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過去の地震を、室内でリアルに再現!「地震ザブトン」をつかった体験教室で白山工業が伝えたいこと

防災イベントでおなじみの地震体験車(起震車)、子供のころに怖がりながら体験したことのある方も多いのではないでしょうか?
この地震体験を手軽に室内で行えるようにしたのが「地震ザブトン」。広いスペースを必要とせず、いままで地震体験を行えなかった場所でも利用できます。
この地震ザブトンを開発したのは、地震計測機器メーカーの白山工業。実際の地震時に得られた観測データを使用することで、過去に起きた地震を再現することができる体験装置です。
開発の経緯や、地震体験を通じて考えて欲しいことについて白山工業にお聞きしました。

地震ザブトンの開発

(提供:白山工業)

白山工業は30年以上前から、火山や地震の計測機器とシステムを開発し販売しています。
日本の公的な地震観測点は、防災科学技術研究所と気象庁、地方自治体により4,500ほどありますが、このうちおよそ2,000ヶ所で白山工業の製品が導入され、地震の調査や研究、緊急地震速報の運用などに活用されています。
また、最近では、民間の超高層ビルにも地震計を設置し、地震の際により大きく揺れる上階の動きを防災センターで監視するシステムも提供しています。東日本大震災の時にも、地震後すぐ、このシステムがビルの構造の損傷度合いを推定し、避難の必要性や事業継続可否を判断するために役立てられた実績があります。

このように、国や民間の地震観測に関するシステムに携わってきた白山工業ですが、東京工業大学で以前から研究されていた全方向移動ロボット THE VUTON(ザ ブトン)を地震動シミュレーターとして活用するための共同研究を2008年にスタートし、2011年に地震ザブトンとして製品化しています。

地震ザブトンの特徴

地震ザブトンの特徴は、なんといっても装置が小型で100Vの一般電源で使えること。これが、室内での運用を可能にします。天候にも左右されず、人が集まる場所で地震体験を提供し、たくさんの人が気軽に防災に触れる機会を増やすことができます。

また、揺れについても地震体験車との違いがあります。
地震体験車の場合、横揺れのほかに、縦揺れも加えることで、大地震の震度を再現し、恐怖感を与えるのですが、トラックの荷台に固定される構造上、揺れの幅(振幅)に関しては大きな制限があります。
多くの家屋が倒壊した阪神淡路大震災では、横方向の振幅が1m近くにもなる揺れが記録されています。地震ザブトンでは、このように建物をなぎ倒すような横揺れの大きな振幅やリズム感をうまく再現することができます。あわせて、体験する揺れと同期した室内被害映像を見ることで、よりリアルな地震を体感することができるのです。

実際に強烈な横揺れを体験した人からは
「腰が抜ける、地震がおきた瞬間は何も出来ない」
「ビルの高層階がこんなに大きく動くなんて知らなかった」
といった、驚きの声が聞こえています。

実際の観測データを元にして、過去の地震を再現

(提供 白山工業)

大まかにタイプ分けすると、地震には直下型(阪神淡路大震災、熊本地震など)と海溝型(東日本大震災、関東大震災など)があります。直下型で同じ震度でもそれぞれ揺れ方が異なったり、海溝型は揺れている時間が長かったり。また、海溝型地震による長周期地震動に襲われた場合は、地表面に比べて高層階は数倍も振幅したり、地盤の違いや建物の高さによっても揺れ方や被害は全く異なります。地震ザブトンでは、実際の観測データを入力することで、過去に起きた様々な地震の揺れの個性を体感することができます。
また、今後予測される地震をシミュレーションした記録も使って再現できるため、体験する人や地域にとってピンポイントなリスクを参考に、より身近な実感を持つことができるのです。

地震ザブトンの体験教室で伝えたいこと

(提供 白山工業)

白山工業では、開発や販売だけでなく、地震ザブトンを使って防災を学ぶ「揺れ体験教室」を自ら運営しています。この教室では、まずは地震のことを学ぶ「学習」、地震ザブトンを使った「体験」、最後に「考察」を行う3つパートで作られています。

学習では「日本では1日におよそ300回もの地震が起きているんだよ!」といった豆知識から、直下型地震や海溝型地震の発生メカニズム、地盤や建物による揺れ方と被害の違いなどを学びます。
そして、用意されたメニューの中から自分で地震を選んでもらい、揺れを体験します。
体験が終わった後の考察では、家具の模型を使った転倒防止を試すワークショップなども行っています。
最後に、地震に備えるためのコツをまとめたパンフレットを持ち帰ってもらい、家に帰ってからも地震について考えてもらえるような工夫をしています。

このように、単純に地震の揺れを体験するだけでなく、地震のメカニズムを知り、自分が暮らす地域や家についても主体的に考えてもらうことで、実際の生活に防災の目線を少しでも取り入れてもらうことを目的とした教室になっています。


(提供 白山工業)

地震ザブトンの活用事例

都心ではマンションで暮らす人が増え、自治会など地域のコミュニティに参加する機会が減っています。そこで、マンションのロビーなどで揺れ体験教室を行うと、たくさんの人が気軽に参加できるため、マンション防災の訓練にも数多く活用されています。
また、人の集まる場所で開催できる利便性や、室内で地震体験ができるというめずらしさもあって、ショッピングセンターなどで行う場合は毎回行列ができるほどです。
室内を開催場所にでき、事前に特別な機材準備をせずに済む。メディアも注目する話題性がある、など主催者にとって利点も多く、揺れ体験教室は約8年間で400回以上も開催され、20,000人以上が体験しています。

震災について話し合ってもらうツールとして

過去に被災した地域で揺れ体験教室を行うと、つらい経験をされた大人たちは地震ザブトンには乗りたがらないけれど、地震の恐ろしさを理解させるために、当時を知らない自分の子どもや孫には揺れを体験させたいと思って集まる人が多いようです。
その場面では、家族が地震体験する様子を見た直後、大人たちが堰を切ったように当時の被災体験について語り出すそうです。このようにして被災地で得られた貴重な経験談は、教訓として別の地域で伝えられるなど、地震ザブトンは震災の語り継ぎを担うツールとしても役に立っています。

もし、読者の皆さんが防災イベントを開催する機会があれば、人が集まる場所で注目度を高めることでき、参加者が主体的に体験することで、家庭やオフィス、地域の防災につながる、地震ザブトンと揺れ体験教室を利用してみてはいかがでしょうか?

白山工業株式会社 地震ザブトン 揺れ体験教室サービス情報

白山工業株式会社 地震ザブトン 製品情報

この記事を書いた人

moshimo ストック 編集部

防災をしたいけど情報がたくさんあって、何から始めればいいの…?
私たち moshimo ストックも始めは知ることが幅広くて、防災ってちょっと難しいな…と思いました。
そんな "元初心者" の編集部が、初めての方にもわかりやすいよう防災・備蓄・災害についての情報をお届けいたします。
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