日本での土砂災害は、国土交通省が集計を開始した1982年から、毎年平均して1,000件前後発生しています。
発生件数が最も多かった年は2018年の3,459件。この年は西日本を中心に中部地方などに被害を出した平成30年7月豪雨や、北海道胆振東部地震などの災害が相次いだことが原因となっています。ついで2004年の2,537件、1982年の2,007件、2019年などが多くの土砂災害が発生した年になっています。
また、1982年、2004年、2019年は台風に伴う土砂災害が多く発生しています。
2021年の一年間に発生した土砂災害に関して、国土交通省砂防部から統計(
国土交通省 令和3年の土砂災害)が報告されています。
2021年3月1日から12月の1年間に発生した土砂災害は、全国で972件。
国土交通省での土砂災害発生件数の統計が始まってから、19番目に土砂災害の発生が多い年となりました。
土砂災害が発生しなかった県は、岩手県、茨城県、埼玉県、山梨県、香川県の5県のみ。42都道府県で発生しています。
発生件数の多かった都道府県を見ると、最も多かったのが、広島県の129件。ついで神奈川県の88件。鹿児島県でも85件発生しています。また、長野県、鳥取県、佐賀県でも、それぞれ60件近い土砂災害が発生しました。
2021年に土砂災害が発生しなかった5県にも、土砂災害警戒区域などはあり、過去には土砂災害が発生しています。どこの地域でも、土砂災害が発生する可能性はあるのです。
発生した土砂災害972件を種類別に見ると、もっとも多いのが、がけ崩れで735件。福岡県八女市などで発生しました。
ついで多いのが、土石流などで、160件。7月に発生した静岡県熱海市伊豆山の土石流は、まだ多くの人の記憶に新しいのではないでしょうか。
地すべりも、長野県長野市や熊本県天草市をはじめ、77件発生しています。
発生時期の特徴としては、過去5年間では7月が突出して多かったのに対して、2021年は7月に発生した土砂災害は平均の1/3程度と少なく、変わって8月は過去5年間の平均の約3倍、408件の土砂災害が発生しました。これは、8月11日からの前線に伴う大雨によるもの。長崎県雲仙市、熊本県天草市、福岡県八女市、広島県広島市、長野県岡谷市と、この大雨によって、九州、山陽、関東甲信越と日本の広い範囲で土砂災害が発生しました。