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り災証明書と申請のための写真撮影のポイント

台風による浸水被害や、大規模な地震による家屋の損壊など、大規模な災害で住まいが大きな被害を受けた時には、一刻も早く家の片付けや修繕作業をして、落ち着いた生活を取り戻したいと思うかも知れません。でも、そうした作業をする前に、やっておかなくてはいけないことがあります。
それは、住まいの被害状況を写真に収めておくこと。
この被害状況を撮った写真は、り災(罹災)証明書を発行してもらうための申請手続きに必要です。
被災した場合に、様々な支援を受けるために必要となってくる、り災証明書。市町村に申請をすることで、調査員が派遣され、家屋の被害状況を調査した上で交付されますが、調査員が派遣されるまでには数日かかることもあるため、被害状況をできるだけ撮影しておくことが必要なのです。
撮影のポイントともに、被災したらまずは写真に撮るということを覚えておきましょう。

り災証明書とは

り災証明書は、住宅が自然災害や火災などによって損壊する被害を受けた場合に、住居が所在する市町村長などが損壊状況の調査を行い、被害の程度を認定して証明する、公的な書類です。
り災証明書は、災害義援金や支援金を受け取ったり、仮設住宅への入居申請や住宅を応急修理する際の支援、税金などの免除や負担を減らす手続きなど、その後の生活再建に向けての様々な公的支援を受ける時に必要になってきます。
り災証明書の申請と交付は、火災の場合にはお住まいに地域を管轄している消防署、自然災害は被災した住居などのある、市町村が行います。
申請期間は、自治体によって異なりますが、概ね災害によって被害を受けてから1か月〜3か月以内。期限内に申請書を提出できない特別な事情が市町村長から認められた場合は、申請期間を延長される事があります。
り災証明書の対象は、居住のために使っている建物です。自動車やカーポート、倉庫、事業所や店舗などの住宅以外の建物や工作物が被災した場合には被災証明書(「り災届出証明書」などの名称で発行している自治体もあります)、農業用施設や設備が被災した場合には農業用り災証明書が自治体によって発行されます。

り災証明書で受けられる支援については、こちらのページで紹介をしていますので参考にしてみてください。

り災証明書で証明されること

り災証明書では、固定資産評価を参考に、原則として基礎や柱などの部位別の損害割合を算出し、それらを合計して住家全体の損害割合を算出して判定し、住宅の被害程度を「全壊」「大規模半壊」「半壊」「準半壊」「準半壊に至らない(一部損壊)」の5区分で認定されます。
被害認定基準は、住家の損壊・焼失・流出した部分の面積が、その住家の床面積の70%に達しているなどが、経済的被害の損害割合が50%とみなされて、全壊に。損壊部分が住家の床面積の50%以上70%未満では、経済的被害の損害割合が40%以上50%未満とされ、大規模半壊に。損壊部分が、住家の床面積の20%以上50%未満では、経済的被害の損害割合が20%以上40%未満とされ、半壊に。損壊部分が、住家の床面積の10%以上20%未満では、経済的被害の損害割合が10%以上20%未満とされ、準半壊に。損害部分が、住家の床面積の10%未満では、経済的被害の損害割合が10%未満とされ、準半壊に至らない(一部損壊)と認定されます。

り災証明書発行の申請をするには

り災証明書を発行するのは市町村ですが、申請窓口や、申請に際して必要なものは市町村によって異なります。
市町村のホームページや防災を担当する部課の窓口で確認しましょう。
申請には、住宅地図の写しや、本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、健康保険証など)、認印などが必要な自治体もありますが、多くの市町村で共通しているのが、り災証明書交付申請書と被害の状況が確認できる写真などです。

り災証明書の申請に提出する写真撮影のポイント

り災証明書の申請に提出する写真は、カメラで撮影したものでも、スマホで撮影したものでも構いません。
ただ、どんな被害が出たのかを、できるだけわかりやすく撮影しておく必要があります。
まずは、家の外をなるべく四方向から全体がわかるように撮っておきましょう。さらに、被害の状況がより分かりやすいように、壁や塀などに入ったヒビや、割れた窓ガラスなどの破損した箇所や、破損したものなどをすべてアップで撮っておきましょう。
水害で浸水した場合には、浸水の深さもわかるように撮影することが大切です。巻尺や物差しなどがあれば、計測しながら撮るのが理想ですが、例えば人が立っている状態で撮ったり、玄関ドアなどを入れ込むことでも浸水した深さがわかるようになります。
家の中の被害状況も撮影しておきましょう。家の中の撮影のポイントは、大きく分けて2つです。一つ目は、被災した部屋ごとの全景写真を撮ること。2つ目は、被害のある箇所をアップで撮影することです。
システムキッチンや洗面台などの住宅設備や、内壁、床、窓、サッシや出入口のドアなども、被災したそのままの状況で撮影しましょう。
家財道具が折り重なっていて、なにがどんな被害を受けているのかわかりにくい場合には、起こした後でも写真を撮っておくことが必要です。

もしも被災してしまったら、大きな悲しみや混乱の中でどうしたらいいのかわからなくなってしまうかもしれません。しかし、少しでも早く生活を再建するためには、公的な支援や保険が大きな力になります。こうした支援などを受けるために、もしも被災したら被害状況をしっかりと撮影して、忘れずにり災証明書の申請をするようにしましょう。

この記事を書いた人

瀬尾 さちこ

防災士。住宅建築コーディネーター。整理収納コンサルタント。

愛知県東海市のコミュニティエフエム、メディアスエフエムにて防災特別番組「くらしと防災チャンネル(不定期)」、「ほっと一息おひるまメディアス(毎週水曜日12時〜)」を担当。
以前の担当番組:みんなで学ぶ地域防災(2021年~2021年)、防災豆知識(2019年~2021年)
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