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日本で共生する多くの外国人。在留外国人のための防災・災害情報

日本の人口減少による働き手を補うため、特定技能制度などの外国人を積極的に受け入れる政策もあり、日本国内の外国人の人口は年々増え続け2023年は約341万1千人となりました。
日本で生活したり観光で訪れたりする外国人の多くは、災害が少ない国からやってくるほか、日本語がわからないこともあり、防災に関する情報にふれる機会が少なく、災害がおきた時にどう行動したらいいかわからないことがあります。
最近は防災や災害時の情報が多言語で配信されることもあります。外国人の知人や、困っている外国人がいる時には紹介をしてあげてください。

日本にいる多くの外国人

2020年の調査による都道府県別の外国人の人口比率は、東京都で4.0%、愛知県で3.4%、大阪府で2.7%となっています。市区町村別でみると東京都新宿区で11.0%、東京都豊島区で9.1%となるほか、自治体主導で積極的に外国人を受け入れている群馬県大泉町では18.4%となるなど、多くの外国人が生活をしている地域があります。
また、外国人旅行者数は、新型コロナウイルスの流行前の2019年で3188万人、水際措置が4月に撤廃された2023年で2507万人となっています。

このように外国人との共生があたり前となった地域がある中、日本語を見聞きできない人々は日ごろから防災に関する情報にふれる機会が少なく、災害時には“出身国”の政府やメディアが発信する情報を求める傾向があります。そのため、それぞれの国が発信する内容によって被災者の行動が大きく変わる場合や、地域ごとの詳しい避難情報にアクセスすることができず避難を行わないことがあります。
また、母国語でSNSなどに流れる情報には根拠がないものや、真偽のわからないものがあふれ、メディアによって異なる見解が発信され被災者を困らせるといった問題もあります。
そのため、日本に居住している外国人であれば、自分のわかる言葉で、日頃から防災に関する知識にふれ、災害時には避難のための情報を知ってもらうことが大切です。

日ごろからの備え

日本にいる外国人は災害の少ない国からきていることから、災害に関する知識が非常に少ない傾向にあります。多くの外国人の場合、住んでいる地域にどんな災害がおきるか、なぜ避難所に行くかといった知識がなく、災害にあった時に初めて考えることとなります。
まずは、災害によってどのようなことがおきるか、実際に災害がおきたときどう行動すればいいか、基礎的な知識を身につけるための情報を紹介します。

東京都多文化共生ポータルサイト 災害について学ぶ
こちらのサイトは、地震や津波、台風、大雨がどんな災害をおこすのか。避難場所や避難所はどんなところなのか、避難中の注意点についての説明がされています。また、家の安全対策や非常用持ち出し袋に必要なものなどについて、日本語、英語、中国語(簡体)、韓国語、ベトナム語、ネパール語、ポルトガル語、スペイン語で読むことができます。

東京都多文化共生ポータルサイト 災害の時のQ&A
こちらのページでは、災害がおきた時にどうすればいいかを、Q&A形式でまとめています。
Q&Aは先ほど紹介した言語のほか、タガログ語、タイ語でも読むことができます。

公益財団法人 沖縄県国際交流・人材育成財団 国際交流課
外国人のための防災ハンドブック

こちらでは防災の基本的な説明をPDFの冊子形式にまとめて配布しています。先ほどのWEBサイトと比べると、1冊にまとまっているため読み逃しがないのが便利なところです。日本語、英語、中国語(簡体・繁体)、韓国語、スペイン語、ネパール語、ベトナム語で読むことができます。

災害が近づいた・おきたとき

基本的な防災の知識がつくと台風や大雨で災害が近づいたときに、早めの避難が必要なことが分かります。緊急地震速報を通知してくれる多言語対応アプリもあり、気象庁のサイトでは台風や大雨、地震津波による危険情報を見ることができます。

災害をお知らせしてくれるアプリ

Safety tips
観光庁監修による、緊急地震速報や津波速報、台風、大雨の情報、避難情報などを多言語で通知してくれるアプリで、日本語を含む15言語に対応しています。

避難情報

内閣府 防災情報のページ Evacuation Information (Revised Version)
緊急安全確保、避難指示、高齢者等避難といった発表があった時、どのタイミングで避難を開始するかや避難方法について14言語で解説をしています。

気象情報

気象庁 Multilingual Information on Disaster Risk Reduction
気象庁では、台風や大雨などの気象情報のほか、地震、津波、噴火などさまざまな情報を多言語で配信しています。土砂災害や浸水の危険度も地図上で見ることができますので、日本の地理に詳しくない外国人でも、現在地との距離を直感的に知ることができます。日本語を含む15言語に対応しています。

ニュース

NHK WORLD JAPAN
NHK WORLD JAPANのWEBサイトとアプリでは、日本語を含む21言語でニュースを配信しています。

NHK WORLD JAPAN RADIO
NHK WORLD JAPAN のAMラジオは、NHKラジオ第2で決まった時間に多言語放送をしています。日本語を含む11言語での放送がされています。

NHK WORLD JAPAN RADIO ポッドキャスト
インターネットで聞けるポットキャストでは、日本語を含む17言語で放送をしています。

NHK WEB EASY
NHK WEB EASY は日本のニュースを、難しい言葉を使わず、ふりがなをふった、やさしい日本語で書いたニュースです。

日本に住んでいる外国人は、会話はできるけれど、漢字が読めないことや、難しい表現がわからない人も多くいます。
情報を発信するときに相手の言語がわからなくても、代わりにやさしい日本語を使うことで理解できる人がいるかもしれません。また、その人がほかの外国人に伝えることで、さらに多くの人に情報が共有されることになりますので、もし避難所などで情報を伝えるなどの機会があれば、やさしい日本語をあわせて書くなど気をつけてみてください。

参考資料

出入国在留管理庁 令和5年末現在における在留外国人数について

国立社会保障・人口問題研究所
人口問題研究 第78巻 第3号 (2022年9月刊)

【資料】09 近年における外国人人口の地域分布

観光庁 訪日外国人旅行者数・出国日本人数

一般財団法人 消防防災科学センター
外国人を対象とした防災対策に関する実務資料集編

2 在住外国人および訪日外国人の「情報」と「防災」をめぐる 課題と対策
武蔵大学社会学部教授 アンジェロ・イシ(Angelo Ishi)

総務省 多文化共生の推進に関する研究会(令和元年11月1日~令和2年8月)
第5回 令和2年5月15日(金)
会議資料 資料2 多文化共生の推進と防災~これまでの取り組みと今後の展望~(田村委員 発表資料)

この記事を書いた人

moshimo ストック 編集部

防災をしたいけど情報がたくさんあって、何から始めればいいの…?
私たち moshimo ストックも始めは知ることが幅広くて、防災ってちょっと難しいな…と思いました。
そんな "元初心者" の編集部が、初めての方にもわかりやすいよう防災・備蓄・災害についての情報をお届けいたします。
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