冊にまとめられており、家庭や地域、職場などで活用してもらいやすくなっています。

(提供:出雲市役所)

出雲市の防災ハザードマップ ダウンロードはこちらから
http://www.city.izumo.shimane.jp/www/contents/1366858934184/index.html

地域で支え合うまちづくり

地震や水害などの自然災害から「いのち」を守るためには、住民一人ひとりの防災意識や知識を高め、行政の支援(公助)だけではなく、自分の身を自分で守るため各自が備える(自助)、住民同士の助け合い(共助)の力を高めることが重要になります。

出雲市では、戸別受信機や防災ハザードマップなどの使い方が分からなかったり、存在が知られていないために、災害が起きた時に困ってしまうことがないよう、下記のように定期的な講習会や防災訓練などを行っています。

○ 総合防災訓練の実施
市では、住民、防災関係機関、協定締結事業者、職員などが、災害時に的確に対応できるよう、防災の日の9月1日に総合防災訓練を行っています。
地元住民や自衛隊、警察、消防、防災関係機関・団体等が参加し、災害の危険が高まった際の災害対策本部の設置から始まり、災害時の情報収集、伝達、住民の避難誘導、避難所の設置や受入れや救助活動など、実際の災害発生時に想定される対応を関係機関が連携して行います。

(提供:出雲市役所)

○ 避難所体験ゲーム(男女共同参画HUG)
出雲市男女共同参画センター主催で「避難所体験ゲーム(男女共同参画HUG)」の出前講座を実施しています。「避難所体験ゲーム」は、カード一枚を一人の避難者に見立て、避難所となる平面図にどれだけ適切に配置できるか、また、受付やトイレなど避難所に必要なスペースを配置するゲームです。 (静岡県が開発した「避難所HUG」を参考に作成【使用許諾番号017号】)
避難所生活では、どのような困りごとが起こるのか、女性や子どもなど、様々な方に対して、どのような配慮が必要になるのか、考えるきっかけになります。
※現在は内容を一部変更して実施しています。

(提供:出雲市男女共同参画センター)

○ シェイクアウト訓練の実施
シェイクアウト訓練(一斉防災行動)とは、地震の安全確保行動「まず低く、頭を守り、動かない」を身につける訓練のことです。同じ場所に集まる必要もなく、参加の意思さえあれば、各家庭や学校、会社等で実施できる訓練です。
また、安全確保のための行動を身につけるだけでなく、訓練を通じて地域、学校、職場などの組織が、非常時の対策を見直たり、ケガを防ぐための身の回りの安全対策をとるように促すことも目的としています。

(提供:出雲市役所)
今回紹介しきれない取り組みもたくさんありますが、防災情報を的確に住民へ伝えるための出雲市の対策の一部を紹介いたしました。 あなたのお住まいの自治体でも、特色のある様々な取り組みがされてると思いますので、一度お住まいの地域の防災の取り組みを覗いてみてはいかがでしょうか?

この記事を書いた人

moshimo ストック 編集部

防災をしたいけど情報がたくさんあって、何から始めればいいの…?
私たち moshimo ストックも始めは知ることが幅広くて、防災ってちょっと難しいな…と思いました。
そんな "元初心者" の編集部が、初めての方にもわかりやすいよう防災・備蓄・災害についての情報をお届けいたします。
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