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知っているようで知らない「ゲリラ豪雨」。集中豪雨とはどう違う?予測しにくい雨の被害に注意して!

ニュースなどでよく耳にするゲリラ豪雨ですが、急に激しい雨が降ることは想像できても、具体的にどのような雨のことを言うのか、集中豪雨と何が違うのか、そしてどんな危険があるかまでは知らない方も多いかもしれません。
今回は、知っているようで知らないゲリラ豪雨の特徴や被害、対策について紹介します。

ゲリラ豪雨とは?

「ゲリラ豪雨」という言葉ですが、これはニュースなどで使われる通称で正式な気象用語ではなく、気象庁では「局地的大雨(きょくちてきおおあめ)」と呼ばれています。
この局地的大雨とはどのような雨を差すのでしょうか。局地的大雨と似た言葉に「集中豪雨」があります。どちらも積乱雲(入道雲)によっておこる雨で、暖かく湿った空気が上昇して積乱雲となり、発達した雲が上層の冷たい空気に冷やされて雨となるのですが、雨の降り方に違いがあります。
  • 局地的大雨
    数十分という短時間に、20~30kmの狭い範囲に点在して降る、数十mm以上の激しい雨
  • 集中豪雨
    数時間にわたって広い範囲で降り続き、総雨量が100mmから数百mmとなる雨
このように、局地的大雨は短時間で狭い範囲に激しい雨が降り、予測が難しいといった様子からゲリラ豪雨と呼ばれるようになりました。
いつどこでおきるかといったピンポイントの予測は難しいのですが、「大気の状態が不安定」「雷の発生することがある」といった予報が出ている日には、注意しておきましょう。

また、局地的大雨の原因となる積乱雲が近づいたときのサインも知っておきましょう。遠くの積乱雲を見るともくもくと上に伸びて白く輝いて見えますが、近づいたときには分厚い雲が光をさえぎります。

そのため
  • 真っ黒い雲が近づいてきた
  • 雷の音が聞こえてきた
  • 急に冷たい風が吹いてきた
といったサインを感じたら、局地的大雨がおきる可能性があると考えましょう。

線状降水帯と集中豪雨

「線状降水帯」という言葉も天気予報でよく聞くようになりました。
線状降水帯は50~300km×20~50kmの線状の長い範囲で、積乱雲が同じ場所にとどまり長時間大雨を降らせる降水域のことをいいます。
線状降水帯は空の上でおきる雨を降らせる原因のことをいい、集中豪雨は地上での雨の降り方を指す言葉になります。そのため、線状降水帯が数時間にわたり100mm以上の雨を降らせれば、地上での雨は集中豪雨と呼ばれることとなります。
線状降水帯によって強い雨が長時間降り続くことになれば洪水や土砂災害の危険が高まるため、予報があった場合には、すぐに避難できるように準備をしておきましょう。

局地的大雨ではどれくらいの雨が降る?どんな被害がおきる?

局地的大雨では1時間当たり数十mmの雨を降らせますが、具体的にはどれくらいの強さの雨が降るのでしょうか。

気象庁の1時間あたりの雨量の目安では
  • 10~20mm やや強い雨
    ザーザーと降る、地面一面に水たまりができる
  • 20~30mm 強い雨
    土砂降り、傘をさしていても濡れる
  • 30~50mm 激しい雨
    バケツをひっくり返したような雨、道路が川のようになる
  • 50~80mm 非常に激しい雨
    滝の様に降る(ゴーゴーと降り続く)、傘は全く役にたたなくなる
  • 80mm以上 猛烈な雨
    息苦しくなるような圧迫感がある。恐怖を感ずる
とされています。

車の運転に注意

車の運転ではワイパーを早くしても見えづらくなり、1時間あたり30~50mmの雨で高速走行にブレーキが効かなくなるとされています。

また、急にこのような雨が降ると、雨水が下水に流れ切らず道路に水があふれ出します。アンダーパスと呼ばれる地下を通る道に水がたまり、気づかずに進んでしまうと車が水没してしまうこともありますので、十分に注意をして運転するようにしましょう。
車が水没してしまうと水の圧力でドアが開かなくなり、車内に閉じ込められてしまうことがあります。車が水没してしまった場合には、すぐにシートベルトを外し、窓を開けて水の中から脱出しましょう。万が一のために窓ガラスを割る緊急脱出ハンマーを用意しておくと安心です。

特に都市部では地表がコンクリートに覆われているため、雨水が地面に吸収されずに道路にあふれ出しやすくなっていますので十分な注意が必要です。

川や用水路には近づかない

急激に降った大量の雨水は一気に川や水路へ流れ込みます。
川の水位はあっという間に上昇するため、中州に取り残されたり、川遊び中に流されたりする事故につながります。また、登山者が渓流に流されることもあります。
積乱雲が近づくサインを感じたら、すぐに川や用水路から離れるようにしましょう。

大雨が長引く場合はさらに警戒を

大雨がすぐに終わらずに長時間続けば、さらに多くの被害がおきることになります。道路に水があふれ出し洪水となり、地下鉄や地下街、家屋への浸水、さらにはがけ崩れや土石流といった土砂災害を引き起こします。

予測される雨雲の動きは、気象庁のナウキャストで確認できますので、その後の雨に注意して、必要な場合にはすぐに避難するようにしましょう。
また、気象庁のキキクルでも予想される災害の危険度を確認できますので、こちらもあわせて確認しておきましょう。

また、避難に備えて、事前にハザードマップで危険な場所を調べておき、避難所までの道を歩いてアンダーパスや川沿いなど危険な場所を避けた道を調べておくようにしましょう。


全国の1時間あたりの降水量の記録をみると激しい雨は年々増加しており、2015~2024年と1976~1985年の10年間を比べると50mm以上の雨は約1.5倍に、同じ期間での80mm以上の雨は1.7倍に増加しています。
「少しくらいの雨だったら大丈夫」と油断せず、積乱雲が近づくサインを見逃さないこと。そして、危険な場所からはすぐに離れること。日ごろからの正しい知識と備えを心がけましょう。

参考資料

気象庁 局地的大雨から身を守るために

気象庁 天気予報等で用いる用語 降水

国土交通省 集中豪雨・局地的大雨(ゲリラ豪雨)はなぜ発生するのか

国土交通省 局地的な大雨に関する気象予測の現状

気象庁 予報が難しい現象について (線状降水帯による大雨)

気象庁 急な大雨や雷・竜巻から身を守るために ~積乱雲が近づくサインを見逃さない~

気象庁 雨の強さと降り方

気象庁 大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化

この記事を書いた人

moshimo ストック 編集部

防災をしたいけど情報がたくさんあって、何から始めればいいの…?
私たち moshimo ストックも始めは知ることが幅広くて、防災ってちょっと難しいな…と思いました。
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