マンションのトイレが使えなくなるのは、大きな地震が発生した時ばかりではありません。2019年に発生した台風19号では、神奈川県川崎市にある47階建てのタワーマンションでは、地下にあった配電盤が浸水で壊れ、排水ポンプも動かせず、電気も水道もエレベーターも長期間にわたって使えない状況になりました。
多くのマンションでは、スペースを有効活用するために、配電盤は地上ではなく、地下に配置されています。地下に完全に水が入らないように密閉性を高めるのは簡単なことではなく、台風や豪雨などで浸水して、ライフラインが止まってしまうこともあるのです。
排水設備が機能していないところにトイレの水を流すと、下水から水があふれたり、下の階のトイレが逆流することになります。また、地震で排水管が破損している場合には、上の階で流したトイレの水が下の階であふれるという事態にもなります。
大きな台風や地震が発生した時には、トイレの水は流せない、トイレは使えないと考えておきましょう。
トイレの備蓄は、食糧や水の備蓄と同じくらい、とても大切なのです。
災害用のトイレには、1回使い切りの「携帯トイレ」と、複数回使用できる「簡易トイレ」があります。
携帯トイレは、洋式便座などに袋を二重に設置して吸収パットや凝固剤を入れた中に用を足して排泄物を固めて処理するものです。ドライブやキャンプなどでも使いやすい、小さな包装になっているタイプのものもあります。
簡易トイレは、小型で持ち運びのできる箱型トイレで、これにも給水パットや凝固剤を入れて排泄物を固めて処理します。
トイレの備蓄の量の目安は、1人1日最低5回ほどトイレを使用するものと考えて、1週間から10日分を、ご家族の人数分です。
3人家族と仮定して、1日5回×3人×10日分=150回分のトイレの備蓄を備えておく必要があります。
また、地震・洪水ともに、道路が損壊するなどの被害が出て、復旧までに何日もかかることになった場合には、ゴミの回収なども行われず、数日にわたって自宅にゴミを保管しなければいけない事態になることもあります。
ゴミを自宅で保管する場合に、一番気になるのが“ニオイ”ではないでしょうか。
普通のビニール袋は人の目では分からないくらいの小さな穴があり、わずかながら通気性があります。それゆえに、ニオイが漏れ出てしまうこともあります。
防臭機能のあるゴミ袋を備えておくと良いでしょう。