塩素系漂白剤に含まれる次亜塩素酸ナトリウムは、先ほどあげたアルコールでは除菌できないウイルスや細菌にも効果があります。
セレウス菌、ボツリヌス菌、ウエルシュ菌は食材の中で増殖する菌となりますので、調理前の食材を適切に保存し、加熱調理後にすぐに食べてしまうか、すぐに冷蔵庫にいれて冷却し長い間とっておかないといった、基本的な食中毒対策ができていれば問題ありません。(例外として、ボツリヌス菌は腸内環境の整っていない1歳未満の赤ちゃんの体内で毒素をだしますので、蜂蜜や蜂蜜入りのお菓子、飲み物をあたえないなどの注意が必要です。)
しかし、ノロウイルスはごく少量のウイルスが体内に入るだけで感染することがあります。食材にもともとノロウイルスがついていた場合と、感染者から2次感染する場合がありますので、それぞれ必要となる対策を確認しましょう。
食中毒をおこさない&広げない。食材別のあつかい方、生活で気をつけるポイント
次亜塩素酸ナトリウム水溶液の作りかた
まずは、塩素系漂白剤を薄めて水溶液を作ります。食器やドアノブ、洗面台、トイレなどの除菌には次亜塩素酸ナトリウムの濃度が0.02%、汚物などの処理には0.1%の水溶液を使用します。
家庭用に一般的に販売されている、次亜塩素酸ナトリウムが6%含まれる塩素系漂白剤を使う場合
・0.02%の水溶液は、水3Lに対して塩素系漂白剤12ml
・0.1%の水溶液は、水1Lに対して塩素系漂白剤20ml
を混ぜて作ります。
ただし、塩素系漂白剤に含まれる次亜塩素酸ナトリウムはだんだんと分解されていくため、購入から日がたったものを使う場合には量を調整する必要があります。詳しい目安は花王のWEBページで紹介されていますので参考にしてみてください。
【成分・働き】花王の塩素系漂白剤で、次亜塩素酸ナトリウム0.05%、0.1%の液は作れるの?
次亜塩素酸ナトリウムはとても刺激が強いため、ビニール手袋などをして肌には触れないようして使用します。また、気管に入っても害をおよぼしますので、スプレーなどで霧状に噴霧することは絶対にしないようにしてください。
食器や調理器具、ドアノブ、洗面台、トイレなどの除菌
日常の対策
カキやアサリ、シジミなどノロウイルスがついた食材を調理した後に、同じ調理器具で他の食材に触れることによって感染することがありますので、調理器具は食材別に分け、定期的に熱湯(85度で1分以上)か0.02%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液で除菌をするとよいでしょう。
感染者がいる場合
感染者がいる場合は、使い終わった食器を熱湯か水溶液につけて除菌します。食べ物の残りかすがついていると次亜塩素酸ナトリウムの除菌効果が弱まりますので、まずは下洗いをしてから0.02%の水溶液につけるようにしましょう。最後にシンクや使い終わったスポンジなども、0.02%の水溶液で除菌します。また、感染者は調理をしないことも大切です。
ドアノブ、洗面台、水道の蛇口、トイレなどの場所も0.02%の水溶液でふくようにします。
次亜塩素酸ナトリウムは金属を腐食させますので、すぐに洗い流したり、水拭きしたりするようにしてください。
また、手洗いのポイントで紹介したとおり、別々のタオルを用意するか、ペーパータオルを使うようにしましょう。
汚物などの処理
下痢や嘔吐した汚物を掃除するときには、マスクと使い捨てゴム手袋を使うようにします。できれば、ビニール製のエプロンなどをするとよいでしょう。
まずは汚物にペーパータオルを重ねてからふき取り、汚物をビニール袋に捨て、汚物と同じくらいの量の0.1%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液をかけてから、口をぎゅっと縛ります。さらに新しいビニール袋にいれてから口を縛って2重にして処分します。
汚物を回収した後は、0.02%の水溶液を雑巾に浸みこませて床や汚れた場所をふき、最後に水拭きをしましょう。掃除が終わった後の雑巾や使い捨て手袋なども、汚物と同じ方法で捨てるようにします。
掃除が終わったら、手をすみずみまでしっかり洗い、うがいをすることも大切です。
なお、カーペットやじゅうたんなど水拭きしにくい場所に嘔吐してしまったときには、アイロンをあて85℃で1分以上の過熱をすることで菌やウイルスを死滅させることができます。
洋服の洗濯
汚物が洋服についてしまったときは、汚物が次亜塩素酸ナトリウムの除菌効果を落とすことがあるため、ゴム手袋をして水しぶきが飛ばないよう、水で静かにもみ洗いをしてすすぎます。その後、0.02%の水溶液の中に洗濯物を入れてしばらくつけた後、よくすすいでから洗濯をします。
下洗いをしたシンクやバケツなども、0.02%の水溶液で除菌するようにしてください。
次亜塩素酸ナトリウムは洋服を色落ちさせますので、色落ちを避けたい場合には熱湯につけ85℃を1分以上保つようにして殺菌した後に、洗濯をするのがよいでしょう。