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停電時の電力供給に。クルマを電源として活用する方法

災害時に起こる停電。電力の復旧に時間がかかれば、あらゆる電化製品が長期間にわたって使えなくなってしまいます。ですが、電化製品は私たちの生活の要。どうしても電力が必要な場合、どのように対処したらよいのでしょうか。

そんなときに頼りになるのが、自家用車です。今回は、停電などの非常時、ご自宅のクルマから電力を供給する方法をご紹介します。

ハイブリッド車なら緊急時、1500Wの電力を供給できる

電力を供給する上で、重要なポイントになるのが車種です。

大容量の駆動用バッテリーが備わっている特定のクルマには、災害などの非常時に電力を供給するための「非常時給電システム」が用意されています。これはクルマの外側にコンセントをつなぎ、発電機として利用できるシステム。ハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)、電気自動車(EV)など、電動化されたクルマに多く搭載されています。

使用できる電力はおおむね1500Wで、一般的なドライヤーや電気ポッド、電気ストーブといった大半の家電を動かすことが可能です。災害時はもちろんのこと、キャンプやバーベキューといったアウトドアシーンでも役立ちますね。

なお、駆動用バッテリーの残量が減ると自動的にエンジンが起動し、ガソリンをエネルギー源として発電を行います。ガソリンが満タンであれば、4日間は継続して給電できるので、万が一のときには頼もしい存在になるでしょう。

このように、非常時給電システムが搭載されている車種を選べば、災害時の備えになります。ちょうどクルマ選びをしている人や、これから買い替えを検討している人は、ひとつの選択肢にしてみてください。

一般車なら「シガーソケット+変換器」で電力を供給しよう

「じゃあ、ハイブリッド車じゃないわが家のクルマでは、いざというときの電源にならないの?」と思った人も多いのではないでしょうか。しかし、まったく電力を供給できないわけではないのでご安心を。

一般的なクルマでも、100W前後の電力なら出力することが可能です。その方法はさまざまですが、コンセントがついている車種でなければ、車内のシガーソケットに「カーインバーター」と呼ばれる変換器を取り付けましょう。これにより差し込み口をコンセントにできるため、クルマが非常時の電源になります。

なお、シガーソケットに取り付けるカーインバーターのなかには100W以上の電力を供給できる製品もありますが、それでも使用する電力は100W前後にとどめておくのが安全です。想定以上の使い方をすれば、シガーソケットのヒューズが切れてしまい、災害時においては致命的なアクシデントにもなりかねません。

また、エンジンを止めたまま使用していると、充電された電力を使い切りバッテリーが上がってしまいます。エンジンを回転させるとバッテリーに充電がされますので、長時間の使用の場合には、エンジンをかけながらインバーターを使うようにしましょう。

100W前後で使える家電は? 大容量タイプのカーインバーターも選択肢

100Wと聞くと頼りなく感じるかもしれませんが、意外にもさまざまな家電を使用できます。災害時に役立つ家電のなかで、100W前後で使えるものは以下の通り。
  • 電動歯ブラシの充電(2W)
  • スマートフォンの充電(15~30W)
  • 小型液晶テレビ(50W~80W)
  • ノートPC(50~120W)
  • 電気毛布(80W)
  • ウォーターサーバー(冷水)(80W)
  • ランプなどの照明器具(100W)
※ワット数はあくまでも目安で、正確な数値は使い方や製品により異なります。

ちなみに、電気ポットや電子レンジ、ドライヤーなどの家電は、700〜1500Wもの電力を消費します。車内のコンセントやシガーソケットにつなぐのはたいへん危険なので、くれぐれも注意してください。

これらの家電を使いたい人は、1000Wなどに対応した大容量タイプのカーインバーターを購入しましょう。通常のカーインバーターの場合、供給できるのは車内用の電力に限られますが、大容量タイプの多くは、クルマの駆動用バッテリーから直接電力を供給します。そのため、無理な電力の供給によってシガーソケットが破損する恐れもありません。

ただし、大容量タイプは当然ながら、クルマの電力を消費するスピードも早くなります。家電の使いすぎによって、限られた電力が底をつかないように気をつけましょう。場合によってはバッテリーが上がってしまい、エンジンがかからなくなる可能性もあります。

万が一のとき、家族の生活を支える発電機になってくれるクルマ。心強い存在である一方、使用にあたってはリスクもあるので、クルマの性能やカーインバーターの機能をしっかりと理解して、安全に電力供給を行なってください。

この記事を書いた人

moshimo ストック 編集部

防災をしたいけど情報がたくさんあって、何から始めればいいの…?
私たち moshimo ストックも始めは知ることが幅広くて、防災ってちょっと難しいな…と思いました。
そんな "元初心者" の編集部が、初めての方にもわかりやすいよう防災・備蓄・災害についての情報をお届けいたします。
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