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新型コロナウイルス関連のトラブルにも有効。「災害時ADR」とは?
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新型コロナウイルス関連のトラブルにも有効。「災害時ADR」とは?
公開日: 2020/08/24
不意に訪れ、さまざまな被害を与える自然災害。「地震でも大丈夫と言われて買った物件なのに、壁が壊れてしまった」「隣の家の塀が崩れて、自宅を傷つけてしまった」など、他者を巻き込むトラブルに発展することもあります。
そんなときに頼りたいのが災害時ADRです。このシステムを使えば、弁護士などの専門家が当事者の間に立ち、トラブルを解決するサポートをしてくれます。あくまでも話し合いによる解決を目指すので、裁判のように大がかりな手続きは必要ありません。
さらに災害時ADRは、新型コロナウイルスで発生したトラブルにも対応しています。この記事では、知っておくと心強い災害時ADRについて、特徴や実例などを紹介します。
もくじ
ADRとは?
災害時ADRとは?
新型コロナウイルスにも有効
ADRとは?
まずは、そもそもADRとは何なのかを解説します。ADRとは「Alternative Dispute Resolution(裁判外紛争処理手続)」の略。当事者同士で解決できない民事上のトラブルに対して、経験豊富な弁護士、元裁判官などの専門家が和解や解決のサポートをする制度です。裁判所や行政機関、弁護士会などの団体が実施しています。
ADRの活躍の場面は多岐にわたります。たとえば、家の貸し借り、隣人との土地の境界を巡る争い、商品トラブルなど。どれも見逃せないトラブルですが、「裁判はお金も時間もかかるので避けたい」「相手と交渉しているものの、一向に解決しない」と泣き寝入りしそうになることもあるでしょう。そんなときはADRの出番です。
ADRの特徴は、話し合いによる円満な解決を目指すこと。専門家は双方の話をじっくりと聞き、お互いの納得できる条件や多角的なアドバイスを提供することで、トラブルを解決へと導いていきます。裁判ではないため、高額な費用や長い期間もかかりません。申し立て1件につき1万円ほどが相場で、和解成立時の手数料も安価です。
どうしても落としどころが見つからなかった場合は、ADRによる「仲裁」を希望することも可能です。双方が仲裁を希望すると、専門家が仲裁人として介入し、トラブルの解決基準を定めます。これには判決と同様の法的効果が認められており、不満を感じたとしてもあとから裁判で争うことはできません。
災害時ADRとは?
では、災害時ADRとはどういったものなのでしょうか。こちらは読んで字のごとく、被災者からの相談に特化したADRのことです。
地震、台風などの災害時にはさまざまなトラブルが発生します。特に目立つのは、賃貸借契約を巡るトラブルです。
たとえば、
借りている物件の水回りが壊れているが、大家に修理を依頼しても受け付けてくれない
地震によってアパートが損壊。余震の危険性を憂慮して、大家から退去を命じられてしまった
など。
実際に東日本大震災のときの宮城県、熊本地震のときの熊本県では、賃貸借契約を巡る相談は年間で最も多かったとか。こういった災害時に頻発するトラブルに対して、災害時ADRは効果的です。
これまで大規模な被災地では、都道府県の弁護士会が災害時ADRを独自に開設し、被災者のトラブル解決に努めてきました。そのため、災害の被害を受けてトラブルに発展してしまった場合は、地元の弁護士会が災害時ADRを実施していないかを確認しましょう。
なお、災害時ADRでは、申し立て時の費用を無料にしたり、和解成立時の手数料を減額したりしてくれることが多いです。経済的に負担がかかりやすい被災時には、心強いポイントと言えるでしょう。
新型コロナウイルスにも有効
また、最近は新型コロナウイルスの影響によるトラブルも急増しています。会社の業績悪化によって突然職を失ったり、収入が減ってしまって家賃を支払えなくなったり……。旅行や結婚式の高額なキャンセル料に悩まされている人や、資金繰りの問題に直面している事業者も少なくないと思います。
こういった状況を受けて、各地の団体では、新型コロナウイルスによるトラブルに災害時ADRを適用する動きが高まっています。通常のADRと比べて低負担なのはもちろんのこと、オンラインでの相談を受け付けているケースもあるので、トラブルに悩まされている人は利用してみてください。
地震や台風に加えて新型コロナウイルスも登場し、より身近なリスクとなっている災害時のトラブル。災害時ADRについてしっかりと頭に入れておき、トラブルに見舞われても専門家の手を借りてスムーズな解決を目指しましょう。
この記事を書いた人
moshimo ストック 編集部
防災をしたいけど情報がたくさんあって、何から始めればいいの…?
私たち moshimo ストックも始めは知ることが幅広くて、防災ってちょっと難しいな…と思いました。
そんな "元初心者" の編集部が、初めての方にもわかりやすいよう防災・備蓄・災害についての情報をお届けいたします。
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