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忘れがちな災害時の目の備え、コンタクトレンズのSEED(シード)に教わろう!

災害がおきたときに避難所に持っていく非常用持ち出し袋や、外出時の災害に備える防災ポーチに入れるものは人それぞれ違います。非常用持ち出し袋のセットを買っただけで満足せず、不足しているものや自分にとって必要な物を調べて追加しておくようにしましょう。
見逃しがちなものの一つとしてコンタクトレンズや眼鏡があります。自治体などが出している非常用持ち出し袋に入れる物の一覧を見ても、「自分にとって必要なものを追加しましょう」と書かれているものの、具体的には明記されていないこともあります。

コンタクトレンズの製造販売を行う株式会社シードが、コンタクトレンズと眼鏡を併用している従業員に行ったアンケートによると、「非常用持ち出し袋にコンタクトレンズと眼鏡の両方を用意していない」という回答は57%となっていました。この結果はコンタクトレンズメーカーの従業員を対象としたアンケートとなりますので、一般にはもっと高い数値になるかもしれません。

そこで、今回はシードの広報の方に、災害時に必要となるコンタクトレンズと眼鏡の備えのコツや、災害時でも安全に使う方法について伺いました。
災害はいつくるかわかりません。自分が災害にあう前にしっかり備えをしておきましょう。
moshimo ストック編集部(以下、編集部) -
まずは、災害にあった時のためにコンタクトレンズや眼鏡を備えておく重要性について教えていただけますでしょうか。

シード –
日常生活で視覚から得られる情報は全体の8割ともいわれており、目からは非常に多くの情報を得ています。
私も視力が悪く、視力検査ではCのマークで表されるランドルト環の一番大きなものが見えないくらいでして、コンタクトレンズや眼鏡が無いと外出はおろか日常生活を送ることが難しくなります。日頃コンタクトレンズや眼鏡を使用している方にとって、災害時にそれらを使用せず周りが見えにくい状況で、慣れない被災生活や避難所で過ごすことは、とても危険で怪我にもつながりますので、コンタクトレンズや眼鏡の備えはしっかりしていただければと思います。

編集部 –
災害時には、停電によって懐中電灯やランタンのような小さな灯りで生活をすることも考えられます。
また、避難所では1つの場所に多くの人が密集して生活します。とくに災害直後で混乱し、整理されていない状況の中では足元もつまずきやすくなるため、それほど視力が悪い方でなくても危険になるかと思います。
災害時には医療機関はケガ人であふれ、なかなか診療を受けづらいこともありますので、怪我をしないようしっかりと備えたいですね。

次は、コンタクトレンズの備え方についてお聞きできればと思います。一番迷うのがどれくらいの量を用意すればいいかだと思うのですが、どれくらいの日数分を備えるのがよいでしょうか?

シード –
避難所に持っていく場合には、1-2週間分をおすすめしています。コンタクトレンズは小さなケースに入っており多めに用意してもかさばりませんので、いつもお使いのものを非常用持ち出し袋に入れていただければと思います。2weekやハードなど1日で使い捨てないタイプのコンタクトレンズの場合には、洗浄液や保存液、ケースといったケア用品も必要です。
ご注意いただきたいのですが、ソフトタイプのコンタクトレンズは水道水では洗えません。水道水で洗ってしまうと変形したり、水道水に含まれる細菌がコンタクトレンズに付着し、そのレンズを使い続けると細菌・カビが繁殖して目の病気につながったりしますので、ケア用品も忘れずにご用意いただければと思います。

編集部 –
自宅だけでなく、外出先で災害にあうことも考えられると思います。moshimo ストックでは防災ポーチを作って持ち歩くことをすすめているのですが、外出先での備えはどれくらい必要でしょうか?


シード –
外出先には3日分を目安にご用意いただければと思います。
大きな災害がおきた直後にたくさんの人が徒歩で帰宅を始めてしまうと、道路をふさいで災害救助の妨げになることがあります。また、人々が密集することで群衆雪崩などがおき、新たな被害となってしまうこともあります。そのため、内閣府からの呼びかけとして、企業では3日分の備蓄をして待機をし、行政機関からのアナウンスを待ってから避難を開始することが推奨されています。この待機期間もあわせて、コンタクトレンズの備えもしていただく必要があります。

災害時でなくても、コンタクトレンズが急に目から外れてしまったときなどにも使用できますので、日ごろからポーチの中に予備を入れておくのがおすすめです。
編集部 –
コンタクトレンズを備えるコツについて教えてください。

シード –
みなさん洗面台の棚などにしまっていることが多いかと思うのですが、いざ避難をするときには慌ててしまって、コンタクトレンズやケア用品を持ち出すことまで気が回らないかと思いますので、あらかじめ非常用持ち出し袋に入れておいてもらえればと思います。

編集部 –
おっしゃる通り、いざ災害があった時には気が回らないかと思いますし、津波の危険がある地域では、一刻一秒を争っての避難が必要となります。
非常用持ち出し袋に必要なものはまとめていれておき、その他の貴重品なども1か所にまとめておくのがおすすめですね。

シード –
また、コンタクトレンズと一緒に眼鏡も非常用持ち出し袋へ用意しておきたいです。災害時には断水をして水が使えなくなることがあります。手が洗えない状況でコンタクトレンズの着脱をすると雑菌が付着して目の病気につながります。コンタクトレンズは誤った使い方で不具合が生じれば人体へのリスクが比較的高いものに該当しますので、不衛生な状態では使用しないようお願いいたします。

衛生面で様々なことが危惧される避難生活には、meruru(メルル)という商品がおすすめです。指先をレンズに触れずにコンタクトレンズの着脱をするための器具なのですが、使用後はmeruruをアルコールティッシュでふいてから完全に乾燥させれば、水が無い状況でも使用できます。なお、保湿成分等が入ったアルコールティッシュは使用できませんので、購入時に成分の確認をしてもらえればと思います。
円錐角膜や不正乱視、虹彩欠損といった、眼鏡では対応が難しくコンタクトレンズの使用が求められる眼の症状をお持ちの方はぜひご用意いただければと思います。

また、これは平時でも同じことが言えるのですが、コンタクトレンズは定められた期間より長く使わないようお願いします。2weekタイプのものは、たとえ1回しか使用していなくても、開封から2週間たった場合には利用できません。
みなさまの目の健康のために、使用上の注意は必ずお守りいただければと思います。

編集部 –
非常用持ち出し袋に入れておく場合ですが、入れ替えの時期はどうするのがよいでしょうか?

シード –
少し多めに買っておいて古いものから使っていく、ローリングストックという方法をおすすめします。
コンタクトレンズは購入した時点から1年以上は使用期限があります。3か月分くらいまとめて買われる方が多いかと思いますので、買い替えの時期に非常用持ち出し袋に入っているコンタクトレンズの期限をチェックして、期限が半年を切っているようでしたら、新しいものに入れ替えるのがよいのではないでしょうか。
他の非常用持ち出し袋の中身も3か月に一度、非常食の賞味期限などをチェックするとよいとされていますので、コンタクトレンズの購入するタイミングを非常用持ち出し袋の中身をチェックする機会にされてはいかがでしょうか?

編集部 –
非常用持ち出し袋の中身は、夏や冬など季節によって必要なものも変わってきますので、コンタクトレンズの買い替えのタイミングで、ぜひチェックをしていただければと思います。

コンタクトレンズや眼鏡は毎日つけるとても身近なものですが、灯台下暗しで案外見落としがちかもしれません。
災害時のいつもと違う環境でも安全に使えるように、しっかりと準備をしておきましょう。

株式会社シード
「『eye×防災』~日頃から気を付けたい災害対策~」ホームページ

この記事を書いた人

moshimo ストック 編集部

防災をしたいけど情報がたくさんあって、何から始めればいいの…?
私たち moshimo ストックも始めは知ることが幅広くて、防災ってちょっと難しいな…と思いました。
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