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避難時の服装に取り入れたい!アウトドアでの防寒対策「レイヤリング」のテクニック

登山では斜面を登り続けるなどの激しい運動が長時間続くため、冬山のようなとても寒い環境でもたくさんの汗をかきます。そのまま、汗で濡れた服でいると急激に体温がうばわれ、低体温症となってしまうこともあります。
このようなことを防ぐため、山登りなどのアウトドアでは「レイヤリング」という、体温調節をするための重ね着のテクニックがあります。

冬に被災をしてしまうと暖房が十分に効かないこともあります。避難所に行くまでに雨に濡れたり、避難所運営や救助の手伝いで汗をかいて体を冷やさないよう(避難所運営は集まった人たちでします!)、レイヤリングを防災にも取り入れてみましょう。

レイヤリングの仕組み

レイヤリングで重要なことは、“風を防ぐ”ことと、雨や汗で“服を濡らさない”ことです。風と雨はレインウエアで防げますが、汗で服を濡らさないというのは、少し想像がつきにくいかもしれません。
レイヤリングでは、服の外からの防風、防水にプラスして、服の中でかいた汗をすばやく吸収して蒸発させるために工夫をする必要があります。そのために、雨風の侵入を防ぐアウターレイヤー、汗を逃がしながら保温するミドルレイヤー、汗を素早く吸収・蒸発させるベースレイヤー、この3つを意識して重ね着をします。

アウターレイヤー

一番外側に着るアウターレイヤーは外からの風雨を防ぎながら、服の中で蒸発した汗を通すことが必要となります。ビニール製の雨ガッパなどは蒸発した水分が外に逃げないためレイヤリングには使用できません、蒸発した水分を通す「透湿性」のあるレインウエアを用意しましょう。
また、袖から雨が入って中の服を濡らしてしまうことがあります。そのため、袖が手首の下まである長めのものを選ぶこともポイント。さらに、袖がすぼまるものがよりおすすめです。
近年、ワークマンの透湿レインスーツは、ストレッチで伸びるため動きやすく高性能なのに、値段も安いためアウトドアをする人の間で話題になりました。高価なものでなくてかまいませんので、防風、防水、透湿性の3つがそろったレインウエアを選んでみてください。

レイヤリングとは少し外れますが、室内で防寒のために着る服であれば、防水性が無くても防風ができれば大丈夫です。しかし、オシャレ着などは意外と風を通すことがありますので気をつけましょう。
ビニール製の雨ガッパを使う場合、自宅から避難所までの短い距離の移動であれば問題ありませんが、室内で防寒のために雨ガッパを着るときには、汗をかく状況では着ないようにしましょう。また、ビニールシートにアルミ箔が貼られたエマージェンシーブランケット(サバイバルシート)も水分を逃がしません。
雨ガッパもエマージェンシーブランケットも保温性が高く、避難グッズとしておすすめではあるのですが、夜にくるまって寝て、気づいたときに汗でびっしょりとならないよう、様子を見ながら使うようにしましょう。

ミドルレイヤー

中間に着るミドルレイヤーは保温性の高い服で、汗を通しやすいものを選びます。化学繊維は汗を逃がしやすいため、ポリエステルでできたフリースがおすすめです。
逆に綿や羽毛などの素材は水分を逃がしにくく乾きにくいので、激しく動くときに着るのをさけたり、こまめに服の前を開けて汗をためないよう気をつけたがよいでしょう。

ベースレイヤー

ベースレイヤーは肌に直接つける、すばやく汗を吸収して蒸発させるための肌着です。
一般的な肌着の素材となる綿は水分を吸収しやすいのですが、乾きにくいという欠点があり汗冷えの原因となります。
ここ数年でユニクロのエアリズムをはじめとして、たくさんのメーカーから「吸湿速乾」の肌着が安く販売されるようになりましたので、こういったものを用意しておきしましょう。
レイヤリングは、アウター、ミドル、ベース、それぞれのレイヤーがきちんと機能することで効果を発揮します。山登りのように長時間の激しい運動を行うわけではありませんので、高価なアウトドア専用品でなく、ふだん使いの吸湿速乾の肌着でかまいませんので、用途に合ったものを使うことが大切です。

レイヤリングを使えば、混みあう電車のような湿度の高い状況や、室内と室外で気温差のあるときにも快適に過ごせます。
重ね着する服の種類を気にして、ふだんの生活にレイヤリングを取り入れ、防災時にも使えるようにしてみませんか?

この記事を書いた人

moshimo ストック 編集部

防災をしたいけど情報がたくさんあって、何から始めればいいの…?
私たち moshimo ストックも始めは知ることが幅広くて、防災ってちょっと難しいな…と思いました。
そんな "元初心者" の編集部が、初めての方にもわかりやすいよう防災・備蓄・災害についての情報をお届けいたします。
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