B!

命にかかわる低体温症 2 - 避難所へむかう途中や避難生活で気をつけるポイント

前回は低体温症の症状と治療について説明をしました。


避難所が開かれたばかりのときには、暖房が使えず、全員に毛布がいきわたらないことがあります。また、大雨の中避難をして服がぬれて着がえもなければ、冬でなくても低体温症になることもありますので、今回は災害時に気をつけるポイントを紹介します。

低体温症にまでならなくても、体温が低い状況が続けば抵抗力がおち、他の病気へとつながることがあります。避難所では不特定多数の人がいるため感染症にかかりやすく、災害時には治療をうけにくくなりますので、防寒の備えはしっかりとしておきましょう。

避難場所や避難所への移動するとき

ぬれた服を着ていると体の熱をうばわれ続けるため、それほど気温が低くない場合でも低体温症にかかるリスクが格段にあがります。
そのため、避難場所(広い公園など一時的に危険を避ける場所)や避難所(体育館や公民館などしばらく滞在する場所)へ移動するときには、着ている服や着がえをぬらさないようにします。

台風や大雨などで移動する場合、傘をさしても体がぬれてしまいますので、上下のレインコートを用意します。
長靴は道に水があふれている場合、水が中に入ると足がもち上げられずに脱げてしまいますので、スニーカーをはき、靴ひもをしっかりしめて移動します。移動は浸水が始まる前、どんなに遅くとも水の高さがくるぶし位のときまでに始めるようにしますが、避難所までの道が浸水している可能性がありますので、長靴は使わないようにしましょう。スニーカーの中にビニール袋を入れてから靴をはくと、ある程度の水は防げます。
なお、浸水している道の底や、地震で崩れた場所にとがったガレキなどがあり、踏み抜いてけがをすることがありますので、踏み抜き防止のインソールを用意しておくとよりよいでしょう。

レインコートを使ったとしても、激しい雨や浸水で服がぬれてしまうことがありますので、必ず着がえを用意し、移動中にぬらさないように対策をします。
完全防水のリュックサックがあればよいのですが、ない場合には洋服やぬれてはいけないものをポリ袋などに入れて空気を抜き、口をしばります。そして、リュックサックに大きなゴミ袋を入れ、その中に荷物をつめて、最後にゴミ袋の口をしっかりしばります。こうして、2重に防水をすることで、雨の中の移動でも荷物をぬらすことはありません。
はお、登山用のリュックサックについているレインカバーもある程度は水を防げますが、完全ではありませんので、リュックサックの生地をぬらさない程度のものと考え、中身はポリ袋やゴミ袋などで防水するようにしましょう。

避難所ですごすとき

避難所が開かれたばかりのときは、暖房が使えないことや、毛布が全員にいきわたらないことがあります。また、見逃しやすいのが冷たい床です。床に直接に座ったり、寝たりすることでかなりの熱がうばわれます。

寝袋を持っていればよいのですが、無い場合にはダウンなど厚めのものを着こみます。下半身は重ね着がしにくいので、持ち運びやすいサイズのひざかけ用の毛布や、厚い靴下を用意するなど工夫をするようにします。
肌が露出する手や頭部からも熱が逃げやすいため、手袋や耳までおおうことのできる毛糸の帽子もあるとよいでしょう。
また、使い捨てカイロも多めに用意し、あわせて使うようにしましょう。

床からの冷えは、キャンプ用の銀マットが効果的です。それほど高いものではないので用意しておくとよいでしょう。ヨガマットでも代用できますが、薄いものは温度が伝わりやすいので気をつけましょう。
空気を入れて膨らませるエアマットもお手頃のものがあり、コンパクトにたためるのでおすすめです。ただし、長い間保管しておくと、接着されている部分が劣化して空気が抜けてしまことがあるので、定期的にふくらませて一晩寝てみるといった確認が必要となります。

●避難所での注意点
プラスチックのシートにアルミを貼った、エマージェンシーシートも保温力が高いのでおすすめですが、シャリシャリと大きな音がするため、狭い空間に不特定多数の人がいる避難所ではトラブルになることがあります。音の小さなタイプがでていますので、新しく買うのであればそちらを選ぶとよいでしょう。
また、ビニール製のレインコートを着たり、ゴミ袋に穴をあけてかぶったりすることで保温ができます。ただし、レインコートやゴミ袋、エマージェンシーシートは湿気をとおさないため、汗をかく状態で使っていると下着がぬれてしまいます。下着がぬれれば、逆に体温をうばうこととなりますので、他に保温できるものがないときに緊急的に使うようにして、暑いと感じたらすぐに脱ぐようにしてください。

また、体から熱を発するにはカロリーが必要です。避難所では災害後しばらく、まともに食べものが支給されないことがありますので、2-3日分の食料と水を自分で持ち込むようにします。

在宅避難をするとき

自宅が安全であれば在宅避難をおこないましょう。先ほど説明したとおり、避難所は開いてからしばらくは、毛布や床にしくもの、食べものがない場合があります。そのため、避難所は自宅が危険ですごす場所がない人のための、最低限の場所と考えましょう。入れる人数にも限りがありますので、自宅が安全な人が在宅避難をすれば、本当に危険がある人を助けることにもつながります。


自宅では電気やガスが止まって暖房が使えないことがありますので、使い捨てカイロを多めに備蓄しておきましょう。
また、十分にカロリーをとれるよう、食べものや飲みものを最低3日分、できれば1週間分を備蓄しておきます。非常食だけで1週間分の備蓄をすることはむずかしいので、カセットコンロを用意してお米や乾麺、冷蔵庫の食材などを調理するようにします。


台風でとばされたものや地震のゆれで窓ガラスが割れてしまうことに備え、窓ガラスに飛散防止フィルムを貼りましょう。災害で窓ガラスが割れてもフィルムを貫通しなければ、雨風をしのぐことができます。また、飛散防止フィルムよりも厚さのある防犯フィルムを選べば、空き巣がガラスを割って侵入しにくくなるためおすすめです。
もし、飛散防止フィルムを貼っておらず、窓ガラスが割れてしまったときは、ブルーシートをガムテープで窓枠にあわせてはると、風雨を防ぎ、ガラスが室内に落ちるのを防ぐことができます。


低体温症にかぎらず、災害時に安全にすごすには、日ごろからの備えが大切です。
非常用持ち出し袋(避難バッグ)も季節によって必要なものが変わりますので、衣替えのタイミングで詰めかえをするようにしましょう。

この記事を書いた人

moshimo ストック 編集部

防災をしたいけど情報がたくさんあって、何から始めればいいの…?
私たち moshimo ストックも始めは知ることが幅広くて、防災ってちょっと難しいな…と思いました。
そんな "元初心者" の編集部が、初めての方にもわかりやすいよう防災・備蓄・災害についての情報をお届けいたします。
moshimo ストック 編集部の記事一覧

公式SNSアカウントをフォローして、最新記事をチェックしよう

twitter
facebook

この記事をシェア

B!

詳しく見る