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熱中症の原因は気温と湿度。初期症状を知って早めに予防&災害による停電時にも備えよう。

近年、増加傾向にある熱中症。都市部の気温が高くなるヒートアイランド現象や、高齢化、核家族化など様々な要因によって、高齢者を中心に死亡者数が増えています。
年間の平均死亡者数を見ると、1999~2008年は395.4人、2009年~2018年では906.6人と、この10年間でほぼ倍増しており、社会的な課題となっています。

2019年にあった台風では千葉県を中心に多くの地域が数日間の停電となり、中には2週間以上も続いた地域もありました。このように夏に停電が起きた場合には、クーラーなども使えないため熱中症のリスクも高まります。水分・塩分の補給やハンディ扇風機などの、災害時の備えも必要となります。

以前と比べてかかることの多くなった熱中症ですが、正しい予防法を身につけておけば防ぐことができます。
気を付けなければいけない環境、初期症状、予防のための対策、応急処置の方法を知って、熱中症にならないように気をつけましょう。

熱中症ってどんな病気?

熱中症は、体温が上がったり、体内の水分や塩分が失われたり、体温の調節機能が働かなくなることが原因でおきる病気の総称です。熱中症になると体温の上昇やめまい、けいれん、頭痛などのさまざまな症状を起こし、軽い症状(I度)から重い症状(III度)まで次のような不調が現れます。

I度

熱失神

脳への血流が不十分となり、めまい・失神(立ちくらみ)をおこします。

熱けいれん

汗により体内の塩分(ナトリウムなど)が失われ筋肉痛・筋肉の硬直(こむら返り)と呼ばれる症状がおき、筋肉がこわばり痛みを伴います。

その他、手のしびれ・気分の不快などを起こします。

II度

熱疲労

体がぐったりしたり、力が入らないと感じ、頭痛・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感などを起こします。

III度

熱射病

意識障害・けいれん・手足の運動障害
呼びかけや刺激への反応がおかしい、体全体のけいれんがおきる、まっすぐ走れない、歩けないなどの症状がおきます。

高体温
体に触ると熱いという感触があります。

その他、肝機能異常、腎機能障害、血液凝固障害を起こします。

熱中症なりやすい環境と初期症状

熱中症になりやすい環境や、初期症状を知って、重い症状になる前に早めの対策をしましょう。

熱中症になりやすい環境

  • 炎天下に長時間いる
  • 気温が高い中で激しい運動をする
  • 梅雨明けなど、急に気温が上がった場合
  • 室内でじっといるけれども、気温と湿度が高い
  • 気温は低くても湿度が高い
炎天下や激しい運動が原因となることは想像しやすいかもしれませんが、暑さに慣れず発汗機能などが整っていない梅雨明けや、気温は低くても湿度が高い環境では、気づかないうちに熱中症にかかる可能性があるため注意をしましょう。

特に、湿度は気づきにくいのですが、気温よりも熱中症に大きく影響します。
気象庁と環境省は2020年7月1日より、関東甲信地方の1都8県で「熱中症警戒アラート」を全国に先行して実施します。
この熱中症警戒アラートは、環境省の定める WBGT という暑さ指数によって発表されるのですが、この暑さ指数では暑さに影響する要素とその割合は「気温 1 : 湿度 7 : 輻射熱2 ※」とされており、湿度が大きな割合を占めています。
※輻射熱 = 地面や建物・体から出る熱

湿度が高い時には、汗が蒸発せず体の熱が下がりにくくなりますので、気温は高くないけれど蒸し暑く感じる時には熱中症対策を行いましょう。

こちらのページで暑さ指数を調べることもできますので、参考にしてみてください。
環境省熱中症予防情報サイト 暑さ指数

熱中症の初期症状

  • 顔や体がほてる
  • 手足がしびれる
  • めまい、立ちくらみがする
  • 筋肉が硬直(こむらがえり)したり、筋肉痛を起こす
  • ぼーっとする、気分が悪い
このような症状が出たら、熱中症のサインです。
涼しい場所に避難して風にあたったり、冷たい水分や塩分をとるなどして体調を戻しましょう。
  • 頭痛がある
  • 吐き気がする
  • からだがだるく、倦怠感がある
  • 汗が止まらない、または汗が出ない
などの症状があれば、かなり熱中症が進んでいますので、濡らしたタオルをわきの下や首筋にあてたり、冷たいシャワーを浴びて体を冷やしましょう。もし症状が悪化するようであれば、すぐに医療機関にかかりましょう。
自分で水が飲めなかったり、動けない場合、意識なくなったり、様子がおかしい場合、全身にけいれんがある場合には、ためらわず救急車を呼ぶようにしましょう。

熱中症対策

気温や湿度、暑さ指数を気にしましょう。

なるべく外に出たり、外で運動をしないようにしましょう。また、外に出るときには強い日差しを避けるため、日傘をさしたり、帽子をかぶるようにします。
家の中でじっとしていても、熱中症にかかることがありますので、暑い時にはエアコンを使用しましょう。

災害時、停電がおきたときには、室温より外気が低い場合には、換気をして涼しい空気をとりこむこと。このとき“日陰側”の窓を2ヶ所以上あけて風の通り道を確保しましょう。ハンディ扇風機などもあるとよいでしょう。
また、断水する前にお風呂に水を張っておき、水風呂として活用したり、水で濡らしたタオルを首元などに巻くのもおすすめです。水につけて使う冷却タオル使ったり、吸水速乾インナーを濡らして着るとより涼しく過ごすことができます。

飲み物を持ち歩き、こまめに摂取しましょう。

水分と同時に塩分を取ることが大切です。水分だけをとると血中の塩分やミネラル濃度が薄まり、かえって熱中症の症状が明かしてしまうことがあります。スポーツドリンクや塩分入りタブレットは、塩分以外にも必要となるカリウムも入っているためさらにおすすめです。
災害時に備え、粉末のスポーツドリンクや、塩入りタブレットを備蓄しておきましょう。

スポーツドリンクや塩分タブレットなどが手に入らない場合には、果物やフルーツジュース、麦茶からもカリウムをとることができます。水分500ccとともに、0.5g~1gの塩分をとることで脱水症状を防ぐことができます。
なお、3本の指で粗塩をつまむと、手の大きさにより幅はありますが、だいたい0.5g~1gくらいになりますので参考にしてみてください。(さらさらとした細かい塩ですと、2割くらい多くなります。)

ここで注意したいのは、コーヒーやお茶(麦茶には含まれません)など、カフェインのはいった飲料は利尿作用があること。尿によって水分が排出されやすくなるので注意が必要です。
ビールなどのアルコールも利尿作用が強いため、熱中症になりやすい環境では、過度な飲酒は避けるようにしましょう。

十分に睡眠をとり、休憩をこまめにとりましょう。

もう一つ重要なのが十分な休息をとること。特に睡眠時間が足りないときや、二日酔いのときには、熱中症にかかりやすくなりますので、暑い中への外出は避けましょう。

お子様や高齢者がいる場合

子供は、何かに熱中すると自分の体調の変化に気づきにくかったり、自らの体調の変化を訴えられないことがあります。特に体温調節機能が十分に発達していない乳幼児は、大人よりも熱中症にかかりやすいといわれています。
炎天下では遊ばせたりせず、気温や湿度が高い場合には大人が気にかけるようにしてあげましょう。
また、高齢者も熱中症のサインに気づきにくく、熱中症での死亡率は65歳以上からとても高くなりますので、水分をとったり、体調の変化を気づかうようにしてください。

感染症拡散防止のためのマスクについて

2020年は新型コロナウイルスの飛沫感染を防ぐために、マスクをすることが推奨されています。しかし、マスクをすると体の熱を逃がしにくくなるため、熱中症のリスクが高まります。
3密を避けることができ、ソーシャルディスタンスを保てる屋外などでは、マスクを外して熱中症のリスクを下げるようにしましょう。

熱中症とマスクについては、こちらで詳しく説明していますので参考にしてみてください。

応急処置

熱中症のサインがあるときには、涼しいところへの避難や水分補給のほか、積極的に体温を下げる必要があります。
まずは涼しい場所に移動し、衣服をゆるめ、風にあたること。そして、水に濡らしたタオルで、わきの下や首筋、足の付け根などを冷やしましょう。保冷材や氷枕を使うとより効果的です。このとき、額や顔だけを冷やしても体の熱は下がりませんので気を付けてください。
また、冷たいシャワーを浴びたり、水風呂に入ることも効果的です。

熱中症は命にかかわる病気です。症状が改善しなかったり、重いと感じた場合には、早めに医療機関を受診しましょう。
熱中症のサインで紹介した通り、自分で水が飲めなかったり、動けない、意識なくなったり、様子がおかしい、全身にけいれんがある場合には、ためらわず救急車を呼ぶようにしましょう。


年々増加する熱中症ですが、なりやすい環境を知り、早めに気を付けることで防ぐことができます。
また、夏も停電しても大丈夫なよう、スポーツドリンクの粉末や塩分タブレット、ハンディ扇風機、冷却タオルや吸水速乾インナーを準備し、健康を保てるよう備えておきましょう。

この記事を書いた人

moshimo ストック 編集部

防災をしたいけど情報がたくさんあって、何から始めればいいの…?
私たち moshimo ストックも始めは知ることが幅広くて、防災ってちょっと難しいな…と思いました。
そんな "元初心者" の編集部が、初めての方にもわかりやすいよう防災・備蓄・災害についての情報をお届けいたします。
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